高市早苗首相が、突如として踏み切った解散総選挙。連立を組む日本維新の会は、衆議院選挙の投開票日に合わせて吉村洋文大阪府知事と横山英幸大阪市長が任期途中で辞任する「ダブル選挙」を仕掛けた。物価高に苦しむ国民を置き去りにした党利党略であることは明らか。自民も維新も愚かというしかない。
一方、最大野党の立憲民主党は、高市政権誕生まで20年以上も連立を組んでいた公明党と中道勢力を結集する方針を決め、新党「中道改革連合」の結成に踏み切った。国内の政局は風雲急だ。
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ある立憲民主党の幹部は、「抜き打ち解散に対抗するための急な新党結成とみられているがそうではない。公明党とは、連立離脱直後から中道勢力の結集について話し合ってきた。だから、想定外である真冬の解散総選挙という禁じ手にも、対応ができる」と話す。
立憲、公明の衆議院議員はともに一度離党。その後新しく結成された新党に加わることになる。創価学会を選挙母体とする公明党は結束力が固く、全員が新党に移るとみられているが、立憲党内には新党結成に反対の声が少なくない。「希望の党のようになるんじゃないか」(同党議員)という懸念からだ。
2017年の衆議院選挙では、東京都の小池百合子知事が国政進出を狙って希望の党を結成。当時、人気絶頂だった小池知事は安倍政権を圧倒する勢いで、政権交代も目前といわれた。しかし、ベースとなっていた旧民主党のメンバーに対して、主義主張によっては「排除します」という一言で形成逆転。安倍晋三政権の前に野党は惨敗に終わった。
ただし、今回新党に加わらない議員が無所属として戦う場合、選挙資金を提供するなど「排除の論理」はとらないという。
新党が掲げる「中道」という政策はわかりにくい。立憲の野田佳彦代表と公明・斉藤鉄夫代表は、高市政権が継承する安倍元首相のアベノミクスや新自由主義に対抗する「人に寄り添った政治」だと口をそろえるが、具体的な政策はこれから練り上げるしかない。
今の日本で最大の関心事は物価高。さっそく「食品の消費税ゼロ」を打ち出したが、原発や安全保障についてどうバランスをとっていくかはこれからだ。
新党結成後の衆院選では、全国に11ある比例ブロックの1位を公明党に譲り2位を立憲民主党に、公明党の議員が議席を持つ小選挙区は立憲側にまわし、比例とバーター取引するという。
立憲民主党の若手衆議院議員がこう話す。
「公明党さんとは違い、うちは全員が新党に行くとは思えない。無所属でやる、あるいは他党へ移籍という人が出てくる可能性もある。比例ブロックで公明党を優遇する選挙戦に異を唱える議員がいるのは事実。10人前後が無所属になったり、他党に移籍するといった動きがあるかもしれない。でも、公明票が動くことで接戦から抜け出す人が増えるのも事実。難しいところですね」
新党批判の急先鋒となっている立憲の原口一博氏は《比例に公明党が1位、救済の機関だ》《分党すべき》などと厳しい論調でSNSにポストしており賛同する声もあるのだが、かたまりになるのは困難な状況だ。
剛腕で知られる小沢一郎氏は、新党結成の方針を決めた両院議員総会の時、前列に陣取り、さかんにうなずいていた。かつて細川護熙政権を樹立した時に、非自民、非共産でまとめあげたのが小沢氏。立憲と公明の組み合わせは、それと似た構図であることから野田氏の手腕を評価しているという。
自公政権時代、自民党の議員は公明党の組織票に助けられてきた。しかし、公明党が連立を離脱し、新党結成となればそれは期待できない。
連立を組む維新とは選挙区調整はなく、「お互い選挙で戦えばいい」(吉村知事)とガチンコ選挙が確実だ。自民党の議員からは、弱気の言葉が漏れてくる。
「どの小選挙区でも、少なくとも公明党の1万票か2万票が固いものだった。また、細かな選挙のサポートにも助けられてきた。それがゼロになる。高市劇場の勢いで逃げ切れるかと思っていたが、混沌としてきたというのが実情。我が党の単独過半数なんて、とてもじゃないが無理そうだ」(自民の若手議員)
立憲民主党と公明党の新党結成は、選挙戦を大きく変える“ゲームチェンジャー”になる可能性が高い。















