田川市ごみ収集運搬業務の業者選定で便宜供与の疑い

福岡県田川市(二場公人市長)が昨年5月に実施したごみ収集業者のプロポーザル選定を巡り、改めて開示された文書から、市が特定業者に便宜供与していた疑いがあることが分かった。

■隠されていた「契約保証金」についての記述

プロポーザルの結果と違う形になっていた実際の契約業者名を非開示にした同市の処分は不当とするハンターの審査請求を受けた市情報公開・個人情報保護審議会が、「開示すべき」と答申。非開示処分が取り消されたことで、市が隠蔽してきた契約業者名などの文書の記述がオープンになった。下はその中の1枚。左が昨年開示された黒塗りだらけの文書、右が今回新たに開示されたものだ。(*画像クリックで拡大

ハンターが昨年の開示請求で求めたのは「辞退届」。一部開示された上掲左の文書に「なお、令和3年5月28日付けで優先交渉権第1位の通知を受けたC工区については、都合によりその権利を辞退します」という文言があったため、この文書がC工区の「辞退届」だと考えていた。

昨年、同様に開示された文書の中にあったA工区の辞退届(下、参照。早雲商事提出)の文言「令和3年5月28日付けで優先交渉権第1位の通知を受けましたが、都合によりその権利を辞退します」が上掲の文書の開示部分「令和3年5月28日付けで優先交渉権第1位の通知を受けたC工区については、都合によりその権利を辞退します」とほぼ同じだったことも、ハンターの判断を誤らせる一因となっていた。

 ところが、「クリーン北部九州」が提出していた文書の全文が開示されてみると、「辞退届」とはまったく違う内容。文書のタイトルは、「田川市一般廃棄物(ごみ)収集運搬業務委託(A工区)の契約締結に係る契約保証金について」となっていた。この文書は、辞退届などではなく“融資を受けてA工区の契約保証金を支払うので、融資実行日の7月26日まで待ってもらいたい”という意味合いの確約書にしかみえない。

そもそも、《A工区又はB工区の契約候補者がC工区の優先交渉権を得ている場合、A工区又はB工区の契約締結時点で、C工区の優先交渉権は失効する》というプロポーザル実施要領の規定で(*下、赤いアンダーラインが実施要領の該当条文)、A工区を契約する業者は、C工区の優先交渉権が失効する決まりだったはず。A工区の仕事を受注することが確実となっていたクリーン北部九州は、「C工区を辞退します」などという文書を差し出す必要がなかった。

■契約保証金納付を猶予

最大の問題は、隠されていた「標記契約の締結に当たって、金融機関から融資が実行され次第(7月26日)、速やかに契約保証金(23,500,000円)を現金で市に納付します」という一文だ。

実は、クリーン北部九州がA工区の契約を結ぶにあたって田川市に示した契約保証の形式は、業界関係者が「極めて異例」と口をそろえる“現金納付”。一方、B工区とC工区を受注した業者がそれぞれ市と結んだ契約では、履行保証保険契約などを利用した一般的な契約にみられる「保証金免除」となっていた。

 上掲の確約書の記載通り、クリーン北部九州は7月26日に契約保証金を納付したらしく、同日に市と契約を結んでいた。

「田川市契約事務規則」の規定によれば、市と契約を締結する者の納付すべき契約保証金の額は、当該契約金額の100分の10以上。保証金は契約の締結前に納付しなければならない決まりだ。A工区の業務委託料は2億3,426万5,157円で、クリーン北部九州は、その100分の10以上となる金額=2,342万6,600円以上を納めねばならなかった。

だが、開示された一連の文書に沿った時系列などから思料すれば、クリーン北部九州は、早い時期に契約保証金を納めることができなかったとみられる。整理するとこうなる。

 プロポーザルでA工区2位となったことからみても、クリーン北部九州が同工区の受注を狙っていたことは確か。ならば、同社がすんなり選定1位となっていた場合、日を置かずにA工区=クリーン北部九州、B工区=早雲商事という契約が結ばれ、自動的にC工区の交渉権が2位の業者に移っていたはずだ。しかし、実際には早雲商事が5月31日という早い時期に辞退届を提出たにもかかわらず、契約に至る作業は約2か月近くも止まっていた。なぜか――?

考えられる理由は一つ。クリーン北部九州が、2,350万円という高額な契約保証金を即座に納付することができなかったからだ。そのことは、隠されていた「標記契約の締結に当たって、金融機関から融資が実行され次第(7月26日)、速やかに契約保証金(23,500,000円)を現金で市に納付します」という一文が証明している。同社は、数千万円単位の契約保証金が必要になることを承知の上でA、B、Cすべての工区のプローポーザルに応募しておきながら、保証金についての準備を行っていなかったことになる。

他の自治体なら、即刻受注資格を失うケースだが、田川市はクリーン北部九州に2か月もの時間を与えるという特別対応。少なくとも問題の文書が出された「7月12日」から実際の契約日となった「7月26日」まで、契約保証金の支払いを猶予したという事実は動かない。上掲の時系列表から明らかなとおり、これによって、すべての契約作業がクリーン北部九州の都合に合わせた格好で滞っていた。田川市のクリーン北部九州に対する「便宜供与」を疑うべき事例であることは言うまでもない。

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