「入札契約適正化法」が公表を義務付けている公共工事の入札結果を非公開にするなど、永原譲二町長によるデタラメな町政運営が続いてきた福岡県大任町の町議会議員選挙(定数11)に立候補した12名のうち4名が、公職選挙法が選挙期日から15日以内と定めている「選挙運動費用収支報告書」の提出を怠っていることが判明。期限内に提出された候補者の報告書の中にも、違法性が強く疑われる支出の記載があることが分かった。公職選挙法に抵触する可能性がある。
■ベテラン議員がルール無視、一人は新任の副議長
大任町議選の投開票日は先月23日。報告書提出は今月8日が期限だったが、ハンターの記者が町選管で確認したところ、以下の4名の候補者の報告書が未提出となっている。
・坂本年行(当選7回)
・田中良幸(当選11回)
・奥永明正(当選3回)
・毛利英文(今回落選・当選4回)
報告書未提出の4名は、いずれも期数を重ねた中堅、ベテラン。坂本年行氏は、選挙後の議会で副議長という重職に就任した人物だ。収支報告は政治家にとってイロハのイ、「期限を知らなかった」、「作業が遅れた」などという言い訳は通用しない。
公職選挙法は、選挙の実施日(投開票日)から15日以内に、当該選挙におけるすべての収入と支出を記載した「選挙運動費用収支報告書」及び領収書などの支出を証明する文書を、当該選挙を所管する選挙管理委員会に提出するよう求めており(189条)、これを怠った場合には3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金となる(246条)。
■あり得ない人件費支出も
報告書未提出は論外だが、期限内に提出された町議選立候補者8名の収支報告書の中にも、違法性が疑われるものがある。
記載ミスなどの間違いは全体で数十か所。特に違法性が高いと判断せざるを得なかったのは、末廣聖法議員(当選2回)の支出に関するもの。同氏の報告書には、4月22日に人件費として一度に「165,000円」が支出されたことになっているが、支出先は田川市のコンパニオン派遣業者となっている。
運動員報酬の上限は、車上運動員(ウグイス)が1日15,000円、事務員が10,000円。大任町議選の日程は、4月18日告示で23日投開票となり選挙期間は5日だ。車上運動員がめいっぱい稼働しても7万5,000円にしかならず、1件で165,000円の人件費などあり得ない。
考えられるのは業者が派遣した人員への報酬を、一括して支払ったというケースだが、その行為自体が違法。報酬支払いが許されるのは、事前に選管に提出した「報酬を支給する者の届出書」に記載した車上運動員か事務員の「個人」に限られるからだ。報酬支給者の事前届出がきちんとなされていたのどうか、選管の事務手続きも検証されるべきだろう。
■無法地帯
大任町では、永原譲二町長の暴力的手法による独裁町政が続いてきた。町発注工事の関連文書を隠蔽するなど、永原氏のやりたい放題を容認してきたのが、6年以上も一般質問が行われなかった大任町議会だ。その無責任議会のベテラン議員たちは、そろって選挙の収支報告書も満足に作成できないというのだから呆れるしかない。いわば無法地帯。町長にものを言う議員が二人に増えたという新聞報道が、救いではある。