西村前経産相、カレンダー疑惑に反論するも・・・

安倍派のパーティー券キックバック事件で捜査対象となっている「5人衆」の一人で経済産業相を辞任した西村康稔衆議院議員が、選挙区(兵庫9区)内にある淡路市で開いた国政報告会で参加者にカレンダー代を「無料」配布していたことが発覚。ハンターは今月15日、ことの概要と共に選挙区内の寄附を禁じる公職選挙法の規定に抵触する可能性があることを報じた(既報)。

その後、現代ビジネスが西村氏のカレンダー疑惑を後追い。西村氏の秘書を直撃して《(後援会の)1人が何十人もお客さんを集めていて、まとめてカネを回収している。まとめてもらって、配っているだけ》との回答を引き出していた。ところが……。

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慌てた西村氏は、12月19日になって《私の地元での国政報告会においては、カレンダー不要の方からは100円はいただいておりません。したがって、100円をいただいていない方には、カレンダーをお渡ししておりません。お渡ししたカレンダーの数といただいた金額は一致しています》とX(旧ツイッター)に投稿。しかし、ここには大きな“ウソ”があった。

西村氏の国政報告会に参加していた市民が、カレンダーの配布についてこう振り返る。
「100円を払った市民には、ステッカーのようなものが渡されて胸に貼るようにと、指示がありました。国政報告会が終わって、会場の出口でカレンダーが西村氏の関係者から配布されていました。しかし、途中でカレンダーがなくなって、『100円払っているのにどうなっとるんじゃ』などと怒声が響いたのです」

この日、西村陣営のスタッフが、ステッカーがない市民に「どうぞ」とカレンダーを手渡し、無料で持ち帰らせていた場面が何人もの参加者に目撃されている。

カレンダーの在庫がなくなってしまったことで、100円を支払っていない市民に無料で配ったという疑惑をさらに高めているのだ。

また、「100円払って『もろうて帰るで』と2枚、3枚ともらった市民もいました」という証言も――。カレンダーの実物をみせてくれた参加者も、「3枚もらった」と笑う。
「何も言われませんでしたよ。西村さんがアイドルのようなポーズをとった欲しくもないカレンダーに、なぜ100円も支払わないといけないのか、毎年疑問だった。2、3枚もらってもばちは当たらんでしょう」

西村氏と同様に、問題の国政報告会が開催された淡路市の門康彦市長も毎年「淡路市島カレンダー」を配布している。サイズは西村氏の半分くらいで、《討議資料》と記載して政治的な会合の資料であることを演出している。取材に協力してくれた淡路市民が、これまでの経緯を解説してくれた。
「確か、門さんが市長になったのと西村さんが衆議院で初当選したのは同じ時期。門市長は就任直後からカレンダーを配布していたので、西村氏がそれを見習ってやったと聞いています。市長はもともとカレンダーを公費で作成させていたんですが、市民の一人から『寄付を禁じる公職選挙法に触れる』と直談判され、カレンダーのサイズを小さくして、自費で作るようになったそうです」

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99人と自民党最大の勢力を擁する安倍派の強制捜査に着手した東京地検特捜部は、パーティー券でキックバック分を不記載にしている議員に限定して家宅捜索という手もあったはず。東京地検特捜部出身の弁護士は、次のように推測する。
「派閥の事務所にガサ(家宅捜索)となれば、99人全員を敵に回す。キックバックをもらっていない議員もいますから。今回、あえてそこに踏み込んだことで、特捜部が派閥の幹部、それも事務総長クラスを狙っているということでしょう」

過去5年の間に、事務総長を経験してきた一人が西村氏だ。安倍派は2022年5月に派閥の政治資金パーティーを開催しているが、当時は西村氏が事務総長だった。ある安倍派の衆議院議員が、不満そうに話す。
「西村さんは細かいことで有名で、『キックバックはおかしい』と事務総長になって言い出した。それまで自分もキックバックをもらっていながら、『これは酷い』と言い出したことで派閥は紛糾した。次いで西村さんは、『キックバックで戻すが、議員のパーティーでの収入として計上するように』などと指示をしてきた。派閥のパーティーですから、別のパーティーの収入に入れたら虚偽記載になります。不記載もダメですが、虚偽記載も同じこと。ええ恰好するのが大好きな西村さんは、派閥の会計にメスを入れたことを自慢したかっただけでしょう。今回も『キックバック分の不記載はダメだから、事務総長時代に改革しようと思っていた』と言って罪を逃れることに腐心している」

西村前出の特捜部出身弁護士も、西村氏に厳しい目を向ける。
「西村氏が、事務総長の時にキックバックの不記載がダメだとわかり指示していたというのなら、政治資金規正法の違法性を認識していたことになります。彼こそが特捜部最大のターゲットじゃないか」

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話を西村氏の地元、兵庫9区に戻す。キックバック事件に加えてカレンダー事件も勃発。週刊文春では「架空パーティー」の開催や女性秘書との関係も報じられ、四面楚歌だ。地元の評判も悪い。
「淡路島では、“もう西村さんはいらん、誰か他の人に代わってほしい”という声が圧倒的。前明石市長の泉房穂さんが出馬すれば、西村さんは比例復活もできないほどぼろ負けするはず。これ以上疑惑が浮上すれば、振り向く人もいなくなるでしょう」(淡路市在住の男性)

待望論の上がる泉氏は、SNS上に《『地元有権者に「有料カレンダー」をタダで配っていた。公選法違反疑惑』との見出しのニュースだが、この種のポスターが毎年配られてきたのは、選挙区内では周知の事実。カレンダー以外のタマネギなども大量に配られていた。とにかく配りまくる政治家であることは事実……》と投稿している。

「安倍派は5年間で5億円以上の不記載が報じられている。1年間で1億円という計算です。特捜部が調べを進める中で、金額がアップするかもしれない。西村さんは事務総長だったので、立件となれば金額次第、もちろん逮捕の可能性はあります」(前出の特捜部出身弁護士)

西村氏に向けた「退場」のカウントダウンが聞こえてきそうだ。

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