特捜部が狙う問題企業と政治家の関係|広告塔は小泉親子、公明支部には100万円

4月末、東京地検特捜部が、静岡県の金融機関から虚偽の事業計画で4億円あまりの融資を騙し取った疑いがあるとして横浜市の太陽光発電関連会社「テクノシステム」や関係先を家宅捜索。別の金銭のトラブルも抱えていた同社は5月17日に、民事再生法の適用か破産といった法的手続きを進めることを明らかにしている。

一般にはほとんど知られていなかったテクノシステムの知名度アップに貢献してきたのは、同社の“広告塔”を務めていた小泉純一郎元総理と、その長男で人気俳優の小泉孝太郎氏。他にも、何人もの政治家が同社の代表と親密な関係を有していたことが分かっている。

■テクノ社と小泉ファミリー

テクノシステムは、太陽光発電、バイオマス発電などが再生可能エネルギーが主力事業。代表を務める生田尚之氏の手腕で、2019年11月期には売上高約161億円を計上していた。しかし、SBIホールディングスグループの「SBIソーシャルレンディング」(以下SBISL)がテクノシステムへの融資に大きな疑念があるとして第三者委員会を設立。報告書から、SBISLがテクノシステムに開発工事名目で融資した約380億円が目的外使用され、返済できなくなったていることが明らかとなる。SBISLは、太陽光発電システムを建設中というというテクノシステムの開発現場などをチェックすることを怠り、確認していなかったことが原因とみられる。金融庁は近く、金融商品取引法に基づき、SBISLに対し業務停止命令を出す見込みだ。

テクノシステムは、生田氏とその金主であり同社の最高顧問を称するH氏がほぼワンマン体制でやったきた会社だとみられている。H氏は別の会社で代表を務めており、数多くの「合同会社」を立ち上げては鹿児島県の吹上浜沖をはじめ全国各地で洋上風力や太陽光発電の計画をぶち上げ、物議を醸してきた人物でもある。

生田氏の事業手法とH氏の関係について、テクノシステムの関係者はこう話す。
「生田は、大物政治家に近づいてお仲間になるのが得意だ。その政治家の威光で融資を引き出しては、事業を拡大してきた。H氏との関係も深い。近年、菅首相や二階俊博自民党幹事長との親密な関係が注目されている大樹総研にも出入りしている。当初は、太陽光発電システムなどの建設を手掛けていたが、そのうち建設計画だけをぶちあげて、現場は更地のままというケースが増えた。それがバレそうになると、ホテルなどを経営するとして事業拡大をPR。政治家の名前で相手を信用させて、また融資を引っ張る。だが、そうしたカネは生田やテクノの相談役と称するH氏などに渡っていた」

政界で、生田氏ともっとも親密とされているのが小泉ファミリーだ。2020年8月と9月、日本経済新聞に2度にわたって小泉元総理と生田氏の対談記事が掲載された。また、テクノシステムのCMには、小泉氏の長男で俳優の孝太郎氏が起用されている。

「孝太郎氏へのギャラは4,000万円とも(テクノの)社内で言われていた。生田氏は、小泉元総理の次男で環境大臣になったの進次郎氏議員との関係も自慢していた。彼は、常に小泉ファミリーやの小池百合子東京知事らとの写真を持ち歩き、あちこちで見せては相手を信用させ、商売につなげていった」(前出・関係者)

■遠山清彦元衆院議員の公明支部に100万円

赤坂にある料亭Tは、小泉氏はじめ、政官財の大物が贔屓にしていることでも知られる。生田氏もよく通っていたとされ、料亭Tの女将はSNS上に、生田氏が経営する肉料理店の開店祝いに駆けつけた様子を投稿していた。

投稿された写真を見ると、背景に写った花輪には、小泉元総理、小池知事、原田環境大臣(当時)、麻生太郎副総理兼財務相、鳩山由紀夫元総理らの名前が確認できる。そこに、公明党の遠山清彦元衆院議員の名前もあった。

遠山氏は今年1月、緊急事態宣言の中、深夜まで銀座のクラブで豪遊していたことが週刊文春で報じられ、その後、キャバクラに政治資金を使っていたことをハンターがスクープ。遠山氏は議員辞職に追い込まれた。その遠山氏が代表を務めていた「公明党衆議院比例区九州第二総支部」が総務省に提出した政治資金収支報告書によると、平成29年分にテクノシステムから100万円の寄附を受けていた。

平成29年9月28日といえば、衆議院が解散となった日。テクノ社からの100万円は、選挙資金だった可能性が高い。前出の同社関係者が、次のように振り返る。
「生田氏は、用地を必要とする再生可能エネルギーという事業の性格から常に資金調達を迫られていた。そのため、融資を受ける際に利用できる財務省、金融庁関係の議員と懇意になれるよう戦略を練っていた。遠山氏は麻生副総理兼財務大臣が外相時代に外務大臣政務官として仕えた関係で、パイプが太いと聞いていた。それに当時は財務金融委員会に所属していて、使えそうだと生田氏は話していた」

ちなみに遠山氏は議員辞職時、財務副大臣だった。

東京地検特捜部の捜査の展開は早まりつつある。議員辞職後、政界復帰を目論むのではないかとみられている遠山氏だが、醜聞が続けばその目も無くなる。

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