東日本大震災の発生から5日、被災地で懸命の救助活動が続くなか、全国では義援金や物資提供といった支援活動が活発化している。しかし、政府による受け入れ態勢は整っておらず、善意の申し出が宙に浮く状況だ。
東海地方のある企業は昨日までに、今、最も必要なはずの防災用トイレ・テントなどを提供しようと、国会関係者を通じて国に打診した。だが、問い合わせを受けた総務省などの関係省庁は「上からの指示がない」などの理由で対応できなかった。
被災していない全国の自治体では、14日から義援金呼びかけや、支援可能物資の情報提供を求めるなど、支援に向けての活動を始めているが、肝心の政府の窓口がハッキリしていない。
地方自治体を所管する総務省に物資支援の窓口について聞いたところ、内閣府に回された。内閣府は、企業による物資支援についての窓口は官邸の危機管理センターに連絡してもらいたいという。
政府内でも支援物資受け入れ態勢についての意思統一がなされていない状況だ。昨日までは、どこが窓口になるのかさえ分からなかったらしい。
政府からは、現在まで、被災地支援についての受け入れ方法の説明や、ボランティア希望者に向けての正式なメッセージが出されていない。首相は、辻元清美衆院議員をボランティア担当補佐官に任命したが、動きが見えない。ボランティアの被災地入りについては、肝心の現地の情報が不足しているだけでなく、組織立った活動をするためのシステムも立ち上がっていない。
なにより、多くの善意をむだにしないための措置が求められている。混乱を避けるためにも、態勢強化が急務である。