復権した「裏金議員」たちの実態

衆議院選挙を勝ち抜いた自民党の裏金議員が「もう裏金議員と呼ばれんぞ。選挙で勝ったんだから、禊はすんだ」と胸を張る。旧安倍派の所属で、前回の総選挙で落選したが、今回1年3か月ぶりにバッジを取り戻した。

自民党は前回の衆院選で、裏金議員の公認や比例重複を認めなかったが、高市早苗総裁に代わったとたん、公認も比例重複もOKとなった。「政治とカネ」に無頓着な高市自民党の、それが実態だ。

◆   ◆   ◆

裏金議員45人が立候補し43人が当選。落選となったのは国会議員とは思えない「差別発言」で物議をかもした杉田水脈氏(大阪5区)と加納陽之助氏(大阪10区)の2人のみ。裏金に染まっていた旧安倍派の幹部たちは次々に要職に就いており、明暗を分けた格好だ。

裏金組の世耕弘成元経産相(和歌山2区)は無所属で出馬して圧勝。西村康稔氏(兵庫9区)も圧倒的な強さを発揮し再選されている。高市首相はさっそく、西村氏を選対委員長に、松野博一元官房長官を組織運動本部長に起用。すでに萩生田光一氏は幹事長代行となっており、まさに“安倍派復権”の様相だ。

「まったく反省していないのに、選対委員長というのはどうなんだ」と西村氏を重用する高市自民党に怒りの矛先を向けるのは、兵庫9区の有権者。見せてくれたのは、選挙戦直前に西村陣営が兵庫9区で配っていたビラだ。

《西村やすとし選挙事務所開所のお知らせ》というもので、兵庫9区内にある淡路島の洲本市と南あわじ市の選挙事務所開所日程の案内が掲載されている。地元でブーイングとなっているのが、洲本市の案内。《〇お車でお越しの際は、「イオンスタイル洲本駐車場(2時間無料)をご利用いただけますようお願い申し上げます》と書かれている。

西村氏の事務所は洲本市の繁華街にあるショッピングセンター「イオンスタイル洲本店」の目の前に位置する。駐車場がないことから、隣接するショッピングセンターの駐車場を使ってほしいという案内がなされているのだ。

イオンスタイル洲本店のホームページなどを確認したところ、入庫から2時間は無料、1,000円以上の買い物で3時間無料となっていることがわかる。同店の駐車場が、施設利用者のために設置されているのは言うまでもない。

別のイオンの店舗のホームページには、明確に《当施設ご利用以外での駐車はご遠慮ください。万が一利用目的以外で駐車された場合、所定の駐車料金を頂戴いたします》と記されている。

西村氏は、本来用意しなければならない駐車場を、同店の2時間無料という設定を悪用して“タダ乗り”しているだけではないのか。

西村氏の選挙事務所開所に参加する人に同店への駐車を勧めるのは明らかに、目的外利用の推奨。前出の有権者は、同店に買い物に行った時、施設スタッフに「選挙事務所の開設に来る時に西村氏の事務所がここの駐車場に止めろと案内している。許可をしているのか」と聞いたという。返って来たのは、「駐車場は施設を利用される方々に提供しています」という当然の回答だった。

ちなみに、西村氏は選対委員長就任にあたって、自身のXに《自民党選挙対策委員長に就任しました。身の引き締まる思いです。高市政権の安定のため、政策実現のために、全力で取り組んでいきます》とポストしている。身を引き締めて「ルール」を守るべきだろう。

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西村氏同様に、地元で批判の声があがっているのが世耕氏。2024年の衆議院選挙では、二階俊博元自民党幹事長三男、伸康氏を撃破。今回は、自民党が候補を擁立しなかったため圧勝し、「紀州戦争」に終止符を打った。世耕氏を支持してきたある地方議員は「今回勝てば、高市総理のもとで自民党に復党できると期待していた」と話す。

世耕氏の当選を受けた前任の選挙対策委員長・古屋圭司氏は、「今後(復党の)対応していく必要がある。プロセスを踏んだ上で入党という形になる」と復党に“お墨付き”を与えていた。

こうした動きに反発したのが自民党和歌山県連。党本部あてに「抗議文」を出したという。和歌山県連幹部は怒り心頭だ。

「世耕さんとは前回の衆議院選挙と昨年の参議院選挙で対立していた。それが選挙直前の1月16日に、県連と世耕さんの間で『確認書』が交わされ関係修復がスタートしたばかり。和歌山2区に候補者を出さなかったが、世耕さんには推薦も支持も出していない。高市総理と親しいからといって、いきなり復党というのはおかしい」

ハンターが入手した「確認書」には《今後、世耕弘成衆議院議員と自民党和歌山県連は友好関係を尊重し、行動を一にすることに努める》《今後の自民党における世耕弘成衆議院議員の処遇について、党本部の意向も踏まえて和歌山県連は対応する》などと記されている。

県連の動きに同調しているのが、自民党の石井準一参院幹事長。選挙後の記者会見で、「(世耕氏が早期に)復党することはあり得ません」と述べた。参議院自民党の関係者はこう話している。

「世耕さんには復党してほしいが、長く参院幹事長として権力を握っていたから、反発も強い。石井さんは世耕さんが復党したら、また参議院に絡んでくると警戒している。対立の背景にはそれがある」

 

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