ロシアのウクライナ侵略戦争を利用する危険な政治家たち

ロシアが仕掛けたウクライナへの侵略戦争に世界が揺れる中、日本国内の“危ない政治家”たちが、好き放題言いはじめた。

■「核共有」でつながる安倍晋三、高市早苗、松井一郎

プーチンが核兵器の使用をちらつかせるや、危機感を煽って現状を捻じ曲げるのが得意な安倍晋三元首相が、米軍の核兵器を国内配備させて共同運用する「核共有」の議論を提唱。安倍の支持層である極右に媚びることで存在感を増した自民党の高市早苗政調会長は、「有事のときの『持ち込ませず』については、自民党内で議論したい」などと述べ、「非核三原則」の見直しに意欲を示した。

続いて、安倍氏に近い日本維新の会代表の松井一郎大阪市長も、「非核三原則は昭和の価値観。核を持っている国が戦争を仕掛けている。このまま令和も行くのか」「高市さんが旗を振り、日本の安全保障のあるべき姿を協議するテーブルを設けるべきだ」として核共有の議論を進めるべきとの主張を展開。安倍、高市、松井の右派3人が「核武装」に向けた国内議論を盛り上げようと示し合わせた格好だ。

3人の中で、真っ先に底の浅さを露呈したのが高市氏。核共有で必要となるのは“アメリカとの共同”だが、調子に乗って「安全保障戦略を議論するときにタブーがあってはいけない。確実に日本が日本の力で日本を守れる体制を作っておかなければ、よその国を完全にあてにしていては、国民の命は守れない」と言い出した。「自国の力で核武装する」と同義の主張で、「核共有論」をはるかに凌ぐ勇ましさである。

非核三原則の「持たず」「作らず」「持ち込ませず」は日本の国是だが、高市の言い分が通れば「持ち込ませず」を続けるのかどうかの議論を飛び越えて、「(核兵器を)作り」、「保有する」ということになる。平和主義もなにもあったものではない。ただ、高市自身が「核共有」を超える領域の話をしていることに気付いていないようで、このあたり、みせかけ右翼の限界と言えるだろう。

言うまでもなく、「核廃絶」はヒロシマ、ナガサキの惨状を知る日本だからこそ、世界に発信できる普遍的な考え。それを根底から覆そうとする安倍や高市、松井らの姿勢は、この国の平和主義とは相容れない。

「核共有」であれ「核武装」であれ、前提となるのは憲法改正だ。憲法9条は、国際紛争を解決する手段としての「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使」を永久に放棄するとした上で、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定めている。「核兵器」が武力による威嚇又は武力行使のための最悪の道具である以上、憲法9条を変えない限り「核兵器」に関する議論はただの空論にしかならない。つまり、安倍や高市、日本維新の会が見据えるのは、「憲法改正」ということになる。

右派政治家による一連の議論提起は、ロシアのウクライナ侵略を利用した、憲法改正への布石なのである。

■ウクライナを批判するプーチンのお友達

ところで、日本維新の会といえば、この政党の危険度は自民党以上に高い。ロシア通で知られる同党所属の鈴木宗男参議院議員は、3月11日に自身のブログ「ムネオ日記」で、次のように述べている。
「ウクライナの状況が報道から知らされるが、一方的な断片的な偏った情報である。『話し合いしか解決の道はない、話し合いをしっかりやれ』と声をかけてほしいものである。日本には昔から「喧嘩両成敗」という言葉がある。先に手を出した方が悪いが、原因を作った方(=ウクライナイ)もそれなりの責任があるという判断である。ウクライナ問題は過去の経緯からの出来事であり、歴史の検証が大事でないか」

3月13日、札幌市内で行った講演でも、同じ内容の話を繰り返している。
「喧嘩両成敗という言葉があるが、先に手を出した方が悪いのは当然である。同時にその原因を作った側(=ウクライナ)もそれなりに責任を負わされるのが社会の常」

そして3月24日、田原総一郎氏のインタビューに答えて、明快にウクライナを非難する。
ゼレンスキーがドローンなんか飛ばしてロシアを挑発していなければ、そもそもこんな騒ぎにはなりませんでしたよ

このロシア寄りの政治家、じつに分かりやすい。一連の主張の中で、ウクライナの大統領はいつも「ゼレンスキー」と呼び捨て。一方ロシアの独裁者については「プーチンさん」だ。世界中がロシアの虐殺行為を厳しく批判する中、鈴木氏はプーチンにとって唯一のお友達であり続けている。

その鈴木氏を、松井一郎日本維新の会代表は、「ロシアに対して忸怩たる思いを持っている人で、ロシアに寄っているわけでは全くない」と擁護する。しかし、「ウクライナに侵略戦争や虐殺の責任がある」という鈴木氏の主張に、うなずく人は皆無に近いだろう。ロシアに寄っているからこそ「プーチンさん」なのだ。

維新の創業者である橋下徹元大阪市長も、プーチンに反対の声をあげる人々を「クソの役にも立たない」と罵倒した。日本維新という政党の危険性にも、いい加減気付くべきだろう。

 

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