河井夫妻起訴|自民党巨額買収事件で問われる政治家の往生際

前代未聞の巨額買収事件で逮捕された河合案里参院議員と夫で元法相の河井克之衆院議員が8日、そろって起訴された。事件に絡み、何人もの首長や議員が現金授受を認め、すでに職を退いている。

買収は、不正なカネを渡した側はもちろん、もらった方も罰せられるのだから当然ではあるが、釈然としないのはカネで議席を買うという議会制民主主義を冒涜する行為を犯した河井夫妻が未だに買収を否定し、議員バッジにしがみついていることだ。

河井夫妻を特別扱いし、1億5千万円もの資金を渡した安倍自民党は、なぜ責任をもって辞職を求めないのか――。

■起訴でも辞めない身勝手夫婦

河井夫婦がばら撒いたとされる買収資金は、計約2,570万円。そのうち約1,810万円は、広島県内の42人に上る首長や議員らに渡されていたのだという。

カネをもらった政治家が次々と事実関係を認めており、安芸太田町長、三原市長、安芸高田市長の3人の首長が責任を取って辞職、案里被告の後援会長だった府中町の町議もバッジを外した。議員の中から辞職する人間が出ることも確実視されており、「ドミノ辞職」で県政界は益々混乱するものとみられている。

河井夫妻が野心を満たすために他人に迷惑をかけたことは紛れもない事実。そのために公職を退かざるを得ない状態に追い込まれた人がいるのもまた、否定することのできない事実だ。

しかし、小菅にある東京拘置所の塀の内側に落ちた夫妻は、辞めるどころか「買収ではない」と強弁を続けており、地検特捜部に徹底抗戦する構えだという。「往生際」という言葉があるが、河井夫妻の辞書には載っていないということだろう。

勾留満期となった8日、河井被告夫妻は、そろって起訴された。ある捜査関係者は、次のように話す。
「河井夫婦は、どちらも否認しており、反省の弁は一切なし。克行はカネを渡したことは認めながらも『当選祝いだ』『陣中見舞いです』と強弁しており、買収の意図はなかったという言い訳。案里は『すべて夫や選対に任せていたからなにもわからない』と繰り返すばかり。裁判までこの姿勢を貫くつもりらしい」

■広がる波紋

往生際の悪い二人のせいで、波紋は広がるばかり。7月4日には、河井夫妻の支援者として知られる鶏卵業大手「アキタフーズ」の東京本社と福山本社を東京地検特捜部と広島地検が捜索し、同社の関与が取り沙汰される事態になっている。アキタフーズは2013年から18年にかけて、克行被告の政党支部に1,866万円もの資金提供を行っていたことが分かっている。

「参院選の時、アキタさんは案里のために大きな集会を広島県世羅町で開催していた。河井夫婦は広島市内が地盤で、世羅町など広島県の東部は縁がない。そこでわざわざアキタさん集会をやってくれたというのは、いかに深い関係かよくわかる」(地元の町議)

起訴が近くなってからのアキタフーズへの強制捜査。河井夫妻の再逮捕を示唆する声が上がるなか、広島政界の混乱は収まる気配さえない。

河井被告夫妻がカネをばらまいた先は、40人が市長、町長、県議、市議、町議という政界関係者。元職を含めると、その数はさらに増える。逮捕時の買収金額は2,570万円だったが、起訴の時点で積み増しされ2,900万円にーー。実際にはこれがすべてではなく、総額は3,000万円を優に超すとも言われている。他にもカネをもらった県議、市議がいるということだ。そうした中、ある地方議員が重い口を開いた。
「もらったのは事実だから、責任をとらねばいけない。だが、すぐにやめちゃいけんと言われている。身動きがとれん。やめるわけにはいかんのだ」――これは、一体どういう意味なのか?

別の自民党県議が、こう解説する。
「もし、何人もの県議・市議が辞職するとまた選挙になる。カネをもらっているのは自民党の議員ばかりだから、安倍政権にも影響する。選挙になったら、税金をつかわにゃいかん。だから、カネをもらった県議、市議は『じっとがまんじぇけぇ』と言っている。というのも、自民党本部が党の規約などに照らし合わせて、処分の方向性を決めるという。ただ決める前の、検察がもらった議員たちにどういう処分を下すのかも大事なポイント。それを待っているようだ。ようするに今は勝手に辞職したり、続けるとか言うなってことだ」

そんな時間稼ぎをしている間に、県議には約200万円、広島市議には211万円ものボーナスが支給された。議員辞職を拒んでいる河井夫妻にも国からボーナスが出ており、克行被告と案里被告は、それぞれ319万円をもらっている。

政治家が手にする歳費やボーナスの原資は、言うまでもなく税金。国民がコロナ禍に苦しむ中、民主主義の基本である選挙を汚した連中に血税がつぎ込まれるという現状を、決して許してはなるまい。理不尽な事態を招いたのは紛れもなく安倍政権だが、我が国の宰相は「責任はある」「真摯に受け止める」という言葉を繰り返すだけだ。実はこの人が、誰よりも往生際が悪い。



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