指宿市・県議選出馬予定者の経歴詐称疑惑、鹿児島地検が告発状を正式受理

昨年2月に行われた鹿児島県指宿市の市長選挙に立候補して落選、現在は4月に行われる県議会議員選挙への出馬を表明して活動を続けている会社社長・米倉由晋氏(43)の経歴詐称問題で、県内在住の男性が代理人弁護士を通じて提出した告発状を、鹿児島地方検察庁が正式に受理したことが分かった。

代理人弁護士によれば、鹿児島地検が告発状を受理したのは今月14日。検察の「捜査」が始まることになる。

■失効していた「米国公認会計士」

米倉氏が公表した事項のうち虚偽とみられているのは、「米国公認会計士」という資格の有無。同氏は2010年、3年ごとの更新が義務付けられている米国公認会計士の資格を取得し13年に1度更新していたが、16年に更新せず「失効」していた。資格を失っていることは、米国公認会計士(ワシントン州)の公式サイトから確認できる(下の画面参照)。

 米倉氏は、昨年2月の指宿市長選挙に際し、米国公認会計士の資格が失効しているにもかかわらず、選挙公報や選挙ビラ、名刺、後援会チラシなどすべての宣伝素材に『資格』として「米国公認会計士」を明記。落選後に出馬表明した県議選に向けた活動の中でも、ほとんどの印刷物や公式サイトで「米国公認会計士」を売りにしている。

公職選挙法は、「当選を得または得させる目的をもって公職の候補者もしくは公職の候補者となろうとする者の身分、職業若しくは経歴、その者の政党その他の団体への所属、その者に係る候補者届出政党の候補者の届出、その者に係る参議院名簿届出政党等の届出又はその者に対する人もしくは政党その他の団体の推薦若しくは支持に関し虚偽の事項を公にした者は、2年以下の禁又は30万円以下の罰金に処する」(235条)と定めており、告発状を正式受理した地検の捜査が進んで米倉氏の経歴詐称が認定されれば、厳しい処分が下される可能性がある。

■「認識」あれば虚偽事項公表罪

問題は、米倉氏が虚偽の事項であることを認識していたか否かだが、取材時におけるハンターの記者と同氏の以下のやり取りから、「認識」していたことは明らかとなっている。

――県議選に出馬されるそうですが。
米倉氏:はい。

――以前は気が付かなかったが、米倉さんは米国公認会計士の資格をお持ちだったんですね。
米倉氏:あー、ですです。

――これ超難関の試験では?
米倉氏:いやいや、そんなことないです。今は仕事では使ってないんで、はい

――今アメリカ行ったら、食いっぱぐれはないわけでしょ?公認会計士ですよね?
米倉氏:一応、ワシントン州では開業できるんですけども。

――すごいですね。
米倉氏:はい。すみません。ちょっと今回り方(地元回りの意味か?)の途中でですね。あのまた……。

――その件でお尋ねです。この資格、2016年に失効してますよね?
米倉氏:はいはいはい。

――知ってました?
米倉氏:あっ、はい。知ってます。知ってますよ

――なんでずっと「資格」として使ってるんですか?
米倉氏:え?いや、また登録すればあれです、あのー、えっと、有資格で、あのー、合格していることは間違いないんで。

――だけど、失効してるじゃないですか。
米倉氏:いや、その、失効の考え方が多分違うんだと思います。

――というと?
米倉氏:ええと、一応ですね、あの、もう登録すれば、またすぐ使えるようになるんで。あの、合格実績は消えませんので。

――いや、合格実績が消えないのは分かりますけど、ワシントン州の公認会計士のサイトでは「失効」になってますよね?
米倉氏:Expired(期限切れ)ですよね?

――そう。7年前ですよね。
米倉氏:はい。

――これはすぐに開業できないということでしょ?
米倉氏:いや、ええと、もう一回登録しなおせばできます。

――そうはなってないようだけど。
米倉氏:です。大丈夫です、そこは。

――でも、今は資格がないわけでしょ?
米倉氏:いや、そのないの考え方がたぶん違うんだと思うんですけども。

――ないの考え方?分からない。
米倉氏:ちょっとすみません。また後で、ちょっと対応させていただいてもいいですか?

――はい、いいですよ。お電話ください。お待ちしてます。
米倉氏:はい。失礼します。

記者が何の取材かを述べる前であるにもかかわらず、米国公認会計士という資格の名称が出たとたん、米倉氏は「今は仕事では使ってない」と話している。つまり、資格が使えない状態であることを承知しており、危険を察知して「資格を使った仕事はしていない」と先手を打ったつもりなのかもしれない。

次いで、2016年に資格が失効していることを告げられると、平然と「知ってます。知ってますよ」――。「失効の考え方が多分違う」、「(資格が)ないの考え方がたぶん違う」、「もう一回登録しなおせば大丈夫」などと強弁しているが、いま現在、米国公認会計士の資格がないことを自分で認めてしまっているのだから、「認識していた」ということになる。故意犯と言っても過言ではあるまい。ちなみに、このやり取りのあと、米倉氏からの連絡は一度もない。

米倉氏のライセンス状況を米国公認会計士のサイトで確認すると、「License Status」(ライセンス状況)の欄には『LAPSED』(失効)と明記されている。その真横にある「Details」(内容詳細)をクリックしてみると、『The credential has expired and has not been renewed. The individual cannot use the title or engage in the practice of public accounting until the credential is reinstated』とある。これを和訳すると「その資格は有効期限切れであり、更新されていない。その資格が再登録されるまでは、その個人は肩書を使ったり、公認会計の実務に従事する事はできない」となる。米倉氏は、失効して使用禁止となった肩書(米国公認会計士)を選挙公報や名刺などの印刷物に掲載していたということなのだ。

虚偽事項公表の「故意」が認定されれば、2年以下の禁固または30万円以下の罰金。検察が、正式に告発状を受理したという事実は重い。

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