指宿市長選立候補者の会社社長に経歴詐称の疑い|「米国公認会計士」は約7年前に失効

昨年2月に行われた鹿児島県指宿市の市長選挙に立候補して落選した米倉由晋氏(43)に経歴詐称の疑いが浮上、実態を知った鹿児島県在住の男性が、代理人弁護士を通じて捜査機関に刑事告発したことが分かった。

■売りは「米国公認会計士」

米倉氏は東京都出身。大学卒業後、外資系の金融会社勤務などを経て独立。現在は東京都港区のシェアオフィスに本社の住所を置く再生エネルギー関連会社の代表だ。4年前に同社が手がける地熱発電を事業展開するため指宿に単身移住し、地域での諸活動を行っていた。昨年2月の指宿市長選挙に立候補し、落選している。

告発状によれば、米倉氏は2010年に「米国公認会計士」の資格を取得。同資格は3年ごとの更新が義務付けられており13年に更新したが、2016年に更新を行わず「失効」していた。

しかし米倉氏は、昨年2月に立候補した指宿市長選挙において、当選を得る目的で、後援会活動用の各種印刷物に「資格」として掲載。市内全戸に配布された「選挙公報」や自陣営の「選挙運動用ビラ」にも「米国公認会計士」と明記していた。

さらに、昨年鹿児島県庁で開いた記者会見で今年4月の鹿児島県議会議員選挙に出馬する意向を表明した後も、「米国公認会計士」と明記した名刺などの印刷物を作成・配布していることから、公職選挙法が禁じる「虚偽事項の公表」だとして告発に至ったとしている。

以下の画像はハンターが確認できた同氏の印刷物だが、どの印刷物にも「米国公認会計士(ワシントン州)」あるいは「ワシントン州 米国公認会計士」と掲載されており、米国公認会計士という資格が有権者の信頼あるいは支持を得るための最大の武器になっていることが分かる。(*以下、画像の中の赤い囲みや矢印はハンター編集部)

下の3点の画像は県政を目指して活動している現在の米倉氏の印刷物と公式サイトの記載内容だが、『資格』として『米国公認会計士(ワシントン州) 公認内部監査人』とある。明らかに現有資格の誇示であり、誰が見ても“過去に保有していた資格”とは思わないだろう。

■米国公認会計士のサイトで「失効」を確認

告発状に記されていた内容を検証する過程で、米国ワシントン州の公認会計士の公式サイト(https://cpaverify.org/)を確認したところ、米倉氏が資格を取得したのは2010年。資格は3年ごとの更新が義務付けられており、米倉氏も2013年に1度目の更新を行っていたようだが、3年後の更新が実行されなかったことで2016年に失効していた(*下が同サイトで確認した2月19日現在のライセンスに関する画面)。確かに現在、米倉氏は米国公認会計士の資格を有しておらず、経歴詐称の疑いが極めて濃い。

■「失効」認め、言い訳するが・・・

19日、電話で米倉氏本人に事実確認を求めところ、同氏はライセンスが失効していることを「知ってますよ」と平然と言う。“失効しているのになぜ資格として使っているのか”と問うと、「いや、また登録すれば、あれです、有資格で合格していることには間違いないんで」――。さらに、こう言い訳が続いた。「失効の考え方が多分違うんだと思います」、「一応ですね、再登録すればまたすぐ使えますんで。合格実績は消えませんので」、「もう1回登録さえすれば、またすぐ使えます。大丈夫です、そこは」「(資格が)『ない』の考え方が違うと思うんですけど」と強弁する。米倉氏は「回り(地元回りの意味か?)の最中ですので、のちほど対応させてもらいます」と言って電話を切ったが、これ以降、何の連絡もなかった。

想定していた回答だったが、「再登録」という言葉は、すなわち“現在は資格がない”ということの証し。「失効の考え方」がどうのという話ではない。しかも、2016年にライセンスが失効していたことを「知ってますよ」と言うのだから明らかな確信犯だ。タチが悪いと言わざるを得ない。

米国公認会計士(USCPA)の規定では、資格が『失効』(Lapse)した場合はもちろん、復活が容易な『一時無効化』(Retire)でも「USCPA」を名乗ることはできず、名刺に肩書を入れることさえ禁じられている。どう言い訳しても、現況が『資格として保有していない』ということに変わりはないのだ。

ちなみに、『再登録』ではなくライセンスの『復活』は可能だ。だが、その場合は CPE(継続教育)120単位を3年以内に取得した上で、書類や推薦状の提出、費用の支払いといった手続きを経なければならず容易ではない。米倉氏の資格が失効したのは約7年前の2016年6月。「登録すればまたすぐ使えます」という状況ではあるまい。

経歴詐称は、有権者を騙して権力を握ろうとする極めて卑劣な行為だ。直近では今月6日、大学中退であるにも関わらず選挙公報や名刺などで大学卒業と公表していた宮城県栗原市の市議が、「学歴詐称」を認めて議員辞職。2004年には、衆議院福岡2区で山崎拓元自民党副総裁を破って初当選した古賀潤一郎氏(民主党除名)が、実際には単位不足で卒業していなかったのにアメリカの大学を卒業したと公表していたことで社会問題化し、学歴詐称疑惑の責任を取るとして議員辞職している。

 

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