自民圧勝で「高市一強」|どうなる消費税、憲法、旧統一教会

自民党が、戦後史上最多となる単独政党での316議席を獲得した衆議院選挙。高市首相は、中身があるとは思えない「日本列島を、強く豊かに」というフレーズで、選挙戦を乗り切った。連立を組む日本維新の会は36議席と微増。与党合計で352議席という憲政史上に残る結果になった。

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「少数与党で苦しんでいた景色が一瞬で変わった。まさに高市旋風だ」――そう手放しで喜ぶのは、自民党の大臣経験者A氏。当初、当選が危ういとみられていたA氏だったが、「高市旋風」のおかげで午後8時には、各メディアが「当確」を打つほどの勝利だった。

352議席という数字はとてつもなく重い。参議院の自民党はまだ少数。しかし、参院で法案を否決されても衆議院で再可決できる3分の2を超えたため、政権運営は容易になった。選挙前、一部を野党に明け渡していた衆議院の委員長ポストも独占できる議席数だ。

告示前、物価対策の柱として“2年間食料品の消費税0%にする”と訴えていた高市首相だが、選挙戦で「優勢」が伝えられると態度を一変させた。

「街頭演説で消費税のことをほとんど言わなくなった。それが本音なのかなと思った」(前出A氏)

高市首相は、食料品の消費税0%を実現するためには「国民会議」を設置して「検討を加速」すると言う。選挙に大勝したことで国民会議などなくても判断でできるはずだが、慎重な物言いが気になるところだ。

首相の「思惑」は消費税ではなく「別の方向に向き始めたのではないか」と話すのは政務官や副大臣を経験してきた中堅議員。「憲法改正の国会発議に必要な3分の2を確保した以上、早く改正案を提示して、憲法改正の賛否を問う国民投票が行われる環境を作りたいと思っているんでしょう。粘り強く取り組んでいく覚悟だと見ています」と代弁する。

選挙前には大きな争点ではなかった憲法改正を持ち出し、国民投票への決意まで打ち出した高市氏。国論を二分する話になるのは確実だ。ただ、たった1度の衆議院選挙で大きく議席を伸ばしただけで、戦後80年間、この国に平和をもたらした憲法を変えると息巻く姿勢には同意できない。ある自民党関係者は、次のように予測する。

「自民党と公明党が連立を組んでいた時、安倍晋三首相の『1強』と呼ばれた長期政権でも憲法改正には踏み込まなかった。次の大きな国政選挙は2年半後の参議院選挙。それに勝って参議院でも3分の2の議席をとれば、今度は真正面から憲法改正の是非を問う総選挙に持ち込むのではないか。最大、4年間という長期政権を維持できるので準備期間は十分。憲法改正に慎重な公明党と違って維新が連立相手なので、総理はより前のめりになるでしょう」

そうした中、公明党のある現職議員は、ソファに腰を落ち着けて総選挙関連のテレビ番組を見ながら、数人のマスコミ関係者を前にご機嫌なご様子だ。「中道(改革連合)は負けたが、うちは24議席から28議席と増えた。実は勝っている。うちの幹部たちは交渉上手。こちらが、立憲民主党をうまく操って議席を増やした」――本音だろう。

以前からこの議員は「中道はダメかもしれないが、公明党は比例上位をとれたのでいける」と自信ありげだった。選挙結果を受けて、当然ながら話も長くなる。

「中道が負けたのは、時間がなかったから。公明党と立憲民主党で中道になったことを伝えきれなかった。公明票の一部が自民党に流れたのは事実。中道にとお願いしても、小選挙区はこれまでのいきさつから自民党に入れたという学会員の声を何度も聞いた。有権者には申し訳ないことだが、公明党としてみると議席は伸びた。参議院の公明党も21議席あるので、全体で50を超える勢力。中道はお葬式状態だが、公明党としては比例に特化する戦略が功を奏したといえる。うちと旧立憲組との関係が継続できるかどうかはこれからの動き次第。ただ、中道は長くないかもしれない。そうなれば(自民党と)よりを戻すしかない。維新より26年政権を一緒に担った公明党が戻ってくれるほうが自民党もありがたく思うのではないか。参議院選挙は2年後で、それまでは自民単独では過半数にも3分の2にも届かない。高市首相も公明党の数がそのうち視野に入ってくるはずだ」

中道では敗れたが公明党としては議席を増やしたという「勝利宣言」にも聞こえる内容である。

一方、中道で落選した関西のあるベテラン議員は「まんまと公明党の戦略にはめられた。公明党のやつと話したら『負けてしまって』と神妙そうに言うが、顔は笑っていた。もう中道でやってもしゃあない。参議院ではまだ公明党と立憲民主党が残っているので衆議院はすっぱり別れて、もとの形に戻るほうが双方のためにええこと。立憲の幹部連中はどうしようもない」と憤懣やるかたない。

今回の衆議院選挙で、自民党は裏金議員43人を擁立し、41人が議員バッジを得た。萩生田光一氏や下村博文氏など、裏金に加えて旧統一教会疑惑もあるような議員まで当選しており、「負の遺産」をすべて「高市旋風」で吹っ飛ばした格好だ。しかし、選挙前には高市首相自身にも旧統一教会のスキャンダルが浮上した。安倍長期政権でも、森友学園疑惑や加計学園問題で国会が紛糾したことは記憶に新しい。消費税、憲法、そして旧統一教会――高市自民党に順風満帆が続くのか、注目である。

 

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