【福岡知事選】勝負がついた候補者レース

 小川洋福岡県知事の辞任に伴い、3月25日告示、4月11日投・開票の予定で行われる福岡県知事選挙の候補者レースに、事実上の決着がついた。

■麻生派の4人と武田良太総務相を除く自民党の県選出国会議員は週末の28日、都内の議員宿舎に集まって協議。出馬に前向きな姿勢を見せている元国土交通省の官僚・奥田哲也氏と県議会の主要会派が推す服部誠太郎副知事の二人を念頭に、立候補に向けた意思や主張について、リモートなどの面談を通じて確認作業に入る方向になったとしている。

協議中、奥田・服部両氏のどちらがいいのかといった議論はほとんどなく、自民党本部や官邸が求めているとされる「一本化」の必要性を共有する場になった模様だ。

■麻生副総理と武田総務相という大物二人を欠いた協議で、重要な案件に決着をつけろということ自体が無理な話。面談で二人を比較した場合、県政に精通する服部副知事有利に傾くのは当然で、奥田氏支持派が矛を収めるための道筋を示したともいえそうだ。

■森友、加計の財務省と文科省、鶏卵マネーの農水省、さらには接待疑惑の総務省と、霞が関はいまや忖度と犯罪行為のデパート。国民の間にキャリア官僚に対する不信感が広がる中、国交省の元局長を引っ張り出した段階で、勝負は見えていたと言うべきだろう。

■「古賀さん(古賀誠元自民党幹事長)からの頼み」で動き出した奥田氏は、26日に福岡入りし久留米の商工会議所会頭や九電関係者と面会。出馬に前向きな発言を繰り返しているが、一部の経済人から面談を断られるなど支持は広がっていない。

■一方、自民党県議団をはじめ旧民主党系の議員で構成される「民主県政県議団」、農政連系の「緑友会」といった主要3会派が足並みを揃えて推すことを決めた服部副知事は、先週の記者団とのやり取りの中で「(県議会側の動きを)重く、真摯に受け止める」として、それまでの慎重姿勢から一歩踏み込んだコメントを発信。今週中にも明確に意思表示するものとみられている。

■一昨年の知事選では、「辞めさせる理由がない」として筋を通した武田総務相ら一部の自民党議員が小川知事を支援。自民党本部は、麻生太郎副総理が強く推した新人に推薦を出し分裂選挙となったが、小川氏が約130万票を獲得して再選を果たしていた。

■今回も、「麻生VS武田」を煽る無責任な報道や噂話が目立っていたが、麻生氏は早い段階から模様眺めで国政に専念。武田氏も候補者擁立で目立った動きを見せておらず、29日の国会議員団の会合にも顔さえ出さなかった。4月の知事選で、自民が分裂する可能性は極めて低い。

■保守地盤の九州だが、大きな首長選挙で自民党推薦候補が負けたケースは少なくない。昨年は鹿児島県知事選挙と鹿児島市長選で自民党推薦候補が敗北。周知の通り、一昨年は福岡で推薦候補が敗れている。遡れば2015年の「佐賀の乱」で、絶頂期にあった安倍政権の推す候補が、県民党を掲げて戦った新人に惨敗している。自民党の看板だけでは、首長選には勝てないということだ。

■県議会が政党の垣根を越えて推す副知事と、古賀元幹事長らが推す元官僚のどちらが適任か――。県民の審判が下る前に、決着がつくはずだ。

 

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