「イベルメクチン」は新型コロナウイルス治療薬になれるか

「イベルメクチン」は、2015年にノーベル医学生理学賞を受賞した北里大学特別栄誉教授・大村智氏が、1970年代に静岡県で採取した土壌から発見した「放線菌」と呼ばれる新種の細菌から開発した寄生虫感染症の治療薬として、アフリカを中心として世界に知られている薬だ。

今月4日に英国のタブロイド紙「デイリーメール」が掲載した記事によると、英リバプール大学のウイルス専門学者アンドリュー・ヒル博士が全体臨床試験資料を総合分析した結果、イベルメクチンが投与された新型コロナウイルス感染患者573人の中では8人が、偽薬が投与された患者510人の中では44人が死亡したという。

イベルメクチンが新型コロナウイルス感染症の治療に使われ始めるきっかけとなったのが、昨年3月29日にウイルス学専門誌で発表されたキリ・M・グスタフ教授(オーストラリア・モナシュ大学)による「イベルメクチンが新型コロナウイルスの細胞レベルでの増殖を阻害する」という論文だ。以後、各国で臨床実験が開始され、治験の成果を待たずに医師による使用が認められる“観察研究”が加速するようになった。

4月には米国ハーバード大学医学部のマンディブ・R・メヘラ教授などによるイベルメクチンの有用性に関する論文が発表され、イベルメクチンによって著しく感染者の致死率が下がったとするデータも示されている。

日本経済新聞も5月8日、《「イベルメクチン」治験へ コロナ薬候補、死亡率改善の例も》との見出しで、「新型コロナウイルスの治療薬候補として、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智氏が開発に貢献した抗寄生虫薬『イベルメクチン』が新たに注目されている。既存薬なので安全性は担保されており、北里大学が臨床試験(治験)を実施すると発表した」と報じている。

一連の動きを受けたことなのか、国内ではクリニックの医師がイベルメクチンを購入しようとしても手に入らない状態が続いた。市場から薬が消えたのだ。何故かそれ以降、イベルメクチンについての報道はすっかり影を潜めている。

医学界の一部から、“イベルメクチンは他の薬と並行して投与された場合、急激な血圧低下、肝臓の損傷、嘔吐、下痢、腹痛、めまいなどを引き起こす可能性がある”と伝えられたことも一因と考えられるが、根本的には医薬品業界の利権が潜んでいたと考えるべきだろう。

月刊誌『致知』2020年12月号のインタビューで、大村教授は次のように語っている。
「イベルメクチンの特徴は、とにかく値段が安いことです。1錠700円程度です。だから、毎年何億人という人が飲むことができるんです。しかも、この薬は副作用もなく、医師や看護師の手を要しません。アフリカなどの国々では講習を受けた人がその人の身長を見て『あなたは何錠』と言いながら村人たちに配っている。副作用がほとんどないからこそ、そういうこともできるんです」

40年以上前に開発されたため特許期間も切れて、価格が安い――製薬会社から見れば、「もうけにならない薬」だ。そのために業界にとっては興味のない薬とみなされ、結果として、膨大な開発費をかけたワクチンやアビガンだけが報道されることとなっている。

そうした中、国内で唯一イベルメクチンの研究を進めている北里大学大村智記念研究所感染制御研究センターが、新型コロナウイルス感染症の治療薬としての臨床試験を2021年3月にも終了し、製造元の米製薬大手MSDに試験結果を提供することを明らかにした。MSDは、効果を検証しながら承認申請を検討する見通しで、新型コロナの治療薬として認められれば、抗ウイルス薬「レムデシビル」とステロイド薬「デキソメタゾン」に続き3例目となる。

日本医師会は「医療崩壊」を煽っているが、所属する医師の中でコロナと戦っているのは一握り。専門医ではない多くの医師は、戦列に加わっていない。ならば、薬の研究にでも精を出せばいいのだが、そうした動きは残念ながら見えてこない。

医薬品の利権にどん欲な自民党厚労族と厚生労働省によって、根本的な対策が妨げられている実態が、まちがいなくある。

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