迷走する岸田政権|永田町が注目する麻生、二階両氏の動き

「岸田首相も最後のあがきだ」「解散総選挙か退陣か、どっちだろうか」――永田町では、岸田文雄首相の「迷走」が続き、2人寄ればこんな話が繰り返されている。

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1か月の間に、経済再生担当大臣の山際大志郎氏、法務大臣の葉梨康弘氏、総務大臣の寺田稔氏と3人の大臣が更迭された。「4人目」の有力候補に挙がってるのは、親族に高額な政治資金を流していた秋葉賢也復興大臣である。

「葉梨氏の更迭のためにG20などの外遊に出発する時間を遅らせたが、その時に寺田氏も切るべきだった。総理は聞く力というが、聞きすぎて決断できない。総裁選のキャッチコピーがマイナスに作用している」と自民党幹部は話す。

寺田氏の更迭で、岸田首相が頼りにしたのが麻生太郎副総裁だ。昨年10月の総裁選では、自派から出馬した河野太郎デジタル担当大臣ではなく、岸田首相を支持。もう一人のキングメーカーだった安倍晋三元首相は高市早苗安全保障担当大臣を推したが、麻生氏は甘利明氏ら自民党の有力者を束ねたことで岸田首相が勝ち、麻生氏はキングメーカーの座を勝ち取った。

安倍氏が銃撃事件でこの世を去り、唯一のキングメーカーとして君臨する麻生氏。更迭された3人の後任、後藤茂行経済再生担当大臣、斎藤健法相は無派閥から選ばれたが、寺田氏の後釜となった松本剛明総務大臣は麻生派である。松本氏は、民主党政権時代に、外相を経験している。

「無派閥でもう使える人がいないと、岸田首相が麻生さんに相談した。麻生さんは、旧民主党から移籍してきた松本氏を以前から閣僚候補と評価しており、ここぞとばかりに押し込んだ。松本氏は旧民主党だから、旧統一教会問題との関係はまずないと踏んで岸田首相も了承した」そう打ち明けるのは、岸田派の国会議員だ。

だが、麻生氏の腹の内はすでに岸田首相の「跡目」を睨んでいるという。「麻生先生は連日、自民党の幹部と話し込んでいますね。茂木幹事長とは毎日、党本部や電話でやっていますよ。麻生先生にすれば、岸田首相は長く持たない。誰を真っ先に支持して流れを作るかにかかっている。その準備が加速しているということ。麻生先生は派閥の集まりや食事会などでも、『次も、ど真ん中でうちが支える』と話しており、意気軒高です」(麻生派の国会議員)

安倍派、茂木派に続き第3派閥の麻生派。圧倒的に数的優位に立っているはずの安倍派だが、安倍氏の後任は未だに決まらない。安倍派の若手国会議員は、心配そうにこう話す。
「次の総裁選は2年後ですが、その時まで誰がトップになるのか決まらない可能性があります。私のような当選回数がまだ数回という若手からみると安倍元総理が偉大すぎて、他の候補と言われる政治家が頼りなく思えてしまう。有力者と言われる先輩から飲み会の声がかかりますけど、実際行ってみると『これじゃダメだ。安倍さんはやっぱり凄かった』という感じです。他の若いメンバーも同じような感想でした。下村博文元文部科学大臣、塩谷立会長代行、西村康稔経産大臣、萩生田光一政調会長、世耕弘成参議院幹事長など後継候補は多いようですが、今の清和会には他の派閥の人間からみても、やっぱりこの人なんだと納得できた森(喜朗)さんや町村(信孝)さんのような人物がいない。当面はまとまらないでしょう」

岸田首相の跡目を巡る動きさえ見えてきた自民党だが、こちらも深刻な人材難と言えそうだ。昨年の総裁選で岸田首相に負けた河野太郎デジタル担当大臣や野田聖子衆議院議員も有資格者だが、河野氏は決戦投票にも進めない3位となり、無派閥の高市氏の後塵を拝すという「惨敗」だった。前出の麻生派議員は、次のように指摘する。
「河野さんは麻生派に属していますが、麻生先生は岸田さんを推した。あの時点から急速に河野さんの勢いがしぼんで、派内だけではなく党内でも『岸田首相で』という空気感になっていった。河野さんは最初だけ勢いがいいが、あとが続かない。ワクチン担当でも『1日100万回』とやって勢いでなんんとか達成はできた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が止まったかというと、まったく逆。いまは第8派が拡大中なのに、何度目かのワクチン接種を拒む人がいるほどだ。総理大臣は日本全体をまとめあげ、10年先、100年先の未来まで見て動かすのが仕事ですから、スタートで目立つだけでは務まらないのです。党内で『河野はいい』という声は少数。総裁選で河野さんに1票を投じるかと聞かれれば、みんな首をかしげるのです。河野さんが総理総裁の座をつかみ取るには、まず麻生先生を口説き落とすしかありません」

党内で岸田首相の「跡目」として急浮上しているのが、茂木派を率いる茂木敏充幹事長だ。当初は消極的だった旧統一教会の問題についても、最近は積極的に前に出てアピールするようになった。「旧統一教会問題を解決して次期総理へのアピール材料にするつもりでしょう。永田町や霞が関ではパワハラ体質が嫌われているが、国民にそこがばれないなら、自分の派閥があるだけに有利です。それにここ数年は麻生副総裁ととても仲良し。十分に次が狙える位置にいます」(茂木派の国会議員)

岸田首相の「命運」と「跡目」のいずれについても、麻生氏が大きなカギを握っているということだ。その麻生氏以外にキングメーカーとなりうる可能性があるのは、菅義偉前首相と二階俊博元幹事長。だが2人には、ハンターで何度も報じてきた「大樹総研問題」があるという。東京地検特捜部が五輪汚職の次に狙っていると言われるのが、政財界のフィクサー・矢島義也氏と同氏が率いる民間コンサル「大樹総研」。菅、二階両氏は矢島氏と昵懇の仲だ。自由に動けるかどうかだが、とくに注目を集めているのが二階氏である。

和歌山知事選候補者選びで存在感示した二階元幹事長」で報じたように、和歌山知事選挙で老かいな手腕をみせつけた二階氏。老いてなお健在だ。ある自民党幹部は、「今後の政局は予測不能」としながら、こう話している。
「岸田首相の跡目が誰になるのかはキングメーカーとなった麻生氏と彼に対抗できるだけの経験値を持った二階氏の2人が、対立してガチンコになるのか、あるいは結束するのかによって大きく変わる」

 

 

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