ペーパー業者、丸投げ、談合|福岡県大任町・永原町政下で横行する不正公共工事の実態

町政批判を弾圧しようと特殊警棒を振るって町民を威嚇し、暴力行為等処罰法違反の疑いで福岡地検に事件送致された福岡県田川郡大任町の永原譲二町長。同氏は県町村会の会長や全国町村会の副会長を務める実力者だが、足もとでは入札結果や積算書類など町の発注工事に関する情報が隠蔽され、町会議員でさえチェックができないという異常な町政がまかり通ってきた。

ハンターの情報公開請求が続いていた昨年7月には、町の情報公開条例を改悪し、請求権者を「何人も」から「町の区域内に住所を有する者(請求日から起案して1年以上住所を有する者に限る)」に変えたことが分かっている。

永原町長が、頑なに公共事業関連の情報を隠す理由とは……。

■隠蔽続く公共工事の実態

大任町はこれまで、町発注工事の入札結果や契約書、積算書、施工体系図など他の自治体ではあたりまえに開示される情報を「非開示」にしてきた。ほとんどの場合、非開示理由は「公にすると、人の生命、健康、生活、財産または社会的な地位の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査その他公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施期間が認めることにつき相当の理由がある」(大任町情報公開条例 第7条第1項第3号)というもの。しかし、具体的な事例が示されているわけではなく、法律で公開を義務付けられた入札結果や施工体系図まで非開示にする理由としては妥当性に乏しい。つまり「相当の理由」など存在しないということだ。

町発注工事の実態のうち、露骨な隠蔽の対象となっているのは業者の落札状況。どの自治体でも担当課の窓口に置いてある「入札結果表」を、大任町は一切公表していない《参照記事⇒福岡県大任町が違法行為|驚きの「入札結果非公開」》。

理由は簡単。永原町政にとって、町発注工事の落札状況や施工体系は、絶対に漏らすことのできない極秘事項だからである。

■明らかになった不正の仕組み

永原町長による町政運営は、まさに独裁。多くの関係者が否定的に同町の状況を捉えるなか、議会も町民も、噂される指定暴力団と町長との関係に怯えて沈黙を続けてきた。

一方で、自らに従う業者には仕事を与え、「甘い汁」を吸わせる。町議会がチェック機能を放棄しているのは、多くの議員が仕事絡みで町長に取り込まれているいるせいだ。ちなみに、大任町議会では、6年間一般質問が許されてこなかった。町議会が、“一般質問を行ったら、今後執行部は議会側に協力しない”という町長サイドからの圧力に屈した結果である。

町長が世話する「仕事」とは、主として町が発注する公共工事。町長の一声で落札業者が決まり、逆らう者は、指名にさえ入れてもらえない。干されないためには、町長に従うしかない。これで支配体制の完成だ。

当然、永原町政下にあっては、入札結果や施工体系は非開示。公表されたとたん、「不正の実態」が白日の下に晒される。永原町長にとっては、命取りになりかねない情報ということだ。ハンターは昨年来、歪んだ町政と不正の実態について取材と記事配信を続けてきたが、建設業法はもちろん、複数の法令違反が疑われる町発注工事の不正の実態が、明らかになってきた。下が、大任町発注工事の代表的な構図だ。

まず、町が発注する工事を町内に本社を置いた形の「ぺーパー業者」に「元請」として受注させる。ペーパー業者として確認できたのは8業者(うち2業者は廃業)。法人登記していない業者もいて、5業者はいわゆる“一人親方”の形態だった。代表者がまったく別の業種の仕事をしており、実際の建設工事に従事していないケースもある。下に、8業者の経営実態についてまとめた。

ペーパー業者には施工能力がない。当然、落札した仕事は一括下請負(丸投げ)となり、建設業法違反の疑いが濃厚だ。丸投げされた町発注工事を下請けするのは、町内、町外に本者を置く複数の建設業者。特定の業者間で仕事を回している状況となっている。

ある建設作業員の証言によれば、3次下請けあたりに町長の息子が代表を務める会社が入る場合もあり、同社は実務担当で表面上は出てこないという。たしかに、県土整備事務所に提出された工事経歴でも大任町の工事を下請けした形跡は確認できない。

別の町関係者によれば、ペーパー業者に受注させる工事はもちろん、町発注事業のほとんどが永原町長のコントロール下にあり、落札者も町長が決めるのだという。事実なら、トップダウンの官製談合。大任町の公共工事は、何から何まで違法行為のオンパレードということになる。

ペーパー業者を使った分、工事費は余分にかかるはず。案の定、積算の段階で本来の工事費に1割ほど上乗せされて予算が組まれるという話が出ている。永原町政が入札結果や施工体系、積算書といった建設関連文書を非開示にする理由は、こうした実態を隠蔽するために他ならない。

町発注工事の原資は税金である。永原氏は、国民の税金を使って建設業界を軸とした支配体制を構築してきたというわけだ。その結果が、議会の機能さえも奪う独裁町政。町民の知る権利も、町政参加の機会も奪われているのが実情で、「民主主義の学校」といわれる地方自治のあるべき姿を大きく逸脱した行政運営が続いている。

 

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