福岡県議会・佐々木允副議長の選挙収支報告に違法な記載|指摘受け修正へ

 佐々木允福岡県議会副議長(田川市選出:民主県政クラブ)が県選管に提出した選挙運動費用収支報告書に、公職選挙法違反の疑いがある記載があることが分かった。

■不明朗な「無償提供」

 実は、佐々木氏の選挙運動費用収支報告書そのものに虚偽の疑いがある。公職選挙法は、選挙に関するすべての収入と支出を「選挙運動費用収支報告書」に記載して、当該選挙を所管する選挙管理委員会に提出するよう求めているが、佐々木氏の報告書はその要件を満たしていないのだ。下は報告書支出欄の一部で、「佐々木まこと連合後援会」からの無償提供=寄附の記載がズラリと並ぶ。

 通常、短い選挙期間の前には、数週間もしくは数か月になることさえある後援会活動の時期がある。選挙はその延長線上にあることから、選挙期間中の事務所家賃や光熱水費を後援会から「無償」で借り上げ収入として記載し、これを支出計上して収支の辻褄を合わせるケースが大半だ。なかには選挙期間中の家賃等を日割り計算して現金清算する候補者陣営もあるが、圧倒的に多いのはやはり「無償借り上げ」のようだ。

 ところが、佐々木氏の報告書には、“あり得ない”無償提供がいくつも出てくる。

・R5.4.1 郵送費 220,017円 3/1~3/30
・R5.4.1 印刷費 73,700円 3/1~3/30
・R5.4.1 集会看板代  33,000円 3/6
・R5.4.1 イベント経費 657,480円 3/6

 福岡県議会議員選挙の日程は3月31日告示、4月9日投開票。つまり佐々木氏の陣営は、寄附を受けた日を「4月1日」としているだけで、実際の支出を伴う行為が行われたのは3月1日から30日までの、告示前の時期だった。

 立候補の届け出をする際、「出納責任者」の選任届も提出するのだが、収支報告書の記載にあたっては選任届提出前の活動を「立候補準備」、提出後の活動を「選挙運動」として区別する。支出欄で上掲の4件を確認してみると、たしかに「立候補準備」となっている。4件の寄附と支出は、すべて『選挙』に関するものだったというわけだ。だとすれば、4件の行為すべてに違法性が生じる。(*下は支出欄の一部)

 郵送費、印刷費、集会看板代、イベント経費の4件の金額を合計すると984,197円。佐々木氏の収支報告では、後援会が立替払いした形になっているため、100万円近くの支出が最終的にどこの誰に対して行われたものなのかまるで分らない。これでは公選法が規定する「すべての収入、支出」を明らかにしたことにはならない。

 まず後援会が佐々木氏個人に現金で寄附を行い、佐々木氏の出納責任者が集まった選挙資金の中から支出するのがまともな資金処理。同氏の収支報告書は、本来なら支払先を明確にすべきものを「後援会からの無償提供」で処理して実態を隠した、いわば違法な報告書と言える。

■「事前運動」の疑い

 問題はまだある。657,480円の経費がかかった3月6日の「イベント」が“選挙”に関してのものだったとすれば、それは立派な「事前運動」だ。下は、3月3日に佐々木氏自身がフェイスブックに投稿した画像と文章だが、収支報告書に記載された「3月6日のイベント」の正体がこれだ。7日の投稿には「私の総決起集会」とある。

 「後援会の総決起集会」ではなく「私の総決起集会」――選挙運動の一環だったからこそ、選挙運動費用収支報告書に記載したのだろう。ある意味正直なのだが、報告書の記載通りなら、このイベントそのものが公選法が禁じる事前運動だったことになる。

 事前運動なら1年以下の禁錮または30万円以下の罰金、選挙収支の虚偽報告は3年以下の禁錮または50万円以下の罰金となり、決して軽い事案ではない。20日午前、佐々木氏の出納責任者に事実関係を確認したところ、「ご存じかどうか分からないが、一般的に後援会というのは佐々木允を当選させるための集まり。財布が一つと言ったらおかしいが、(郵送代やイベント代は)後援会から払った。記載内容に間違いはなく、選管にも確認している」と話す。

 「帳簿がある」と言うので、“選挙収支についての帳簿は公選法、後援会活動の帳簿は政治資金規正法の規定に従って備え付けるもので、本当に二つの帳簿があるのなら『財布は一つ』という話にはならない”と指摘していたところ、同日夕、佐々木氏の出納責任者から、「イベント関連の経費は後援会活動のものだった。記載ミス。選管で修正を済ませた」との連絡があった。

 佐々木県議を巡っては昨年11月、選挙区である田川市内に大量の違法ポスターや違法看板を掲示していることが発覚。ハンターの報道後、すべてのポスターを合法な形のものに貼り替えていた。佐々木陣営が指摘を受けて違法行為を是正するのはこれで二度目。ルール順守は政治家として最低限の義務だと思うが……。

 

この記事をSNSでシェアする

関連記事

注目したい記事

  1. 二階俊博元自民党幹事長の「政界引退」記者会見から約1か月。同氏の地元である和歌山県にさらなる激震だ。…
  2. 在学生の自殺事案で賠償交渉の「決裂」が伝わった北海道立江差高等看護学院のパワーハラスメント問題で(既…
  3. 今月16日、衆院東京15区、島根1区、長崎3区の補欠選挙が告示される。アメリカを国賓として訪れていた…
  4.  2021年秋、新型コロナウイルスの療養施設内で、女性スタッフに対するわいせつ行為が行われた。わいせ…
  5. 裏金事件で岸田文雄政権と自民党が大きく揺れる中、岸田首相は8日、アメリカでバイデン大統領と会談するた…




LINEの友達追加で、簡単に情報提供を行なっていただけるようになります。

ページ上部へ戻る