北海道警・わいせつ警官、起訴事実認める|函館地裁で初公判、検察は追起訴

一般女性に暴力をふるうなどして強制わいせつ未遂で起訴された北海道警察・函館西警察署の元巡査部長(41)が9月25日、地元の函館地方裁判所(日野進司裁判官)で初公判を迎え、検察の陳述に「間違いありません」と起訴事実を認めた。函館地方検察庁はこの前日にストーカー規制法違反で元巡査部長を追起訴しており、次回以降の公判からは2罪の併合審理となる見込みだ。

■妻子ある身で暴走

函館地検の冒頭陳述によると、元巡査部長は交通係に所属していた4年前、被害者となった女性の速度違反を取り締まる機会があった。この時、女性の「素直な対応」などに好感を覚えた元巡査部長は「交通原簿」から個人情報を入手して自身の携帯電話に登録、身分を検察官と偽って電話をかけるなどした。2017年2月には女性を呼び出して会うまでに漕ぎ着けたが、その席で「もう連絡してこないで欲しい」と告げられたにもかかわらず、以後もLINEでメッセージを送り続けたという。

元巡査部長には同居する妻子がいたが、被害者女性への思いは今年に入ってからも消えることがなく、7月中旬に警察署のパソコンで運転免許証の記載事項を照会。同27日に被害女性の自宅敷地内で待ち伏せし、暴行・脅迫の犯行に及んでいた。

元巡査部長は取り調べで、女性の個人情報を不正入手したことを「自分でも何故なのかわからない」などと供述。実際に女性を呼び出すに及んだ行動を振り返り、「当時、書類の誤廃棄や出勤時の事故などミスが重なり、ストレスから逃げたかった」「事件後どうやって帰宅したのか憶えていない」などと述べている。

被害女性は元巡査部長が「強制わいせつ未遂」で起訴されたことに驚き、「わいせつ目的だったと知ってとてもショックだ」と供述したとされ、現在は心療内科に通院していることが明かされた。

濃いグレーのスラックスに水色のシャツ姿で被告席に現われた元巡査部長は、起訴事実に「間違いありません」とのみ答え、約1時間の法廷では眼を閉じたまま検察官の陳述に耳を傾け続けた。

道警には2006年から14年余りにわたって勤務していたが、初公判前に「停職1カ月」の懲戒処分を受けたことを機に辞職。人定質問で職業を問われた際には小さく「無職です」と答えている。

犯行時に住んでいた函館市内のアパートはすでに空室となっており、妻子の行方は定かでない。公判では、「下ネタが好きで、若干だらしないところがあった」(当時の上司)、「犯行の翌日もとくに変わったところはなかった」(同僚)などといった関係者の供述内容も明かされている。

函館地検は初公判の前日、元巡査部長をストーカー規制法違反で追起訴、先の犯行に到るまでの待ち伏せや車での追尾などがストーカー行為にあたるとし、次回公判で改めて冒頭陳述に臨む。地裁では次回以降、両事件を併合審理することになる見込みだ。

今後の法廷で被告人質問を求めている元巡査部長の弁護人は、取材に対し「お話しできることはない」としている。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。
北方ジャーナル→こちらから

【訂正】9月23日の配信記事中( https://news-hunter.org/?p=3310 )、元巡査部長が在宅捜査を受けていた旨の記述がありましたが、その後の取材で強制わいせつ未遂事件が身柄送検されていたことがわかり、初公判時点で本人が拘置施設に勾留されていることが確認できました。確認不足をお詫びし、訂正させていただきます。

 



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