「超がつく安定政権のはずなのに、このままではいつまでもつか分からない」と不安を口にするのは、ある自民党の閣僚経験者。今年2月の衆議院選挙で大勝した高市早苗首相は、その後のトランプ大統領との会談もうまく乗り切ったとみられていたが、風向きが変わりつつあるという。
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今月4、5両日に実施された共同通信の世論調査では、高市政権を「支持する」が63.8ポイント(3月は64.1)、「支持しない」が26.0ポイント(3月は24.0)、「分からない・無回答」が10.2(3月は11.9)という結果だった。ほぼ横ばいで、高い支持率を誇っていることが分かる。
そうした中、にわかに高市首相の進退が騒がしくなるきっかけとなったのが、月刊誌「選択」4月号の《幹部が嘆く官邸機能の「崩壊」 高市が「退陣」を口にした夜》という見出しの記事。
《「あいつに羽交い絞めにされた。許せない。切るつもりでいる」》と、高市首相が「羽交い絞めにした」という人物に激怒しているという。その名は、内閣官房参与筆頭の今井尚哉氏。安倍晋三元首相と二人三脚で、長期政権を担った元首相秘書官だ。
高市氏が総裁選に勝利した直後の昨年10月、内閣官房参与となり新首相を支える側にまわった。今年2月の電撃的な解散総選挙を指南したのも今井氏とされる。そんな今井氏と首相との関係について、官邸関係者が現状を明かす。
「予算委員会で答弁する姿を見てもらえばわかるが、高市総理はかなり痩せて、持病のリウマチで右手には手袋をしながら答弁しています。体力的にもかなり厳しい状況。そこへ、解散総選挙の陰の功労者とされる今井氏との対立となれば、精神的にもかなり追い込まれているはず。『今井の話は聞いていられない』と(高市氏が)が怒っているという噂もある。官邸でも高市さんは非常に苛立っているという話が聞こえてきています」
毎朝、アメリカとイランの情勢が気になって深夜に就寝し、数時間で目が覚めてしまうという高市首相。苛立つ要素が満載という状況なのだ。
「選択」の記事や周辺の話から「高市VS今井」という構図にみえるのだが、そう単純にはいかないのが永田町。前出の官邸関係者は「官邸がグラグラしているとなれば、当然、黙っていられない人がいます」。その筆頭が、キングメーカーの麻生太郎副総裁だという。
昨年9月の自民党総裁選で高市首相をかつぎ勝利の原動力となった麻生氏。しかし、2月の衆議院選挙は事前に知らされていなかったといわれている。それは、麻生氏の義弟、鈴木俊一幹事長も同様だった。
「1月8日夜の読売新聞のネット記事で、麻生先生は高市首相の解散総選挙という意向を知り『本気なのか』と首をひねったと聞いています。まったく知らなかったようです。それは鈴木幹事長も同様。せっかく高市首相を押し上げたのに、思い通りにならないことに麻生先生はかなり立腹していらっしゃるのではないでしょうか。今井さんは安倍政権時代、麻生先生とは非常に良好な関係でした。麻生先生が今井氏側につき、体調不安などを理由に高市さんの『次』を模索しているのではないのかとの話が出ています」(前出の官邸関係者)
高市首相には、「サナエトークン」や疑惑の献金など「政治とカネ」を巡るさまざまな問題が見え隠れしているのも事実(既報)。別の永田町関係者は、「電撃解散で選挙に勝った高市首相だけに電撃辞任があってもおかしくない」と笑う。
麻生氏がキングメーカーとして動くなら、次の総理総裁の筆頭候補は茂木敏充外相だと言われている。高市首相とトランプ大統領の会談にも同席。外相として、アメリカとイランの紛争でも、仲介役として存在感を発揮しつつある。4月7日には、イランに拘束されていたNHKのテヘラン支局長が保釈されたというニュースが流れたが、これも茂木氏がイラン側に粘り強く働きかけた「成果」だとみられている。
麻生氏も、なにかにつけ相談を持ち掛けてくる茂木氏を「いつでも使えるカードだ」と考えているフシがある。
高市首相を支援している旧安倍派の中堅議員のA氏は、「官邸や党がぐらつく時に助けてくれる人物が高市さんのそばにはいない。もともと友達が少ないと言われる高市さんの、ある意味弱点だ。旧安倍派でも高市さんに頑張ってほしいという気持ちは強いが、一方で『5人衆』と呼ばれたうちの幹部らが、虎視眈々と総理の椅子を狙っているのも事実。もし麻生さんが茂木さんを担ぐなんてことになれば、5人衆も黙っていないでしょう」と話す。
確かに、高市政権を身を挺してでも守り抜くというタイプの閣僚や党幹部はほとんど見当たらない。小泉純一郎元首相や安倍元首相は最初から高支持率を維持し、長期政権となった。しかし、安倍元首相の第1次政権は支持は高かったものの、体調不良もあり短命だった。
安倍元首相の背中を追っている高市首相。意外と「短命」という可能性もある。















