元法相の影|「黒革の手帳」が暴く宮路大臣政務官と鶏卵マネーの関係(3)

大臣在任中に現金500万円と引き換えに請託を受け、収賄の疑いで在宅起訴されることが確実となった吉川貴盛元農相。贈賄側は、鶏卵生産大手「アキタフーズ」(本社:広島市)の秋田善祺元代表で、同代表が残していた「黒革の手帳」には、吉川氏をはじめ複数の政治家の名前が記されていた。ハンターは、手帳の記述によって秋田元代表が提供したカネとの関係が明らかとなった宮路拓馬総務大臣総務官に絞って検証を続けてきたが、ここに来てアキタフーズと宮路議員をつなげたとみられている政治家の存在が明らかとなった。その人物とは……。

■河井克之・自由民主党広島県第三選挙区支部から毎年10万円

当選2回の若手としか見られていなかった宮路議員と秋田元代表を引き合わせたのは誰か――。疑問を解くヒントは、宮路氏の資金管理団体「拓翔会」の政治資金収支報告書にあった。

拓翔会が総務省に提出した政治資金収支報告書によれば、同会には2017年・18年・19 年の3年間、いずれも主地盤である鹿児島県とまったく関連性がない「自由民主党広島県第三選挙区支部」から、きっちり毎年10万円が寄附されていた。(*下は、19年分の報告書の表紙と寄附の記載)

昨年まで、自由民主党広島県第三選挙区支部の支部長を務めていたのは河井克行元法相。昨年、妻で参院議員の河井案里参院議員の選挙で巨額の買収資金をばら撒いたとして公職選挙法違反(買収)容疑で逮捕・起訴された人物である。

河井被告夫妻の事件を巡っては、自民党本部から1億5,000万円という途方もない資金が河井氏側に流れ、そのうちの7,500万円を克行被告の広島県第三選挙区支部が受け入れていたことが分かっている。宮路議員は、その河井被告側から寄附をもらう立場だったということだ。

■宮路議員は克之被告の「向日葵会」メンバー

宮路議員と河井被告の親密な関係を示す証拠は、まだある。河井被告は、「向日葵(ひまわり)会」という集まりを主宰しており、宮路氏もそのメンバーなのだ。「向日葵会」とは、無派閥議員を中心に情報、意見を交換する場として、2018年6月に河井被告が結成を呼び掛けたグループ。衆参13名が参加しており、河井被告が逮捕される前には、毎週木曜日に昼の例会を開く他、講師を招いての夕食会などを行っていた。SNS上では、投稿された向日葵会の画像が何種類も確認可能だ。

これまで報じてきた通り、アキタフーズの秋田元代表が引き起こした贈収賄事件は、検察が河井被告夫妻の公職選挙法違反を捜査する過程で、アキタフーズを家宅捜索した際に押収した「手帳」と「裏帳簿」が決め手になったと言われている。

その手帳に、宮路議員が何度も登場することは、配信記事の中で記述のコピーを示して明らかにしたところだ。ある自民党関係者話は「宮路拓馬とアキタフーズを結びつけたのは、おそらく河井克行元法務大臣。向日葵会の主宰者と会員という関係によるものと考えるのが妥当だろう」と話している。

では、アキタフーズ側から、河井被告が目をかけていた宮路議員側に流れたカネの額は、これまで明らかになっている100万円だけなのかーー。実は、ハンターが新たに入手した「手帳」と「裏帳簿」の記述から、その答えになりそうな別の疑惑が浮上している。

(つづく)

 

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