疑惑拡大!不可解な消防施設用地選定過程|汚れた土着権力(8)

田川市・郡の8市町村で構成する「福岡県田川地区消防組合」(管理者:永原譲二大任町長)が大任町内で計画を進める消防施設の、用地選定を巡る「疑惑」が深まった。

◇   ◇   ◇

同組合への新たな情報公開請求で入手した文書と取材から明らかになったのは、不透明極まりない用地選定過程。組合が、廃止される「田川消防署 香春分遣所」に代わる施設の用地提供を香春町に求める際、『国道322号線バイパス沿い』以外の面積などの条件を記した文書は渡っておらず、組合と町の交渉過程を示す文書にも該当する文書は含まれていなかった。

組合内部には候補用地の具体的な場所や条件の詳細、検討結果などが記された決裁文書と添付資料が残されているが、なぜか組合は「香春町には渡していない」と話している。

その結果、香春町が提示した5件の候補予定地はいずれも組合側が却下。組合内部の議論を経ぬまま、唐突に永原譲二組合管理者が町長を務める大任町に用地提供の依頼を行っていた。本サイトは、一連の流れを「出来レース」だと指摘(*既報)したが、新たに開示された資料によってその見立てが裏付けられた形だ。

以下に、今月5日に開示された文書の中から問題となるものを示す。まず、「香春分遣所新庁舎建設用地の要望について(伺い)」と題する決裁文書。

組合管理者の永原氏、副管理者、消防長の印影が黒塗りされているのはお笑いだが、この決裁文書には「第1案:国道322号線に面した香春町の用地」、「第2案:香春町運動公園第3駐車場」、「第3案:既存庁舎改修工事」として具体的な候補地の条件や不適とみなす理由まで記されている。

浸水地域であるため現在の香春分遣所を別の場所に移すという大前提があることから第3案は初めから除外。驚いたのは、消防組合内部の議論段階で、のちに香春町から第一候補として提示される「香春町運動公園第3駐車場」の名称が明示されていたことだ。しかも、この時点で同駐車場は「出動に時間を要する場所が存在する等の要因」があるとして候補から外されていたことが分かる。この検討内容を香春町に提供していれば、同町が第3駐車場を「第一候補」として提示することはなかったろう(*下の文書参照)。

◇   ◇   ◇

見逃せないのは、組合内部の決裁資料に添付されていた候補地検討内容とその結果だ。前述したように「第1案:国道322号線に面した香春町の用地」「第2案:香春町運動公園第3駐車場」「第3案:既存庁舎改修工事」について検討した結果が記録されているのだが、第1案の検討文書は、下に示す通り「浸水地域外」「付近の民家が少ない」「他の避難地も存在(香春思永館、香泉荘、道の駅香春、香春総合運動公園)」などと具体的な場所を想定していたとしか思えない内容になっている。

組合内部での検討は、具体的な候補地を示した上で行ったはずで、ただ国道322号線沿いというだけでは検討対象になり得ない。どこだか分からない場所の適性について議論するとは思えないのだ。開示された文書を何度も読み返したが、実際には第1案としての具体的な候補地が存在していたのではないかという疑念が拭えない。

これに対し、第2案の総合運動公園第3駐車場は、なぜかここだけ具体的。しかし、田川市方面が浸水地域であるとか、田川市方面の道路が狭隘だとか言いがかりに近い記述で「✖」をつけていた(*下の文書参照)。計画段階で香春町の中で最適とみられる場所を“消した”との見立ても可能だ。

検討結果をまとめた資料(*下の文書)では第2案を完全に否定、どこだか分からないのに「国道322号線に面した香春町の用地」を最適と決めていた。不自然というしかない。

開示された文書の永原氏らの印影を黒塗りにしたことを咎めるつもりはないが、容認できない非開示箇所がある。それは、各案の検討結果を記した文書の最後に記された⑦の部分。(新築・分署規模)の前が黒塗りになっている。

消防組合に確認したところ、隠しているのは整備費の額だという。たしかに、上掲のまとめ文書にある《⑦建築費用(概算)》の欄の金額も黒塗りだ。組合側は計画段階だからと説明するが、“隠してはいけない箇所”だろう。組合が、この金額をもとに「建築整備費12億円」を計上している以上、開示するのが当然。黒塗りは、つまり開示できない理由があるということだ。

消防施設の大任町移転に成功した格好の永原氏だが、手法は強引かつ不透明。大任町内の用地を決めるやいなや土地を買収し、造成工事を終えている。実は、大任町への開示請求で入手した、その造成工事関連文書が「消防利権」を証明することになる。

(中願寺純則)

 

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