任期満了に伴って23日に行われた福岡県田川市の市長選挙で、元市議の村上卓哉氏(52)が、現職で3選を目指した二場公人氏(66)を破って当選を確実にした。
◇ ◇ ◇
村上氏は田川市出身。地元の高校から福岡大学経済学部に進み、卒業後は田川の信用金庫勤務などを経て2015年に田川市議会議員に初当選。2期務めた後、今回の市長選挙に挑戦した。
選挙戦は、自民、公明などの推薦を得て組織戦を展開する二場氏と、市政改革を目指す市議の仲間たちや多くの市民に支えられた村上氏の一騎打ちとなり、激しい戦いに――。最後は「田川に元気を取り戻す!」を旗印に掲げて草の根選挙を徹底した村上氏が、現職の厚い壁を打ち破った。
田川市政は、2021年に行われたごみ収集業者の選定プロポーザルに官製談合の疑いが浮上して百条委員会が設置されたり、二場市長派の市議が役員を務めている会社への便宜供与とみられる事案が発覚するなど疑惑まみれ。昨年7月、義理の兄で暴力団「太州会」の企業舎弟から大任町長になった永原譲二氏が組合長を務める「田川郡東部環境衛生施設組合」(田川郡内にある8市町村で構成)が、地方自治に関する勉強会を開いた村上氏ら3人の田川市議に対し謝罪と質問への回答を強要する脅迫文書を発出した際には、これに同調して署名・捺印していた。
組織とは無縁の村上氏の勝利は、黒い噂が絶えなかった二場氏の市政運営に、市民が「NO」を突き付けた結果といえそうだ。