鹿児島県指宿市「経歴詐称疑惑」の男性が重ねる怪しい主張

一つ嘘をつくと、それを糊塗するためにまた嘘をつく。昨年2月の鹿児島県指宿市長選で落選し、現在は4月の県議選を目指している会社社長・米倉由晋氏が、経歴詐称問題で泥沼にはまってしまったようだ。

■フェイスブック投稿、削除したが・・・

2月23日の午後9時過ぎ、米倉氏がフェイスブックに下の投稿を行っていた。

米国公認会計士の資格については、先日更新の手続きを行いました』とある。残念ながら、失効した米国公認会計士(CPA)の資格は簡単に『更新の手続き』ができるものではなく、この投稿内容は、限りなく虚偽に近いと言わざるを得ない。

■終わるはずがない「更新の手続き」

ハンターが米倉氏の経歴詐称について報じたのは2月20日、米倉氏への取材は前日の19日だった。2月23日の時点で「先日」というからには、19日からせいぜい21日までに「更新の手続き」を行ったということになる。ところが、米倉氏が資格を取得したワシントン州における米国公認会計士団体の規定に従えば、わずか数日で「更新の手続き」ができるわけがないことが分かる。

下は、米国公認会計士(ワシントン州)の公式サイトの画像だが、失効した場合の「Reinstate(復活9」の方法が記されている。
(*https://acb.wa.gov/individual-licensing/reinstate-cpa-license)

 これを、グーグルの和訳機能を使って確認するとこうなる。

 失効した米国公認会計士のライセンスを復活させるためには、まず指定されたCPEという継続専門教育を「120時間」も受けなければならない。その上で、「復職申請書を提出」して「480ドルの復元手数料」を払うのだが、その際に「 Board(理事会)があなたのライセンスを回復すべきだと考える理由を記した書面」と、「ライセンスの一時停止または取り消し以降のあなたの活動を個人的に知っている 2 人の公認会計士からの推薦状」を提出するよう求めている。

それですんなり資格回復かというと、そう甘くはなく、「理事会が申請を承認」しなければ元には戻らない。「更新の手続き」をしたからといって、失効した資格が必ず戻るという保証はないということだ。

米倉氏と同じワシントン州の米国公認会計士の資格を取得し、4年以上前に失効して「復活」にチャレンジするという男性に取材したところ、「CPE120単位時間」「復職申請書」「480ドル」「ボードの承認」はすべての人に同じ条件で、「数日で手続きが終わるものではない」と証言。さらに「社会生活を行いながらということになると数週間ではとても無理。少なくとも数か月はかかるとみた方がいい」と話している。

■資格復活、認められない可能性も・・・

指定された継続教育120時間の学習、復職申請書の提出、2名の公認会計士の推薦状――。申請書の提出と推薦状は急げたとしても、120時間の学習単位取得は物理的に無理なのだ。米倉氏が23日の段階で、「先日」行ったという「更新の手続き」が何を指すのか分からないが、少なくとも米国公認会計士の失効した資格の「復活手続き」はまだできない状況とみるのが自然だろう。

米倉氏は「資格を復活させれば問題ない」という考えのようだが、少なくとも2月19日まで米国公認会計士の資格が失効していたのは事実。昨年2月の指宿市長選から今日まで「売り」にしてきた資格が、なかったことに変わりはない。「更新の手続き」にしても極めて怪しい話であり、嘘に嘘を重ねた疑いが否定できない。

米倉氏は、資格失効後も自身の会社のホームページや政治活動のための印刷物などで「米国公認会計士」を売りにしてきた。しかし、規定では「You may not use the title CPA until the Board approves your application and your status updates on the licensee search or CPAverify.(ライセンシー検索またはCPAverify」でステータスが更新されるまで、タイトルCPA(米国公認会計士)の肩書を使用することはできません)」となっており、米倉氏の一連の違反行為が米国公認会計士の団体に知られた場合、資格復活が難しくなる可能性もあるという。

ちなみに、冒頭の米倉氏のフェイスブックへの投稿は翌日の2月24日に削除され、その理由について次のように説明している。

「弁護士事案」の意味は不明だが、前日の投稿を削除したのは、『米国公認会計士の資格については、先日更新の手続きを行いました』という一文がまずいという判断があったからではないのか――?まともな弁護士がついていれば、必ず削除を指示するはずだ。

ところで、渦中の米倉氏は自身の発言や情報発信の内容を取り消すことに何の躊躇もないようで、以前にもフェイスブックに投稿したある重要な画像と一文を削除していた。次稿は、経歴詐称から飛び火した、ある噓つき国会議員の話。

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