前代未聞!経済産業省の出先が開示文書の対面説明を拒否|説明責任「ございません」

2016年、防衛省が、保存されていた自衛隊南スーダン派遣隊の日報を「廃棄した」として非開示にしていたことが発覚。その後、森友学園問題で財務省が決裁文書を改ざんしていたことや、加計学園問題を巡る文部科学省の文書隠蔽などが相次いで露見する。

8年続いた安倍晋三政権下、情報公開への信頼性は地に落ち、国は厳しい批判に晒された。背景にあったのは「権力」への忖度。さすがに傲慢な霞が関も懲りただろうと思っていたが、官僚の劣化はより深刻な状況となっている。

ハンターが情報公開請求した経済産業省九州経済産業局が、開示された文書の対面説明を拒否。「(説明責任は)ございません」と言い切った。

■形を変えた隠蔽

ハンターは昨年10月、経済産業省九州経済産業局に、福岡県内で整備が進む発電所の申請書類を開示請求した。同局エネルギー対策課は申請者の意見を確認するとして開示決定期限を1カ月延長。実際に開示・非開示の決定がなされたのは12月15日だった。

手数料支払いなどの手続きを経て、請求した文書が送られてきたのは今年の1月。発電所が建設されている自治体から入手した関連文書などと合わせ精査しながら地元への取材を進めていたが、そこで、九州経済産業局の開示文書にいくつかの疑問が生じる。

同局の担当課に説明を求めるというのは当然の流れで、ハンターの記者はアポイントをとるため、資源エネルギー環境部エネルギー対策課(以下、「エネ課」)に連絡した。開示の実施やその後の説明に「対面」が必要となった場合、調整して日時を決めるのは国も地方自治体も同じ。新型コロナの感染対策が緩和された現在、対面での説明を拒否する役所などない。ところが、対応した課長補佐は……。

――先日開示された文書について、説明してもらいたいのですが。
エネ課:はい、どの文書でしょ。

――そちらに伺ってからじゃないとわからないと思います。
エネ課:ええと、伺うというのは?

――そちらに。
エネ課:はい?

――文書を確認しながら、尋ねたいことがあります。
エネ課:すみません。それはですね、お受けしていないんですよ。

― え?情報開示のときには説明を受けますよね?それができないんですか?
エネ課:ええ、そうですね。文書として、その開示の方法をお示ししているだけで。そこでご説明、中身のご説明までは致しておりません。

――開示文書について、国は説明しませんか?
エネ課:いいえ。ですから、えー、今、あのー、えっとお出し、紙でお出してるものがございますよね……。

――出して終わりですか?
エネ課:あの、こういった形で、あのー、文書をお出ししている、ということになります。

――出された文書についての説明責任はないんですか
エネ課:ええ。ございません。そこまではいたしておりません。

――え?
エネ課:開示を決定して、通知をして、それを基に、申出を受けて、で、文書をお出ししている、というとこになりますね。

――その文書については、問い合わせは受けないんですか?
エネ課:えー、その内容によります。ですから、今お電話で。

――国に何度も情報公開かけてきました。窓口に行って、開示を受ける場合があるじゃないですか?
エネ課:窓口で開示を受けるというのはどういう?

――郵送ではなくて、ということですよ。
エネ課:はい。

――その場合は、文書を受け取る時に『これはどういうことですかね』と聞いて、説明を受けます。今までそうしてきましたけど。
エネ課:ですから、それは内容によりますね。そのすぐお答えできることもあれば、あのその場でお答えできないこともございまして。

――もちろんもちろん。『今わからないから、あとで電話しましょう』みたいな形はあまりますが、対面の説明を拒否されたことはないですよ。
エネ課:拒否はしておりません。ですので、あのー、先日お出しした文書に対して、今、私も手元に紙を持っておりますので。ファイル持っておりますので、あの、一緒に確認しながら、あのー、今お聞きすることは可能です。

――そちらに行って、説明を受けることはできないんですか?
エネ課:そうですね、それは、すみません、しておりません。

――取材という形で伺えばいいですかね?
エネ課:うーん、そういった形ででもですね。

――私ども、ニュースサイトハンターと申しますけど、そういう態度取られるんだったら、きちんとやらせてもらいますよ。これは説明責任の放棄じゃないですか。
エネ課:いえいえ、あの……。

― じゃあ、窓口で開示したときはどうしてるんですか?
エネ課:まあ、あの、その通り、お示しいたします。

――あなた国の情報公開法知ってますか?
エネ課:はい。

――開示した文書については説明責任があるんですよ。
エネ課:ですが、それは内容によります。

――だから、分からないことまで答えろとは言っていない。子供じゃないんだから。
エネ課:はい。

――開示した文書の説明を電話以外は受け付けてはいないとか、初めて聞きました。
エネ課:ああ、そうですか。

説明責任は「ございません」、対面での説明は「しておりません」と断言するエネルギー対策課の課長補佐。20年以上、国や地方の情報公開と向き合ってきたが、開示された文書の対面での説明を拒否されたのは初めてだ。しかもこの課長補佐、「説明責任」を否定するのだから開いた口が塞がらない。国民をなめているのか、ただの無知なのか――。いずれにせよ、情報公開に不慣れな人なら、国の役人の言葉に騙されてしまうだろう。これは、形を変えた隠蔽だ。

この後、ハンターの記者が経済産業省で情報公開を統括する大臣官房情報公開推進室に抗議したことで九州経済産業局は態度を一変させ対面説明に応じるのだが、異常な対応の裏には、やはり「本物の隠蔽」があった。対面説明拒否は、その点に触れられるのを避けたかった九州経済産業局の、意図的な行為だった可能性が高い。

(以下、次稿)

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