AOKI各店で消費者欺く上代価格操作― 消費者裏切るAOKIの商法(3) ―

複数の現役従業員や元幹部社員らの証言によって、多くの店舗で、セール企画商品を早い時間に撤去して「売れた」と偽り、他の高額商品を販売してきたことが明るみに出た紳士服販売大手「AOKI」。消費者を裏切る詐欺的行為が常態化している可能性が高まったが、問題商法はこれだけではなかった。

別の関係者の話から、より利益を上げるため、AOKI本社が決めた「上代価格」が店舗ごとの判断で高い価格に変えられたり、値引き額が過大に見えるように装った値決めをしていることが明らかとなった。上代価格とは、商品の小売価格として設定されたもので、いわゆる「定価」。定価を上回る価格設定での販売は、顧客を欺く手法と言える。その実態について、2回に分けて報じる。

タグに隠された上代価格

AOKIの関係者によれば、注目すべきは商品の袖口に付けられた「タグ」と呼ばれる札だという。下はそのタグの写真だ。

記された数字やアルファベットには、それぞれ意味があり、例えば左上の『2B2P』は≪二つボタンのツーピース≫を表しており、その下の『835204』は商品番号だ。問題となるのは右上の数字。このタグには『981081』とある。そして、このタグが付けられたスーツの値札が下。価格は『18,000円』となっている。

じつはこれ、上代価格と実際の値札の価格がピタリと一致する数少ないケース。タネを明かせば、タグの右上にある『981081』の下三ケタに、上代価格が示されているのだという。『081』を後ろから見れば『180』。つまり「18,000円」が上代価格。このスーツの値札も「18,000円」であることから、定価で販売されているということになる。なぜ定価販売が「赤札」価格になるのか分からないが、AOKI各店では、こうした価格設定が多い。安くもないのに札の色で安く見せかけるという手法だ。商売上手といえばそれまでだが、あまり感心はできない。

上代価格を上回る値段設定

定価販売なら問題はないと強弁もできようが、次に示すタグと実際の値札の組み合わせはどうだろう。

タグの右上の数字は『035405』。下3ケタの『405』を逆から読めば『504』で、上代価格は50,400円。しかし、値札に設定された価格は『53,000円』となっている。上代価格より2,600円高い。ここで、≪適正価格は守られているのか≫という疑問が生じる。

同じような例をもうひとつ。下の場合、上代価格が隠された数字は『096756』。下3ケタを逆読みすれば『657』で、65,700円が上代価格ということになる。一方、値札には「69,000円」の数字。3,300円上乗せされた販売価格ということになる。

以上3つのケースでは、商品は少しも安くなっていない。2~3例目は、むしろ上代価格より高く実際の販売価格を設定している。セール品ではないため、値引きもない。これがまともな商法とは思えないが、AOKIの多くの店では、こうした値決めが当たり前になっているという。セール期間に入れば、このように定価より高い販売価格を半額にしたり、値引きを行ったりするのだというが、店側の損は思った以上に少ないことが分かる。もう少し詳しく実例を見てみよう。

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