鹿児島県の三反園訓知事(62)が、今月1日に開幕した県議会初日の提案理由説明の中で、公職選挙法に抵触する疑いのある発言を行っていたことが分かった。
知事は県議会初日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて自らの給料と退職手当を減額する条例案に関し、提案理由を説明。その中で、次のように発言していた。
「新型コロナウイルスとの本当に厳しい闘いが続いております。このような中、県民の皆様と痛みを分かち合うため、私の給料について、任期満了までの間、2割減額、退職手当についても。現任期に係る手当てを2割減額することとし、関連する条例案を今議会に提案しているところであります。
なお、次期知事選において、再び県民の皆様の御支持、御支援がいただけるならば、引き続き県政を担当させていただきたいと考えており、その場合、給料について、引き続き2割減額したいと考えております」
問題になるのは、後半部分の「次期知事選において、再び県民の皆様の御支持、御支援がいただけるならば、引き続き県政を担当させていただきたいと考えており、その場合、給料について、引き続き2割減額したいと考えております」のくだり。
分かりやすくいえば、“県民が私に投票して再び選挙に勝せてくれれば、自分の給料を2割削って県民に還元する”と言ったに等しい。これは、知事の立場を利用して投票を呼びかけたも同然の形だ。
公職選挙法は、各候補の選挙運動の期間について、立候補の届出が行われた時点から当該選挙の期日の前日までと定めており、それ以前の投票呼びかけなどは「事前運動」とみなされ違反すると1年以下の禁錮または30万円以下の罰金、特別職を含む公務員がその地位を利用して選挙運動を行えば「地位利用」として2年以下の禁錮 又は30万円以下の罰金となる。
鹿児島県知事選挙の告示は今月25日。選挙戦本番まで1か月を切ったこの時期での、一線を越えた三反園氏の発言は、立候補した時点で同法違反に問われる可能性がある。