田川市の環境対策課長が今年1月、利害関係のある業者のために自身が会員のゴルフ場を手配するという便宜供与を行っていたことが分かった。実際のゴルフコンペにも参加していた疑いがある。
コンペを開いたのは、昨年5月に田川市が行ったごみ収集運搬業務の業者選定プロポーザルで一位になり、業務を受注した企業。同事業の所管は環境対策課で、課長自身がプロポーザルの選考委員を務めていた可能性がある。
これまで報じてきた通り、ごみ収集運搬業務のプロポーザルは疑惑まみれ。「官業癒着」の実態が表面化したことで、改めて契約の正当性が問われる事態となった。
■疑惑の課長と一問一答
関係者の話を総合すれば、田川市市民生活部環境対策課の池口芳幸課長は今年1月30日、田川郡内のゴルフ場で開かれた早雲商事有限会社のゴルフコンペに参加、プレーを楽しんだという。
ゴルフ場を手配したのは、同ゴルフ場の会員権を保有する池口課長自身。早雲商事の代表者は池口課長の同級生で、日ごろから付き合いがあった。ハンターの記者は先月、池口課長本人に電話取材し、事実関係について確認を求めた。以下、やり取りの概要である。
――確認するが、今年の1月30日に鷹羽ロイヤルカントリークラブで行われた早雲商事のゴルフコンペに参加していないか?
課長:1月30日……?――早雲商事の周年行事。
課長:……1月30日……。あー、いや行ってないですね。――課長のお名前でゴルフ場を押さえたのではないか?
課長:ああ?――早雲の周年行事だが。
課長:早雲の?――早雲商事の社長はお友達のはずだが?
課長:ああ、友達ですけど。――ゴルフコンペに出たのではないか?
課長:出てないですよ。――出ていない?
課長:出てないですよ。――課長の名前で会場を押さえてないか?
課長:……あっ、会場は押さえてはやりましたけど、出てないですよ。――会場は押さえた。あなた、会員ですね。
課長:私、会員ですよ。――それもわかっている。
課長:あっ、はい。――ゴルフコンペに出たはずだが?
課長:出てないですよ。ー―なんでゴルフ場をおさえてやったのか?
課長:なんで?友達だからですよ。――しかし、早雲商事の代表は利害関係者ではないのか?
課長:利害関係者……。そんなゴルフなんか行っていませんから。通常は職場の付き合いで行ってますけど。役所の人と。――なんで早雲のためにゴルフ場の予約をとってやる必要があるのか?
課長:友達ですよ。―――友達だったら何しても良いのか?
課長:なんで?――なんで?便宜供与だ。度を越えてないか、公務員としては。利害関係者だろう。
課長:利害関係……。だから、ゴルフなんか行ってないって言ってるじゃないですか。――だけど、ゴルフ場押さえたのはあなただ。
課長:そんな手続きなんかしてやっても……。なんで?良くないですか?――逆に聞くが、不適切だと思わないのか?便宜供与だろう。
課長:いや、おさえてやっただけでしょーが。なんで?――あなたは鷹羽の会員の立場を使って、早雲商事のためにやってあげたのではないか?
課長:早雲商事さんも会員ですよ。――それをわざわざ、あなたが押さえたわけだ。
課長:自分の友達……。――ゴルフ場は押さえてやったけど、何が悪いんだとおっしゃるのか?
課長:あっ、はい、はい、はい。普通の手続きを、手続きをしてやったんですよ。――ゴルフには行ってないのか?
課長:はい。――行ってたらどうするのか?
課長:何を行ってたらって。行ってないって。――もし行ってたいたら?
課長:行ってないって。――ゴルフ場押さえたのは、あなたで間違いないか?
課長:ああ、もしかしたら違うかも、違うかもしれませんね。
ゴルフ場の予約を取り付けたのが池口課長であることは確かで、複数の証言がある。最後になって慌てて「違うかも」と言い出したが、後の祭り。池口課長自身が、記者とのやり取りの中でゴルフ場を予約したことを認め、「何が悪い」と開き直っている。
悪いに決まっている。早雲商事は環境対策課が所管する産業廃棄物の収集・運搬を手掛ける業者。昨年5月実施されたごみ収集運搬業務の業者選定プロポーザルで一位に選ばれた会社だ。そのプロポーザルも環境対策課が担当で、池口課長は選考委員を務めていた可能性がある。早雲商事の代表者が田川市にとって利害関係者であることは、紛れもない事実。その代表者と友人であるなら、なおさら付き合い方に気を配る必要があるのに、ゴルフ場を予約してやった上にコンペにまで参加したしていたとなれば、もはやそれは「癒着」でしかない。
ゴルフ参加が証明されれば、ごみ収集運搬業務の業者選定プロポーザルに浮上している疑惑が拡大するのは必定。それが分かっているからこそ、池口課長は「行っていない」と頑張るのだろう。
次から次に浮上する、ごみ収集運搬業務業者選定に関する疑惑――。田川市の議会は、いったい何をやっているのだろう。