コロナ失政・吉村大阪府知事に厳しい批判|維新所属議員や府内部からも

新型コロナウイルス第4波の感染拡大が止まらない大阪府。患者受入重症病床使用率は、5月8日現在で157%で、重症者が適切な治療を受けることができない状況となっている。
【参考】大阪府新型コロナウイルス感染症関連特設サイト (osaka.lg.jp)

緊急事態宣言が発出されている大阪府では、実質的に「私権制限」がなされていると言っても過言ではない状況となっており、大阪府のホームページにも「外出はやめてください」と記されている。ただし、憲法で保障されている「移動の自由」を制限することの是非については、ほとんど議論されていない。それどころか、大阪の総責任者であると同時に法律の専門家でもある吉村洋文府知事が、「私権の制限」と言い出して、関係者を呆れさせている。

■消えた「大阪府警察」の文字

本サイトでは、大阪府の吉村知事が示した感染防止策の問題点を、4月21日の記事で指摘した。4月5日からスタートしていた「飲食店等に対する感染防止対策徹底のための見回り調査」(見回り隊)についてだった。大阪市内の飲食店に感染防止対策を促すため、昼と夜で民間事業者に依頼した「見回り隊」がチェックをするというもの。大阪府の資料には、営業時間の短縮要請に応じない場合への対応策を、次のよう示していた。

<営業時間短縮要請にかかる現地調査 民間委託事業者100名+大阪府警察確認地区周辺重点警ら>

<未協力店舗の訪問調査 大阪府職員+大阪府警察(同行)>

警察の出動が明記されていたが、4月23日に開かれた「第47回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議」の資料からは、<大阪府警察>の文字が削られていた。

「見回り隊は吉村知事の肝いりというか、思い付きではじまった。ハンターなどに、短期アルバイトの情報をもとに、警察まで出動させるのかと書かれて、『やりすぎ』との声が出た。また、大阪府警からも指摘があり大阪府警察の文字が削除されたそうです」(大阪府幹部)

吉村知事は、東京など首都圏が緊急事態宣言を延長する中、第3波の収束前に大阪府と兵庫県、京都府をまとめて宣言解除を要請。事実、解除は早められた。

そのリバウンドが来ると、反省もなく再度緊急事態宣言を要請。大阪府の人口は約880万人で東京都は約1,400万人と、1.5倍近い開きがあるにもかかわらず、大阪府の新規感染者数は1,000人前後と、東京都とほぼ並ぶ。検査数も関連するが、大阪府の急増ぶりは明らかに突出している。

大阪維新の会所属の地方議員は、こう嘆く。
「吉村氏の迷走ぶりについては、大阪維新の会の中からも『おかしいんじゃないのか』『間違っている』といった声があがっています」

■思い付き府政に厳しい批判

吉村知事はこれまで、コロナ関連の対応について「専門家の意見を聞いて判断した」という趣旨の発言を繰り返してきた。だが、4月20日の新型コロナウイルス対策本部会議で“まさに医療崩壊といっていい状況”と専門家から指摘されると、知事は「なにをもって医療崩壊かというべきか」などと、反論にならない言葉を発して抵抗した。第3波の収束前、緊急事態宣言解除を国に“直訴”した際の「専門家の意見を聞いて判断」は、どこへ行ったのか?

都合のいい時だけ、「専門家の意見」を採用し、悪くなればスルー。そんな吉村知事が記者会見で、『法』という自分の専門分野を忘れたかのように「私権制限を議論すべき」と述べ始めた。何の論拠があって「私権制限」を持ち出すのか?

知事は、「維新の会」の生みの親である橋下徹元大嵩市長と同様に、弁護士資格を有する。その法の専門家が、「私権制限」というのだから、開いた口が塞がらない。

一方で、吉村知事が代表を務める大阪維新の会では、所属府議9名が新型コロナウイルスに感染している。ある地方議員が、家族をコロナ感染で失ったという情報もある。「何が私権の制限だ。冗談じゃない」「吉村知事は人のことを言う前に自分の党のことを考えるべき」「X議員は妻をコロナでなくしてるんだ」「ポピドンヨードやワクチン開発などといったおとぎ話はやめて、しっかりと足元をみつめ、コロナ対応にあたるべき」――維新内部からも厳しい声が上がる。

ある大阪府幹部は次のように話している。
「吉村知事は、思いついたとたんに、それを実現させるよう職員に厳命する。行き当たりばったりなんですわ。コロナワクチン開発のA社の株価が、吉村知事の『大阪でワクチン開発』という言葉で急上昇したのではないかと言われてましたが、A社はまったく開発できてませんよ。いまはコロナ禍の真っ最中。橋下さんの時代じゃあるまいし、打ち上げ花火政治はやめるべきです」

(山本吉文)

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