推進派県議と事業者側代理人の親密な関係|福岡県田川市・バイオマス発電所建設計画の闇(中)

福岡県議会の佐々木允議員(田川市選出)が、議会でバイオマス発電の推進を訴えたのが2018年6月15日。小川洋知事(当時)から前向きの答弁を引き出したことが大きく影響したのか、その半年後、佐々木氏の地元・田川市でバイオマス発所所の建設計画が唐突に持ち上がる。地元住民にとっては寝耳に水の話だったが、何の説明もないまま、市を巻き込んかたちで実現に向けた動きが顕在化する。

地元の実力者や行政を後ろ盾にしたプロジェクトの大半がそうであるように、田川市のバイオマス発電所建設計画も、反対意見を黙殺して急展開していく。しかし、その裏には、計画を推し進めた佐々木氏と、事業者である南国殖産(鹿児島県)側の代理人弁護士との特別な関係があったことが、ハンターの取材で明らかとなった。

■県議会質問後、急展開したバイオマス発電所建設計画

まず、佐々木氏の県議会質問で始まったバイオマス発電所建設計画を巡る動きを、再確認しておきたい。

 南国殖産が田川市に「木質バイオマス発電所設置事業計画」を提案したのが2019年1月25日。信じられないことに、その5日後の1月30日には二場公人田川市長が「農山漁村再生エネルギー法に基づく協議会」の設置に同意して事実上のゴーサインを出し、2月5日には一連の経緯を議会報告した上で、その日のうちに南国殖産との間で事業推進を前提とする協定書を締結していた。事前にシナリオが出来上がっていたとしか思えないスピードで、事が運んだということだ。

こうした流れを受けた南国殖産は同年4月、現地法人である「田川バイオマスエネルギー株式会社」を設立。2020年3月31日には、南国殖産側が九州経済産業局に「田川バイオマス発電所」の申請書を提出する。手続きだけが順調に進んだ形だが、この間、発電所が建設される地域の周辺住民たちには、何の説明もなかったという。

地元同意がないまま計画を進めたことで住民の反発を受けた南国殖産側は、工事着工後の2021年になってようやく正式な事業説明会を開催する。説明会は2021年11月と12月の2回。工事着工後の事業説明会など何の意味もなく、毎回、怒号が飛び交う大荒れの会合となったのは言うまでもない。

1回目の混乱に危機感を抱いたのか、12月7日の説明会には、南国殖産が設立した田川バイオマスエネルギーの代理人として一人の弁護士(本稿では「A弁護士」とする)が登場する。

問題は、このA弁護士と、田川市でバイオマス発電所の建設を推進してきた佐々木県議の関係だ。実は、二人が「友人」であることを佐々木県議自身がSNSに投稿していた。下が、現在は削除されている投稿画面(読者提供)である。(*赤い書き込みはハンター編集部)

佐々木氏とA弁護士は、ただの友人というわけではない。A弁護士は、佐々木氏の兄が代表の福祉関連企業で、2021年春まで佐々木氏の妻や母と並んで役員を務めていたのだ。同社は田川市などでデイサービスや有料老人ホームを運営しており、ホームページでは現在もA弁護士を社外アドバイザーとして紹介している。

佐々木氏とA弁護士は、かなり親密な関係にあったということ。「請託」や「便宜供与」を疑われてもおかしくない構図だろう。田川バイオマスで重要な役割を果たしてきた登場人物の関係が、事業に疑念を生じさせている要因の一つとなっている。

■経産省が隠蔽するバイオマス「説明会」の記述

そして、こうした疑念を増幅させているのが、南国殖産と田川バイオマスエネルギーが九州経済産業局に提出した「再生可能エネルギー発電事業計画認定申請書」に添付された『バイオマス燃料の調達及び使用計画書」の存在だ(*下の画像参照)。

田川市のバイオマス発電事業を所管する九州経済産業局は、ハンターの情報公開請求に対し、この使用計画書の中の「地域社会に対する対応」という項目を全面黒塗りにした。しかし、一昨年秋頃に田川市民から出された開示請求に対しては、どこも隠すことなく公開していたことが明らかになっている。“隠蔽”されたのは、この事業申請に不可欠であるはずの「近隣住民説明会」についての記述だった。

(以下、次稿)

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