薗浦氏辞職で注目集める新フィクサー・仲井力氏と「志友会」

12月21日、元首相補佐官で外務副大臣などを歴任した自民党の薗浦健太郎氏が衆議院議員を辞職し、離党した。

自身の資金管理団体「新時代政経研究会」が開催した政治資金パーティーの収入と支出を政治資金収支報告書に記載せず、隠ぺいしたという政治資金規正法違反で略式起訴されており、罰金刑を受け公民権停止となる見込みだ。

世間的には“終わった事件”ということになるが、永田町が注目しているのは薗浦氏の今後ではなく、同氏とともに政治資金規正法違反で告発されていた、ある政治ブローカーに関する捜査状況だという。

■新フィクサーの政界使った集金ビジネス

薗浦氏は、読売新聞記者から政界に転身し、麻生太郎副総裁が総務大臣を務めていた時代に秘書官を務めた。政治資金は総務省の管轄であり、その「不記載」について、知らなかったとは思えない。なぜ発覚する恐れがある「不記載」という手段を選んだのか疑問だが、背景にライズ・ジャパンという会社の代表者である仲井力という人物との不透明な関係があるとみられている。

法人登記簿によれば、かつて福岡市の博多駅前でコンサルタント会社を経営していた仲井氏は、2004年にライズ・ジャパンと社名を変更。都内港区の赤坂に事務所を構えるようになった。

登記簿の目的欄には《経営コンサルタント業・経営者が集う会「志友会」の運営・管理及び、「志友会」を主体とした講習会等の開催、情報提供、人脈紹介》という奇妙な内容が並ぶ。

仲井氏を知る関係者が、志友会を巡る仕組みを解説する。
「仲井氏が手掛ける志友会はセミナーを開催して、会員を募ってきた。会費は月に10万円。どうしてそんな高い会費でも会員がいるのかというと、有名な国会議員と関係が築けるこからだ。仲井氏は国会議員や有力な官僚にセミナーの講師を打診する。月に1~2回、セミナーを開催して政官界の有力者を呼ぶと、経済人が寄ってくる。そして、国会議員には政治献金という形にしてキックバックする」

これまでセミナーに登壇したのは、官房長官時代の菅義偉前首相、小泉進次郎元環境相、麻生太郎副総裁、加藤勝信厚労相など錚々たるメンバーだ。セミナーに出席した会員たちには、国会議員の政治資金パーティーにもお誘いがかかるようになる。

ある自民党の国会議員秘書が、こう打ち明ける。
「1度、先輩議員を通じて仲井さんから声がかかり、20人ほどの会合に参加して、食事をしました。その時は10万円ほどの謝礼でした。次からは仲井さんがとりまとめて『うちの会員10人が政治資金パーティーに出席しますから」と言ってパー券代を持ってきてくれる。そりゃ助かりますよ。実際には仲井さんが主催するパーティーなのに、議員会館の事務所が窓口として名前、連絡先を貸したりするケースもありますからね。国会議員を、会員を信用させるための道具に使っている形になりますよね」

2019年に都内のキャピトルホテル東急で開催された菅氏を囲む勉強会に参加した人が、その時の様子を振り返る。
「菅さんがいて、隣の仲井氏が『ご多忙の中、菅官房長官にお越しいただき』と挨拶してはじまりました。岡素之・住友商事元会長、元警察庁長官の安藤隆春氏、日本医師会の横倉義武名誉会長、杉田亮毅・日経新聞元会長など大物が周囲を囲み、菅さんの講演がはじまりました。時間は20分から30分くらい。終わって、名刺交換や写真撮影。菅さんだけではなく、他の大物とも話ができるので、そりゃ価値あるな、すごいなとなりますよ。私は小泉進次郎さんのモーニングセミナーにも誘われて参加しています。仲井氏は、菅さんはじめ来賓の大物ともとても親しそうで、いかにも政界フィクサーという感じでした」

2009年に自民党は旧民主党に敗れ下野、2012年に再び政権に復帰する。先行き不透明な時代が続いたことで、仲井氏を頼るようになった自民党の国会議員は少なくないという。薗浦氏もそんな一人だったようだ。薗浦氏の政治団体の政治資金収支報告書を見ると、2019年にライズジャパンが、政党支部である「自民党千葉県第5選挙区支部」に8月と11月の2度にわたり合計125万円を献金。新時代政経研究会には、仲井氏個人で125万円を献金していた。(*下の画像参照)

 2018年には政党支部にライズジャパンから125万円の企業献金、新時代政経研究会には仲井氏150万円、その親族とみられる複数の人物が350万円で総額500万円の個人献金が確認できる。政治資金規正法が定める個人献金の上限は150万円、法人なら1億円。法人と個人で複数名義に振り分けていた可能性もある。市民グループが刑事告発の対象としたのは、仲井氏による法定の上限額を超した献金だという。

正式な裁判が見送られたせいで、多額の隠し資金の行方は分からずじまいとなるが、当選4回のある自民党国会議員が、次のように話す。
「薗浦は仲井氏はじめ表に出せない人物や企業から提供された多額の資金や、さらにはパーティー券の販売額を隠す目的で、4,000万円を超える収支を不記載にした疑いがあります。仲井氏の世話になっていたのは、菅さんや小泉さんをはじめとする大物から、薗浦氏のような中堅・若手議員、さらには地方議員までいます。それにしても、4,000万円もの政治資金をよく隠したものだと……。仲井氏という大きなタニマチをもったことで、金銭感覚がおかしくなっていたんでしょうかね。コロナ前はよく若い議員を連れて飲み歩いていたので、そういうところにカネが消えてしまったのかもしれません」

本サイトではこれまで、政財界のフィクサーとして知られる大樹総研の矢島義也氏について何度も報じてきた。すでに特捜部は矢島氏の会社、自宅などを家宅捜索をしており、「特捜部が五輪疑惑の次に向かうのは大樹ではないか」と予測する向きもある。新たにフィクサーとして登場した形の仲井氏にも特捜部のメスが入るのか否か――。永田町はその一点に注目している。

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