北海道新聞・新人記者逮捕から5カ月|新聞労連が検証チーム発足

発生から5カ月になる北海道新聞の新人記者逮捕問題で、日本新聞労働組合連合(新聞労連、吉永磨美委員長)が同問題の検証チームを設置したことがわかった。労連幹部は「半年後を目途に調査報告をまとめたい」としており、加盟する道新労働組合も調査に協力する意向を明かしている。

◇  ◇  ◇

検証チームは10月14日付で発足。労連本部と「新聞研究部」を中心に約10人の組合員で構成し、外部の法律家や学識者、ジャーナリストなども名を連ねる。おもな取り組みとしては『事実の調査・検証』『類似事例の集積』『法律的な側面などからの検証』『組合員アンケート』の4本柱を挙げており、およそ半年間で一定の報告をまとめることを目指す。

記者逮捕問題は本年6月22日に発生。旭川医科大学の学長選考会議を取材していた道新の新人記者が「建造物侵入」の現行犯で大学職員に「常人逮捕」され、48時間弱にわたって警察に身柄を拘束された。新聞労連は逮捕翌月の7月12日に声明を発表、大学や警察による「表現の自由」「知る権利」の侵害に強く異を唱え、それらへの道新の対応が不充分なことを指摘していた。

《取材を拒否されても対象に可能な限り迫ることは新聞記者の常であり、場合によっては使命である筈です。「施設管理権」を根拠として記者が公的機関に立ち入ることができないということが一般化してしまえば、取材の自由、報道の自由は形骸化し、それにより犠牲となるのは国民の知る権利です》(同声明)

声明に先立つ7月7日には当の道新の紙面に読者報告記事が掲載されたが、現場に責任を負わせるかのようなその論調は多くの若手記者の不信を招き、同下旬に道新労組が実施したアンケート調査では組合員の92%が社の対応に「納得できない」と回答することになる。9月1日・2日には会社がオンライン形式の説明会を開き、また同14日には2度目の検証記事が掲載されたが、いずれも社員や読者の腑に落ちるような説明には到っていない。

こうした中、新聞労連は9月初旬までに検証チーム設置の考えを固め、同21日の中央員会でその方針を確認した。これについて道新労組の安藤健委員長は、11月15日発売の月刊誌『北方ジャーナル』のインタビューで次のように話している。

「道新労組としては、新聞労連の一員として問題の検証に協力していくことはもちろん、報道の自由の意義についてきちんと読者に伝えていきたい」

記者逮捕問題をめぐっては11月7日、日本ジャーナリスト会議(JCJ)北海道支部が道新労組と共催で「報道の自由について考える集い」を札幌市内で開き、参加した若手記者から「自分も逮捕される可能性があることを覚悟するようになった」などの声が上がったことが伝えられている。「侵入」事件の捜査にあたった北海道警察は11月上旬時点で事件の検察官送致の有無を明かしておらず、先のインタビューで道新労組の安藤委員長は「(送検が決まるなどのタイミングで)真っ当な説明の場を設けるよう、引き続き会社側に求めていく」としている。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

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