三反園前知事、衆院鹿児島2区で「朝立ち」と「戸別訪問」

今年7月に行われた鹿児島県知事選挙で落選した三反園訓前知事(62)が、衆議院鹿児島2区に重点を置いた活動を展開しはじめた。来年秋までに行われる総選挙に、同選挙区から出馬するとの見方が広がっている。

■2区内で増える「みたぞの さとし」の看板

知事選敗北後、支援者に対し「政治の世界で生きる」と明言していた三反園氏は、8月初旬から鹿児島市内を中心に朝立ちを実行。道行く車や人に手を振る姿に注目が集まっていた。

「狙いは鹿児島2区だろう」(県政界関係者)との見方が固まってきたのは今月に入ってからで、「地元県議の引き回しで、奄美を挨拶回りした」、「2区内の後援会資料だけを残した」といった話が囁かれるように――。中旬には、「(鹿児島市)谷山の訪問先で、『2区から出ます』と話した」、「谷山を戸別訪問している」、「指宿市内の交差点で朝立ちしている」などと具体的な活動内容が伝わってきていた。ツイッター上には、三反園氏本人の訪問を受けた人の投稿もある。

三反園氏が鹿児島2区での活動に力を入れていることは、最近になって指宿市内に設置された三反園氏の看板の数からも分かる。(*下は、今月になって指宿市内の民家の塀沿いに設置された「みたぞのさとし後援会」の看板)

指宿市周辺では、三反園陣営が知事選に向けて作成していた看板の枚数が一気に増えたといい、狙いが「指宿市を含む地域での選挙」であることは誰の目にも明らか。自民党の関係者も、「県内各地にあった看板を、2区に移したんだろう。やっぱり2区でやるんだな」と納得顔だ。しかし、その自民党関係者は、三反園氏の国政への転身が「かなり厳しい。無理だ」と突き放す。

■県政界関係者からは厳しい意見

鹿児島県の衆議院の選挙区は4つ。鹿児島知事選では初当選した塩田康一氏(54)が1区と3区で最多得票だったが、三反園氏は出身地である指宿市を含む2区で、塩田氏を上回る得票を得ている。

鹿児島2区は、鹿児島市の一部(谷山・喜入の各支所管内)、指宿市、枕崎市、、南さつま市、奄美市、南九州市、大島郡で構成される選挙区。2016年の知事選の際も、三反園氏が得票トップだった。今回敗れたとはいえ、2区内の自治体のうち、2位に甘んじたのは鹿児島市と南さつま市だけで、指宿市の他、枕崎市、奄美市、南九州市、大島郡でも一位を守っている。

その鹿児島2区の現職は、自民党の金子万寿夫衆院議員(73)。町議、議員秘書を経て県議6期、この間県議会議長や全国都道府県議会議長会会長も務めたベテラン政治家だ。現在、衆議院議員として当選3回。出身地の奄美を中心に堅固な地盤を誇る。引退が取り沙汰される状況ではないが、三反園氏が2区からの衆院選出馬を視野に入れているという情報は確認済みなのだという。

前出の自民党関係者は、三反園氏の今後について、こう分析する。
「たしかに、出身地の指宿市では三反園さんは強い。しかしね、2016年の知事選で1万5,000票あまりとったのに、今回は9,000票程度にまで減らしている。指宿高校の同窓会の動きも、最初の知事選の時とは全く違っていた。まぁ、動かなかったということ。他の地域の負けをカバーできるほどの票は出ないよ。そもそも、今回の知事選の三反園さんの得票は、大半が自民党と公明党の票。初当選の時に三反園さんに一票を投じた人の中で、今回も三反園と書いたのは3割ちょっとじゃないのか。2区でトップをとったといっても、三反園さんの個人票じゃない。なにか勘違いしてるんだろう。2区は、自民党の公認がなければ、勝ち抜けない選挙区だよ。金子代議士だって、黙っていないよ」

別の県政界関係者は、三反園氏の政治家としての資質に疑問符を投げかける。
「前知事の4年間を振り返ってみて下さい。任期中これといった成果は上げていないでしょう。原発の政策合意は平気で反故にしたし、県民所得を上げるだの、指宿スカイラインを無料化するだのと訴えて知事になったけど、何一つ実現していないんです。県議会や記者会見での、職員任せ、責任逃れの姿勢も良くなかった。自民党と公明党の推薦が無かったら、10万票もとれていなかったんじゃないですかね。政治家としての資質に問題があるとみられていることが、どうも三反園さんは分かっていない。彼への同情票は入るかもしれませんが、政治家・三反園訓に期待する票は少ないとみるべきでしょう。選挙に出るのは勝手ですが、指宿や枕崎あたりで多少の票をとっても、奄美や谷山では票は出ませんよ」

奄美は自民現職の金子衆院議員の地元で、三反園氏が勝てる見込みは少ない。鹿児島市の谷山地区は、懸案事項となっている総合体育館の整備用地として名乗りを上げたものの、知事だった三反園氏が鹿児島中央駅西口や県庁東側の土地を選んだため、同氏への支持は薄いのだという。それでも、国政転出への動きを加速させる三反園氏。野党関係者の間からは、「自民党の誰かがバックについているんじゃないか。孤立無援で勝ち抜けるほど衆議院選挙は甘くない」という声も上がっている。

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