ヒグマ駆除裁判で最高裁が上告受理| 銃を持たないハンター、意見陳述へ

本サイトで繰り返し報告してきたヒグマ駆除をめぐる猟銃所持許可裁判で12月下旬、もとの訴えを起こしたハンターの上告を最高裁判所が受理し、来年2月に改めて口頭弁論を行なうことを決めた。決定を受けて記者会見を開いた上告人(一審原告)の男性は、「二審判決は全国のハンターの足枷になっていた。このまま確定したら大変なことになる」と最高裁の逆転判決に期待を寄せ、法廷での意見陳述に意欲を見せた。

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自治体の要請でヒグマを駆除して地元公安委員会に猟銃を取り上げられたのは、北海道猟友会砂川支部長の池上治男さん(76)。既報の通り、池上さんは2018年8月に砂川市内でヒグマを駆除し、その行為が鳥獣保護法違反などにあたるとして北海道公安委員会に銃所持許可を取り消された。

これを不服として19年に起こした処分撤回を求める裁判は21年12月、札幌地裁で一審判決に至り、公安委の裁量権の濫用などを認める池上さん実質全面勝訴の結果に。だが同判決に異を唱える公安委側の控訴により、札幌高裁の二審では24年10月に逆転判決が言い渡されることとなる。

高裁は、池上さんの撃った弾丸が「跳弾」して建物などを傷つけるおそれがあったなどと認定、ヒグマ駆除の功労者から銃を取り上げた公安委処分に司法のお墨つきを与える決定を出した。熟練ハンターがこれに納得できるはずもなく、ただちに上告。そこから1年あまりを経て、今回の最高裁判断が伝わった形だ。

最高裁の決定は、12月22日付。池上さんの「上告」及び「上告受理申し立て」に対し、同第三小法廷(林道晴裁判長)は憲法判断を伴う前者を退けつつ、後者のうち行政の裁量権の逸脱を問う部分について申し立てを受理した。池上さんの代理人を務める中村憲昭弁護士(札幌弁護士会)は決定翌日の23日午後に札幌市内で記者会見を開き、今回の最高裁判断を高く評価した。

「池上さんの銃が取り上げられてから、すでに7年以上。一刻も早くこれを取り戻してあげたい。札幌高裁の二審判決が過度に『跳弾』を重視した結果、市街地での『緊急銃猟』の要件に悪い影響を与えるということもありました。最高裁が『自判』でこの二審判決を見直してくれたら、緊急銃猟のガイドラインを改善するきっかけにもなると思います」

当事者として会見に立ち会った池上さんは、改めて真っ当な判決への期待を述べた。

「高裁判決は全国のハンターの足枷になっていました。これだけ各地でヒグマの被害が増えている中、このままあの判決が認められたら大変なことになる。国民の皆さんにとって大変なことになる、ということです。安易に『跳弾』の可能性を言われたら、誰も銃など撃てません」

最高裁決定によれば、第三小法廷では来年2月27日午後に口頭弁論を開き、当事者双方の意見陳述の機会を設けることになる。池上さん側は池上さん本人と代理人とで計15分間の陳述に臨む予定だが、対する公安委側が陳述に立つかどうかは定かでない。

同弁論後、最高裁は年度内にも判決を言い渡す可能性が高いが、「自判」の場合はそこで同判決が確定するものの、「差し戻し」となった場合は審理が札幌高裁でやり直されることになり、判決確定までさらに時間がかかることになる。池上さんらが「自判」を強く求めていることはいうまでもなく、銃によるヒグマ駆除を自粛中の地元猟友会関係者らも一刻も早い現場の正常化に期待を寄せる。

今回の決定を耳にした北海道猟友会の堀江篤会長は「これを機に、必要以上に『跳弾』を強調するような判決は見直されるべき。弁論の当日は最高裁へ傍聴に伺うことも検討している」と話している。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

 

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