田川市・疑惑のプロポーザルに不都合な新事実|審査委員の総務部長は業者の同窓生

次々に不正を疑わせる事実が明らかとなっている福岡県田川市の「一般廃棄物(ごみ)収集運搬業務委託」業者選定プロポーザルを巡り、審査委員を務めたとされる市の総務部長が、受注企業である「早雲商事」(田川市)の代表者と同窓で、飲食をともにする仲だったことが分かった。

このプロポーザルに関しては、事業を所管する環境対策課の池口芳幸課長が早雲商事のゴルフコンペ会場を予約し、コンペそのものにも参加していたことが判明しており、5人いるプロポーザル審査委員のうち2人までが早雲商事と親密な関係にあったことになる。採点の公平・公正が完全に失われた形で、便宜供与の可能性が否定できない状況だ。

■総務部長は受注企業代表と高校の同窓生

調べによると、田川市の盛坪達人総務部長は、疑惑まみれとなっているごみ収集運搬業務業者選定プロポーザルで1位となり同業務を受注した早雲商事の代表者と地元高校の同窓生。盛坪部長自身が、同窓生らとの飲み会の模様を何度もフェイスブックに投稿していた。(*下が投稿された画像。日付と赤い書き込みはハンター編集部)

 行政機関の職員が高校の同窓生として飲み会に参加するのは自由で、ただちに公務員倫理に反するものではない。しかし、盛坪氏は田川市の職員、しかも総務部長という重い役職に就いている。それが、同窓生の会社が応募してきた業者選定に審査委員として加わり、点数を付けていたとなれば話は別だ。

プロポーザルが実施された時点では、総務部長の盛坪氏にとって、早雲商事の代表者は親しい同窓生であると同時に利害関係者。その早雲商事が受注を狙う事業の業者選定なら、選定委員を辞退するのが役人としての常識というものだろう。実際、他の自治体では、所管部局の役人と個人的な付き合いのある業者が入札の総合評価やプロポーザルなどに参加してきた場合、役人自ら申告して選定に関わることを辞退するのが一般的だ。そうでなければ、公平・公正は担保されない。

“プロポーザルの採点で、早雲商事の点数に下駄をはかせたのではないか”――盛坪部長に事実関係の確認を求めたところ、早雲商事の代表者と同窓であることや上掲の画像が同窓生らの集まりであることは認めたが、「(不正は)やっていない。最近は(早雲商事の代表者と)会っていない」として疑惑を否定。プロポーザルの審査委員を務めていたかどうかについては、「審査委員の名簿を非開示にしているため、私が委員だったかどうかも含めてお答えできない」と回答している。ただし、複数の関係者が、プロポーザルの審査委員席に盛坪部長がいたことを認めており、疑惑の色合いは灰色ではなく黒。苦しい言い訳にしか聞こえなかった。

■選定委員5人中2人が業者と親密

問題は、早雲商事の代表者と親密とみられる盛坪氏が審査委員を務めていたことで、田川市のごみ収集業者選定プロポーザルに浮上した疑惑が、さらに深まったということ。これまで報じてきたように、ごみ収集運搬業務を所管する市環境対策課の池口芳幸課長は、早雲商事のゴルフコンペ会場となった田川郡内にあるゴルフ場を予約し、競技にも参加していたことが明らかになった人物。その池口課長もプロポーザルの審査委員だ。つまり、5人のプロポーザル審査委員のうち、2人までが早雲商事と特別な関係にあったことになる。

こうした事態を受けて、プロポーザルの不正が強く疑われるのは当然だろう。田川市は、森坪部長と池口課長の分はもちろん、審査委員5人すべての採点用紙(「個票」)を非開示にしてきた。審査委員のメンバーも非開示だ。都合の悪い文書は出さないという姿勢は徹底しており、プロポーザルに参加した業者が提出した「業務提案書」のうちの、実際の受注業者である早雲商事と「クリーン北部九州」の2社分も非開示となったままである。

しかし、田川市が定めたプロポーザルの実施要領では、業務提案書の記載内容の中の、非開示にしてほしい部分を事前に文書で提出するよう求めていたことが判明。非開示部分を明記した文書はどの業者からも提出されておらず、田川市が、自ら定めたルールを無視して、確信犯的に受注2社の業務提案書の内容を隠していた疑いが浮上している。

プロポーザルの実態を知られないよう、田川市が、組織ぐるみで開示すべき情報の隠蔽を図った可能性がある。

 

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