田川市・疑惑のプロポーザル担当課長が業者のゴルフコンペに参加|「行ってない」は真っ赤な嘘

「行ってない」は真っ赤な嘘だった。最終的な契約業者名を隠蔽するなど疑惑まみれとなった福岡県田川市のごみ収集運搬業務を巡り、事業を担当する環境対策課の池口芳幸課長が、プロポーザルで選ばれた収集運搬業者のゴルフコンペに参加していたことが分かった。課長は、プロポーザルの審査委員も務めており、事業の公平・公正が疑われる事態だ。

■「ゴルフ場予約」認めた課長がコンペにも参加

複数の関係者の証言によれば、田川市市民生活部環境対策課の池口芳幸課長は今年1月30日、田川郡内のゴルフ場で開かれた早雲商事有限会社のゴルフコンペに参加、プレーを楽しんだという。

早雲商事は、環境対策課が所管する産業廃棄物の収集・運搬を手掛ける業者で、昨年5月に実施されたごみ収集運搬業務の業者選定プロポーザルで一位に選ばれ、今年4月から実務を行っている。

池口氏は今年3月、ハンターの取材に対し、ゴルフコンペの会場となった田川郡内にあるゴルフ場を予約したことを認めながら、競技参加については「行ってない」と頑なに否定。その後、複数の証言から「嘘」が露見し、早雲商事とのより深い関係が明らかとなった。

課長がゴルフコンペ参加を否定してきたのは、利害関係者である早雲商事代表との関係を隠すためだったとみられ、公務員倫理に反する行為であることを自覚していた証左と言えそうだ。

早雲商事の代表者が田川市にとって利害関係者であることは、紛れもない事実。池口課長はハンターの記者に、同社の代表者と「友達」であることを明確に認めている。それが、素知らぬ顔で「友達」の会社が応募してきたプロポーザルの審査委員になっていたというのだから、その時点で業者選定の「公平・公正」は失われていたと言うべきだろう。

本来なら辞退すべき審査委員を務めた池口課長が、プロポーザル選定1位の「友達」の会社のためにゴルフ場を予約し、コンペにも参加していたという「官業癒着」の典型的なケース。疑惑まみれとなっているプロポーザルの裏に、そうした構図があったのは事実だ。

■地公法「信用失墜行為」の可能性

「国家公務員倫理規程」には、禁止行為として『利害関係者と共に遊技又はゴルフをすること』と明記されている。“割り勘”でも認められない厳しさだ。これは当たり前の話で、例えばライバル企業の人間が、事業を所管する役人と一緒にゴルフをしているのを見たらどう思うか考えてみればわかる。

公務員は国民全体の奉仕者であって、特定の個人・企業に有利な取扱いをすることはできない。中立性を疑われた段階で、その役人は処分の対象なのだ。ちなみに、地方公務員法はその33条『信用失墜行為の禁止』で、「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」と定めており、池口課長のゴルフコンペ参加は、同条の規定に抵触する可能性がある。

■隠蔽の背景

田川市はこれまで、ごみ収集運搬業務の業者選定プロポーザルに関する文書の情報公開請求を巡り、契約業者名や業者が提出した業務提案書、審査の際に審査委員が点数を付けた「評価票(個票)」などを非開示にして隠ぺいを図ってきた。特に見られたくないのは、提案書と「評価票(個票)」だろう。二つの文書の内容を見られたら最後、特定業者への便宜供与が明るみに出るからに他ならない。そうではないと言うのなら証拠を出して反論するしかないのだが、田川市にはできはしまい。

ところで、無理な隠蔽には穴が生じるもの。田川市が頑なに開示を拒否した業務提案書については、とんでもない事実が判明している。

(以下、次稿)

 

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