不正を疑わせるいくつもの事実が明らかとなっていた福岡県田川市の「一般廃棄物(ごみ)収集運搬業務委託」業者選定プロポーザルを巡り、先月の田川市長選挙で3選を狙った二場公人氏を破り初当選を果たした村上卓哉市長が、ハンターの情報公開請求を受け、二場市政下で非開示とされてきた同プロポーザルの審査個票と審査委員を開示した。
審査個票と審査委員が分かる文書は、プロポーザル疑惑を解明するため設置された百条委員会でも開示されなかったもの。不正を隠すため頑なに一連の文書を非開示扱いにした二場市政だったが、「開かれた市政」「徹底した情報公開」を掲げて当選した村上市長が、他の自治体並みの開示方針で臨むよう強く指示したものとみられる。公約達成の第一弾。田川市民の前に立ち込めていた霧が、ようやく晴れそうだ。
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ハンターは田川市長選挙が公示された翌日の4月17日、同市に対し「田川市一般廃棄物(ごみ)収集運搬業務委託」のプロポーザルにおける審査の「審査個票」や審査委員の氏名が分かる文書を開示請求した。開示・不開示の決定が15日後であることから、当時の現職であり市長選の結果にかかわらず任期が残る二場市長が判断するものと見込んでの請求だった。
これまで何度請求しても肝心な部分が非開示となっていた案件。案の定、4月28日付の回答でも役人と選定業者にとって差し障りのない部分だけを開示し、審査個票と審査委員の名簿は非開示となっていた(*下の「部分開示決定通知書」参照)。
プレゼン評価表に記載された採点項目ごとの評価内容を非開示にした理由は「評価内容を公表することにより、今後、本業務を再度プロポーザル方式により審査する場合、その審査の公正かつ公平な執行に影響が出るおそれがある」という合理性のないもの。審査委員会のメンバーを非開示にしたことについては、「今後、本業務をプロポーザル方式により発注する場合、同様の構成による審査委員で審査する可能性が高く、将来における同様の事務の適正な執行に著しい支障をきたす恐れがある」という他の自治体では考えられない、幼稚な理由が付けられている。
この決定が出ることが予想されてていたため、ハンターは同月24日、前日23日の市長選で村上氏が勝利したことを受け、改めて同じ内容の請求を行っていた。
村上市政に代わった5月30日に送付されてきたのは、二場執行部がプロポーザル疑惑を審議した百条委員会でも提出要求に応じなかった審査表と審査委員のポストが分かる文書(*下の画像参照)。気鋭の市長が、公約通りに情報公開を本来あるべき姿に戻したということだ。それによって、これまで本サイトで報じてきた記事の内容が事実であったことが証明された形になっている。詳細は、次週の配信記事で――。