日本維新の会の兵庫県議らからはじまった「国保逃れ」が、SNSでトレンドの上位を占めるようになった。批判に耐えきれなくなった同党の代表・吉村洋文大阪府知事は「全特別党員に調査をする。とりまとめ次第、発表する」と追い込まれたが、「(年内の発表は)難しい。幹事長に任せている」と歯切れの悪い説明に終始している。
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「センターピン」と主張していた衆議院の定数削減が可決できなかった際には、「スピード感がなさすぎて残念。(定数削減の)審議もされず、採決すらされない。まっぴらごめん。茶番劇だ」と息巻いていたが、疑惑が自分たちの身に降りかかったとたんにトーンダウン。しどろもどろの言い訳で失笑を買う始末だ。
維新は国会議員、地方議員などの全特別党員にアンケート調査への回答を求めており、ある維新の議員が「こんなのが来ましたよ」と下のスマートフォン画面を見せてくれた。お手盛り調査の要請だ。

国会議員や地方議員は原則、国民健康保険と国民年金に加入しているはず。自身で会社経営を手掛けるなどしていれば社会保険ということもあり得るが、多忙な政治家がそう簡単に両立できるとは思えない。そうした中、公明党大阪市議の西徳人氏がこの問題について記者にこうコメントした。
「大阪市会議員81名のうち、議会事務局に確認したところ国民健康保険に入っているのは45名でした。36名が他の保険に入っておられる。公明党議員団17名、全員の加入について確認。全員が、大阪市の国民健康保険に加入している。他会派の残る36名、どの党かわかりませんが不正とすれば大きな問題」
81人から公明党の17人を差し引くと64人。うち維新の議員は43人で他党が21人。国民健康保険の加入者45人中、17人が公明党となれば残りは17人だ。前出の維新議員がこう話す。
「大阪市議会は維新が過半数をとっている。複数の維新所属市議が国保逃れしている可能性が大きいとみられる状況だ」
公明党からの指摘に、いち早く「国民健康保険ではない」とSNSに投稿したのは国民民主党の藤原洋一市議。
《選挙以前より現在も薬局経営に携わっておりますので、薬剤師国保組合に加入しております。扶養は子供達4名です》と事情説明し、記録も公表した。藤原氏のように、薬局経営という実態があり、議員活動と両立できているなら問題はない。
ところで、前述した維新のアンケート形式調査だが、ある意味“まやかし”ではないかとみられている。《現在、社会保険に加入をしていますか》などとぬるい質問からはじまるからだ。藤原氏のように保険証か、もしくはそれに準ずる支払いの記録などを提出させれば済むことだが、維新はそうした証拠の提出を求めていない。
国民健康保険でないなら本人から理由を説明させればいいだけのこと。そんな簡単なことさえできない理由があるとしか思えない。あるいは時間稼ぎか――。
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「国保逃れ」疑惑に関して維新は、何事にも「スピード感」を重視してきた吉村知事の姿勢とは真逆の対応をとっている。疑惑の発端となった一般社団法人「栄響連盟」の登記簿は、50ページ以上に理事が約700人という異常なものだ。維新の地方議員と同姓同名のものが4人確認され、全員が「国保逃れ」を認めている。しかし、その点について党としての正式な謝罪さえない。
一方、疑惑の中心である「栄響連盟」は無反応。一般社団法人の連絡先が携帯電話で、しかも1週間以上通じないという状況だ。実態がないと判断されてもおかしくあるまい。
また、国保逃れを認めた維新の地方議員4人の携帯電話をそれぞれ鳴らしたが、こちらも応答なし。関係者がそろって隠ぺいを図るつもりなのだろう。
大阪府のうらべ走馬府議の追及からはじまった「国保逃れ」。今は維新ばかりが注目されているが、ある自民党幹部が「この問題が広がると、かつての年金未納、消えた年金のような大きな問題になりかねない」と懸念を示す。その彼が財布から健康保険証を取り出した。国民健康保険ではなく社会保険。続けてこう打ち明ける。
「うちは家業で会社経営しており、今も仕事に関与し、幹部会にも出席している。ただ、自民党の中には後援会や知り合いの会社の顧問などとして社会保険に加入している議員が相当数いる。維新以上の国保逃れがばれてしまう可能性も否定できない。高市総理も、この問題が広がりかねないと警戒しているようだ」
2004年に年金未納問題が国会で大きく取り上げられると、小泉純一郎内閣(当時)の中川昭一、麻生太郎、石破茂の3閣僚が国民年金未納・未加入で「未納三兄弟」と叩かれ、福田康夫官房長官は辞任に追い込まれた、追及の急先鋒だったはずの菅直人旧民主党代表にも未納期間があることがばれて代表を辞任。高市氏周辺はその時の再来を警戒しているのだ。
「国民にとって、保険、年金は生活に直結する非常に敏感な問題。それに対して、政治家がでたらめをやっているとばれたら政局になりかねない」(前出の自民党幹部)
年末年始にかけて「国保逃れ」という疑惑がどう展開するのか注目である。















