他人に厳しく、自分に甘く|福岡県田川市・陸田孝則議長に問われる政治家としての資質

 先月19日の田川市議会。議事が進み、陸田孝則議長が次の議案に移ろうとしたところで女性議員が「議長」と発言した瞬間、議長席の陸田氏がいきなり声を荒げた。「遅い!」。呆気にとられる議場の市議ら。唐突に休憩を宣言した陸田議長はその後、議長席にもどって女性議員の行為を激しく攻撃した。恣意的な議会運営は議会制民主主義を否定することにつながりかねない。

 問われているのは、“議長としての”というより、陸田氏の政治家としての資質だ。

■女性議員の発言を封殺

 ネット上のユーチューブ動画に残された、その時の様子はこうだ(https://www.youtube.com/watch?v=EjJjg6-MKf  :50分頃から~)

陸田議長:(小さな声で)よんでいいですか?質疑がないようでありますので、次に移ります。日程第8、議案第3……
柿田孝子議員:議長。

陸田議長遅い!
柿田孝子議員:すみません。議長。

陸田議長:ちょっと休憩いたします。

(休憩)

陸田議長:会議を再開いたします。休憩以前の議事において、私が日程第8の議案を読み上げている最中、柿田孝子議員から不規則発言がありました。このため会議を一旦休憩し、録画等で柿田孝子議員の発言を確認いたしましたが、私が前の議題について他に質疑がないか確認の発言をした上で、次に移りますとの、その議題を終結し、次の議題である日程第8を読み上げている最中の柿田議員からの不規則発言がなされております。

本日の議会運営委員会で確認し、この会議の冒頭においても、私が触れたように、発言に際しては、法令会議規則の規定等を遵守するようお願いしております。柿田孝子議員の発言は、私の議事進行を妨害するものと私は認識しました。今後同様の事態が発生した場合は、法令会議規則の規定に基づき、厳しく対応したいと思っております。

 女性議員が発言を求めるために発した“議長”という言葉を、「不規則発言」「議事進行を妨害するもの」だと一方的に決めつけた陸田氏。恣意的な議会運営には、議場にいた関係者だけでなく、ネット中継を見ていた多くの市民も呆れたらしく、ハンターにはユーチューブ動画のアドレスが何件も送られてきた。もちろん、陸田氏を厳しく批判する声を添えてだ。

 動画を何度も確認してみたが、陸田議長の「私が前の議題について他に質疑がないか確認の発言をした上で」という言い分は、到底容認できない。

 男性市議の質問が終わったあとに陸田氏が発したのは「よんでいいですか?」。これは、「(議案を)読んでいいですか?」という進行の確認だったとしか思えない。しかも、「議題について他に質疑がないか確認した」という場面は一切なかった。女性市議への糾弾は、たんなる“言いがかり”でしかない。

 陸田氏の行為は、市民の代表である市議会議員の正当な権利を害するもので、他の自治体の議会ではあり得ない暴挙である。「ルールは守るべき」と強弁するかもしれないが、そもそも陸田議長にその資格はない。

 下は先月、田川市内を取材中に確認した陸田氏の政治活動用看板だが、少なくとも8枚は「違法」なものだった。

 政治家の政治活動には一定の制限があり、選挙区内の看板の設置数にも規定がある。設置できるの掲示物であることを示すのが、当該選挙を管理する選挙管理委員会が発行する「証票」である。政治家とその後援団体などが政治活動のために看板を設置するためには、当該選挙を所管する選挙管理委員会に枚数や設置場所を届け出て、「証票」の交付を受けなければならない。

 市長及び市議については政治家本人用が6枚、後援団体用が6枚の計12枚。証票」が貼られていない、あるいは有効期限切れの「証票」しか貼られていない看板は違法となる。陸田氏の看板には、どれも「証票」がないか、あっても期限切れのものばかりだった。

 これまで田川市内の政治活動用看板については、二場公人前市長や今村寿人市議、佐々木允県議らの違法行為について指摘。各人とも、記事配信のあとには違法状態を是正し、看板を撤去したり、新しい証票を貼るなどの対応をみせてきた。当然、陸田氏も法に則った政治活動を行うべきだろう。

 陸田氏を巡っては、公職選挙法が禁じる「特定寄附」を受け、その事実を隠すため選挙運動費用収支報告書に「虚偽の記載」を行っていた疑いがあることや、ハンターの指摘を受けるまで家賃支出を計上していなかったことが分かっており、順法精神に欠けるのは確か。この程度の人物を議長に選んだ田川市議会には、猛省を促しておきたい。

【参照記事】
・田川市・陸田孝則議長、選挙収支に家賃不記載|意図的な支出隠しか?
・田川市・陸田孝則議長の選挙収支に公選法違反の疑い|禁じられた「特定寄附」隠し「虚偽記載」の可能

 

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