「正当にこわがる」――物理学者であり、随筆家でもあった寺田寅彦(1878〜1935)の言葉から引用されるフレーズだ。
物事を怖がらなさ過ぎたり、怖がり過ぎるのは、ある意味で易しいが、正当にこわがることはなかなか難しい……と、解釈されている。
20世紀から、2020年4月に時計の針を引き戻す。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多数の人が集まるイベントの中止が相次いでいる。専門家が指摘する集団感染のリスクが高い3密(密閉、密集、密接)の条件がそろうからだ。5月GWの恒例行事「博多どんたく」も中止となった。今度は、7月の博多祇園山笠の中止も検討、というニュースが飛び込んできた。
果たして、7月のイベント開催の是非について、このタイミングで、判断すべきなのか。
記憶に新しいのが、世界的ビッグイベント、東京オリンピック・パラリンピックの1年延期だ。その判断の要因の一つが、外国から多くの人が日本を訪れる点だ。当初予定の東京オリンパラ開催の7月~8月に、日本国内での感染が収束していても、流行している地域から多数の人が日本国内に流入すれば、再び日本でも感染拡大の事態が予想される――。そんなシナリオが大きく作用して、史上初の五輪開催時期の延期となった。
振り返って、博多祇園山笠の開催リスクはどうだろうか。山笠の期間中、7日間に約300万人の人出があると言われる。そのうち、外国から訪れる人がどれだけいるのだろうか。正確な統計データはないが、観客数がピークを迎える追い山の日に、沿道で見物する外国人の存在は相当程度、少ない。恐らく、1割にも満たないと確実に言える。
日本国内で、いつまで感染拡大が続き、ピークを迎える時期は。ピーク時の感染者数をどれだけ抑えられるかが、大きな焦点となっている。4月に入り、東京都内の感染者数が連日3桁となり、さらに、感染経路が不明な患者の割合が日に日に増えている。まさに、米国ニューヨークの後を追うかのように、感染拡大が危機的状況へと進みつつある。
ただし、4月の状況は、永遠に続くものではない。現在、国をあげて対策を講じており、専門家の推測では5月にピークを迎える、という見解もある。トランプ大統領も米国内では5月ごろにはピークを迎える、との見方を披露している。
博多祇園山笠の開催の是非を今、判断するのではなく、5月末に、その時点の感染拡大の状況などを見極めたうえで、山笠を開催するかどうかを判断するのが科学的、合理的な根拠に基づく判断ではないだろうか。
博多祇園山笠は、そもそも、疫病退散を祈祷し、博多の町を清めるために水を街中に巻いたことが祭りの起こり。新型コロナウイルスに負けないように、「おいさっ」の声を、博多の街中に響き渡らせることが、疫病退散に繋がるのではないだろうか。
新型コロナウイルス感染予防に、久野譜也・筑波大学教授(医学博士)が、手洗い、うがいに加えて、ウイルスから身を守るため免疫力アップの重要性を訴えている。「運動」「睡眠・食事」や「笑顔」が免疫力を高めるという。山笠に向けて体力増進を図り、祭りを見て気持ちを上げて、免疫力アップにつなげよう!!
※筑波大久野研究室のHPアドレス「新型コロナウイルス予防のための筑波大学久野研究室からのお知らせ」
(山笠を愛する若手)