田川市・疑惑のプロポーザルの重要証拠入手|暴かれた環境政策課長の「嘘」

「脅してる!脅してる!」――逆切れして記者を威嚇し、取材を拒む担当課長。プライベートだと強弁するゴルフコンぺ参加は、自身が所管する事業の請負業者が主催したものだった。

福岡県田川市が2021年5月に実施した「田川市一般廃棄物(ごみ)収集運搬業務委託 業者選定プロポーザル」の裏には、やはり担当課長と業者の“癒着”“が隠されていた。選定に至る過程で不正が行われた疑いが濃い。

■市長交代で開いた「疑惑の扉」

田川市が一般廃棄物収集運搬業務の委託先を決めるため実施された同プロポーザルを巡っては、不正を疑わせるいくつもの事実が発覚。二場公人前市長が今年4月の市長選で落選するまで、田川市は事業の正当性を確認するためハンターが求めた情報公開をことごとく「非開示」にして業者選定の実態を隠蔽していた。

二場前市政は、市議会が設置した百条委員会でも不正の証明につながる関連文書の提出を拒否。4月の田川市長選挙ではこうした不明朗な市政運営が問題化し、二場氏は初当選した村上卓哉現市長に4,000票もの大差をつけられ3選を阻まれた。

問題のプロポーザルは、地域とごみの種類によって分けられたA、B、C3工区の受け持ち業者を決めるために実施されたものだが、3工区のうち、A工区とB工区で1位になった「早雲商事」(田川市)がB工区の受注を辞退。C工区1位の「クリーン北部九州」も何故か受注を辞退して、同社が選定で2位につけていたA工区を早雲商事から譲られる格好で受注するという異例の展開となっていた(既報1)。不可解な仕事の譲り渡しが実現した結果、C工区の受注を辞退しA工区の仕事を手に入れた「クリーン北部九州」は、年間約9,400万円もの利を得る形になっていることが分かっている(既報2)。

田川市は、プロポーザルの結果を市のホームページで公開しながら開示請求された契約書の実際の契約業者名を黒塗りにして隠蔽。のちにハンターの審査請求(異議申し立て)が通るまで、実務を行う業者名を隠し続けた。

さらに、落選企業が「開示」を認めていたにもかかわらず、実務を任された早雲商事とクリーン北部九州が提出した「業務提案書」は当初非開示。再び審査請求が通って非開示処分が取り消され、ようやく提案内容が分かるといった他の自治体では考えられない情報公開の恣意的運用が繰り返されていた。最大の注目点は、審査委員の顔ぶれが分かる文書と審査の際に審査委員が点数を手書きした「審査個票」だったが、村上市長は就任と同時に両文書を開示(既報3)。閉じられていた「疑惑の扉」が開かれた。

■ゴルフコンぺ参加の「動かぬ証拠」を入手

審査委員のポストが記されていたのは「プロポーザル方式等実施調書」と題する内部文書。A、B、C 三つの工区のプロポーザルの実施方法を定めた項目の一つに「審査委員」の欄があり、5人の委員のポストが記されていた。この中に、ハンターがA及びB工区の選定1位業者「早雲商事」との癒着を疑ってきた『環境対策課長』(現・環境政策課長)のポスト名がある。プロポーザル実施の時から現在までこのポストにあるのは田川市市民生活部環境対策課の池口芳幸課長である。

池口課長は、昨年1月30日に田川郡内で開かれた選定1位業者「早雲商事」のゴルフコンペ会場を、自身の会員権を使って予約。ハンターは、同氏がプレーのあと2次会にまで参加していたことまで報じたが、本人は一連の行為を強く否定していた(既報4)(既報5)。業務提案書とプロポーザル評価表(個票)の検証作業を進める中、ハンターは審査の正当性を否定する「官業癒着の証拠」を入手、21日、田川市役所の環境政策課を訪ねた。

