北海道新聞、スト回避|17年ぶりベア「100円」で収束

北海道新聞でストライキ入りの可能性があった団体交渉で、道新労働組合は会社側の示したベースアップ一律100円の回答を受け入れた。組合としては17年ぶりにベアを勝ち得た形となり、今世紀初のスト入りは回避された。

◇   ◇   ◇

道新で本年度3回目となる春闘・夏期末手当交渉があったのは、22日午前。本サイト既報の通り、労組は会社側に「ベアゼロ回答ならば即日闘争入り」と通告しており、交渉の行方次第では今世紀初、29年ぶりのストライキが決行される可能性があった。

22日の交渉で、会社側は当初回答の「夏期末手当平均84万円」(組合要求額は同105万円)の数字は譲らなかった一方、初めてベア一律100円の回答を示し、労組の理解を求めた。

回答を受けた労組執行部の会議では「100円は安すぎる」などの声が上がったものの「有額回答を得た以上は収束すべき」との意見もあり、ベアを回答した会社の姿勢に一定の評価を示すとの結論に落ち着いた。労組のベア獲得は2006年以来17年ぶり。

交渉では、これまでも俎上に載った若手記者らの離職増問題について改めて議論があった。若手のおもな離職理由を、組合は「会社が社員の働きを正当に評価せず適正な処遇を行なわないこと」と認識していたが、会社側も今回これを認めつつ、新聞業界の展望が見えにくいことにも原因があるとの考えを示した。

道新では現場の記者らの依願退職が続いており、編集局では現在15人以上の欠員がある状況。労組青年部が退職者を対象に実施したアンケート調査では、回答者の8割が離職理由を「会社の将来を見通せなかった」と答えており、同じく6割がマスコミ以外の職種へ転職したことを明かしていた。自由記述式の回答欄には、次のような声が寄せられたという。
《将来性もなく、つぶしも効かず、給料も年々減り続け、さらには会社も潰れるかもしれないという不安を抱えながら、ワークライフバランス皆無のお仕事を誰が続けたいのだろうかと考えてしまいます》
《「働かないおじさん」が話題になりましたが、道新もそういう人たちがいましたし、自分たちを「逃げ切り世代」と言っている姿を見ていたので愛社精神も育めませんでした》

一律100円のベアがどれほど会社離れへの歯止めになるのかは定かでない。今回の団交で道新労組は会社側にさらなる「人への投資」を求め「私たちの働きに対する真摯な対応を」と念を押している。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。
この記事をSNSでシェアする

関連記事

最近の記事一覧

  1. 9日、福岡地方裁判所は、建設業法違反の疑いで逮捕・起訴されていた大任町の建設会社「ユウセイ」の代表を…
  2. 9月2日から3日にかけてのこと。日本維新の会に所属する国会議員のSNSに、突然「馬場、身体検査ひっか…
  3. 9月13日に投開票される沖縄県知事選は、オール沖縄をバックに現職で3期目を狙う玉城デニー氏と、自民党…
  4.  福岡県議会の金銭授受問題に「カツアゲ発言」で火をつけた吉松源昭氏が、議長在任中に2回、退任後に1回…
  5. 県議会議長のポスト欲しさにカネを積んでおきながら、自民党県議団側に「カツアゲされた」と発言した福岡県…




LINEの友達追加で、簡単に情報提供を行なっていただけるようになります。
ページ上部へ戻る