田川市議会議長に公選法違反(特定寄附)の疑い |広域水道企業団・新浄水場建設工事に不正の臭い(4)

福岡県田川市、川崎町、糸田町、福智町の1市3町で構成する「田川広域水道企業団」が約150億円をかけ田川市内で整備を進める新浄水場=白鳥浄水場(仮称)の建設工事に絡み、陸田孝則田川市議会議長に公職選挙法違反(特定寄附)の疑いが浮上した。

■約24億円の電気工事、議長の会社がJVで落札

付帯工事を除く新浄水場整備事業の契約は、大きく分けて「土木・建築」、「機械設備」、「電気設備」の3件。怪しい「一者応札」でそれぞれの工事の落札業者が決められていたが、約24億円の契約金額で電気設備を受注した共同企業体(JV)を構成する1社は、田川市に本社を置く「株式会社リクデン」だった。下は、水道企業団への情報公開請求で入手した工事請負契約書である。

田川市の指名業者である株式会社リクデンは、1990年創業の電気工事業者。同社の筆頭株主は、昨年12月の田川市議会で恣意的な議会運営が問題となり、不信任決議を突き付けられた陸田孝則議長。リクデンの筆頭株主は、その半数近くを保有している陸田氏で、現在の代表者・陸田和子氏は議長の身内である。また陸田氏が、同社から毎年700~800万円の報酬を得ていることも分かっている。

■契約後に市議選での寄附

水道企業団と東芝・リクデンJVの間で新浄水場電気設備工事の契約が交わされたのは令和4年12月12日。それから2カ月も経たぬ令和5年2月5日、陸田氏は、同年4月に予定されていた田川市議会議員選挙で使用した複写機1台と机、椅子など62万4,000円分を無償提供されていた。無償提供はイコール「寄附」であり、陸田氏の選挙運動収支報告書にも明記されている(*下の報告書参照)。

公職選挙法は、「衆議院議員及び参議院議員の選挙に関しては国と、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に関しては当該地方公共団体と、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄附をしてはならない」(第199条:特定の寄附の禁止)と定めており、違法性が認められた場合は「3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金」(第248条)となる。

一部事務組合である「田川広域水道企業団」は特別地方公共団体。特定寄附の規定があてはまることから、新浄水場建設工事の契約当事者であるリクデン側から陸田議長への寄附は、この規定に抵触する可能性がある。さらに、陸田氏は田川広域水道企業団の議会議員を務めており、企業団の業務について職務権限を有していたことも分かっている。

昨年、選挙時におけるリクデン側からの寄附についてハンターの取材を受けた陸田氏は、「個人でやっとるから」として特定寄附を否定する姿勢を見せていたが、それが抜け穴にならないことは明らか。公選法が禁じる特定寄附を巡っては、以下の事案が立件されている(事案の内容は、警察庁ホームページより)。

・平成15年、神奈川県警が、横浜市議会議員選挙に関し、市と請負契約関係にある建設会社2社の役員らから現金合計100万円の寄附を受けたとして、当時の横浜市議を公職選挙法違反(特定の寄附の禁止)で検挙。

・平成15年、沖縄県警が、市内の建設業者5社から選挙運動資金として、自己が代表を務める後援会に対し小切手(額面合計400万円)及び現金100万円の寄附を受けるとともに、市長選挙に関し、市と請負契約関係等にある建設会社4社から寄附を受けていたとして政治資金規正法違反及び公職選挙法違反(特定の寄附の禁止)で当時の宜野湾市長を検挙。

これとは別に、平成14年、佐賀県警が佐賀県議会議員選挙に関し、県との請負契約関係にある建設会社2社の代表取締役らから現金合計80万円の寄附を受けたほか、当該選挙に当選後、会社等の団体から政党及び政治資金団体並びに資金管理団体以外の者に対する政治活動に関する寄附は禁止されているにもかかわらず、土木建築会社2社から現金100万円の寄附を受けたとして、当時の佐賀県議を公職選挙法違反(特定の寄附の禁止違反)で検挙した事例もある。企業の代表者や役員といった「個人」からの選挙に関する資金提供でも、特定寄附とみなされるということだ。

なお、特定寄附につながる別の契約が、リクデンと「田川市」の間に存在していたことも分かっている。リクデン側から議長への問題の寄附が行われた当時は、「田川市総合体育館非常用発電装置取替工事」(工期:令和4年7月27日から令和5年3月31日。落札額:1,845万円)及び「特定農業施設電気設備工事」(工期:令和4年10月11日から令和5年2月28日。落札額:696万円)の2件の工事の契約期間中だったことが分かっており、本サイトは昨年、問題の寄附の違法性が問われることを報じていた(既報)。

ちなみに、陸田氏の選挙運動費用報告書には、複合機や机などをリクデンの代表者個人から寄附されたものとして記載しているが、ハンターの取材に応えた同社の代表者は昨年、複合機や机がリクデンの所有物であることを認めていた。会社からの寄附を、個人からのものと偽装した可能性がある。

 

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