アポなし取材となったため、姿勢をただす間がなかったらしく、池口氏は自分の椅子と別の椅子を縦に並べ、両足を投げ出してふんぞり返った状態。舌打ちして、聞こえよがしに「電話して来るっていったやろが」と吐き出す。30年以上、国や地方の役所と付き合ってきたが、これほど傲慢な態度の役人は見たことがない。市民の目に触れることはないと高を括っているのだろうが、「公僕」としての自覚が欠如しているのは確かだ。

嫌そうにプロポーザル関連文書についての説明に応じた池口課長。短いやり取りのあと、ハンターの記者が池口課長に求めたのは、早雲商事のゴルフコンペに「参加していない」という主張に変わりがないかどうかの確認だった。「変わりない」と返してきたため、記者が“もし(ゴルフコンペに)参加していたとすれば、どう責任をとるか”と続けたところで、池口課長が逆切れした。

「脅しですか。プライベートのことをあんたに答える必要があるのか」「あなたに責任がどうのと言われる筋合いはない」「脅してる!」などと記者を威嚇しながら取材を拒否。「もう話しません」と一方的に宣言して自席に戻ってしまった。やむなく環境対策課を出たが、部屋の中からは、何かを蹴り飛ばすか叩いたかのような大きな音が追いかけてきた。

「国家公務員倫理規程」には、禁止行為として『利害関係者と共に遊技又はゴルフをすること』と明記されている。“割り勘”でも認められない厳しさだ。これは当たり前の話で、例えばライバル企業の人間が、事業を所管する役人と一緒にゴルフをしているのを見たらどう思うか考えてみればわかる。

公務員は国民全体の奉仕者であって、特定の個人・企業に有利な取扱いをすることはできない。中立性を疑われた段階で、その役人は処分の対象なのだ。ちなみに、地方公務員法は『信用失墜行為の禁止』(33条)で、「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」と定めており、池口課長のゴルフコンペ参加は、同条の規定に抵触する可能性が高い。

池口氏は昨年来、「プライベートで何をしようが勝手」という主張を繰り返してきた。だがこれは、“プライベートなら暴力団幹部とゴルフに行ってもOK”と同義。いまの社会においては、絶対に容認されない暴論だ。問題ないと言うのなら、なぜゴルフコンペ参加を否定したのか?

参加が露見すれば、公務員としての自分の立場が危うくなるだけでなく、担当課長として早雲商事を選んだプロポ―ザルの結果にも疑念を持たれる。そうなることが分かっていたからこそ、頑なにゴルフ参加を否定したのだろう。21日の取材の際に立ち会った別の同課職員も「プライベートですから」と池口氏を庇ったが、こうした職員らの態度を見ると、“組織ぐるみの不正”を疑わざるを得ない。

前置きが長くなってしまったが、池口氏が早雲商事のゴルフコンぺに参加していたのは間違いない事実だ。ハンターが入手したのは、「令和4年1月30日(日曜日)」に開催された「早雲商事ゴルフコンぺ」メンバー表で、そこには「IN 11:14」スタートの参加者として「池口芳幸」の氏名があった。

コンペを主催した早雲商事の代表者は「OUT 10:53」スタート。驚いたことに、ゴルフ場を予約した池口課長は「幹事」まで務めていた。メンバー表には、池口課長を含め32名の氏名が記載されている。

■問われるプロポーザルの正当性

担当課長である池口氏が早雲商事との親密交際を隠してきたのは、「田川市一般廃棄物(ごみ)収集運搬業務委託 業者選定プロポーザル」の正当性に疑念が持たれる事態を避けるために他なるまい。同社のゴルフコンぺ会場を予約してやったうえ幹事まで務め、競技にも参加していたというのだから度を超えた癒着ぶりだ。池口氏が「プロポーザルに不正はなかった」とどれだけ潔白を叫んでも、信用する市民は少数だろう。

問題は、プロポーザルを巡る疑惑が、早雲商事と池口課長の関係だけに止まらないことだ。実はこれまでの取材で、不可解な仕事の譲り合いでA工区を受注した「クリーン北部九州」の動きに大きな疑念があることが判明。市民のゴミを収集運搬する企業としての適格性が疑われる状況となっている。問われているのは、プロポーザルの正当性だ。

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