国民民主・玉木氏を持ち上げた「週刊文春」

“文春砲”で知られる週刊文春が、玉木雄一郎国民民主党代表の「待望論」を打ち出した。同誌4月24日号の「もし玉木雄一郎総理ならトランプ恐慌に勝てるのか?完全シミュレーション」と題する記事だ。記事では《国民民主が若者や現役世代から絶大なる信頼を寄せられるのは、徹底した「手取りを増やす」政策》《もしも玉木氏が総理になったら。そんな「もし玉」の世界》《物価高にあえぐ庶民にとっては、英雄のように映る》――なぜ今、文春がこうした歯の浮くようなセリフを並べるのか?

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「永田町で怖いのは『文春砲』をはじめとする週刊誌報道。次に大手出版社のネットメディア。その中で最も警戒するのが週刊文春だ。玉木が文春まで手なずけたとなれば、本当に総理の座を狙うべく動いてくるのかな」と話すのは、ある自民党幹部。文春の記事は、“玉木政権が誕生した暁には”を前提にした提灯記事とも思える。

記事中には《国の借金を増やすだけのポピュリズム政策です。“玉木総理”の政策はトランプ氏より酷い》などと苦言を呈する識者のコメントもある。しかしこれは、メディアが言いにくいことや遠慮したいことがある場合に、コメンテーターを使って記事全体のバランスをとる時の常套手段に過ぎない。

国民民主党の国会議員A氏も「玉木代表がここまで文春砲に褒められるなんて、驚きました。『そんなすごい人なのか?』と。いい人ではありますがね(笑)。党内では、文春にスキャンダルでも握られているのか、それとも先方の都合で何かまずいことがあって、いい記事に仕立ててもらったのか、といった声さえあります。まあ、憶測ですが。なんせ巻頭トップの6ページもさいているのですからね」と首をひねる。

玉木氏のスキャンダルといえば、昨年11月に写真週刊誌「フラッシュ」が放った《【独占写真】玉木雄一郎氏、不倫相手が“カレ待ち”の間にミニスカ&髪型“衣装チェンジ”》というスクープが記憶に新しい。

フラッシュは、玉木氏の選挙区でもある香川県高松市の観光大使でもあるグラビアアイドルとの「密会写真」を報道。玉木氏はその記事について「概ね事実であります。家族や期待を寄せていただいた全国の皆様にお詫びを申し上げます」と陳謝し、不倫関係を認めた。

その後、件のグラビアアイドルが憲法審査会を傍聴し、玉木氏をやじった議員に抗議したという報道もあった。単なる不倫相手ではなく、玉木チルドレンのような動きをしていたという。その後、玉木氏は辞職はせず役職停止3か月の処分を受け、現在は代表に復帰している。永田町では「玉木総理」の話題が浮上するたびに新たな「玉木スキャンダル」の情報も流れる。

「スキャンダル報道といえば文春砲。そことうまく結んで、総理への地固めをしようという狙いがあるのかもしれません。文春も、世論調査で支持の高い国民民主党の玉木の記事を出せばそれなりに売れますからね」と前出の自民党幹部は話す。

では、本当に文春報道のような「もし玉」の実現性はあるのだろうか?

石破政権は少数与党。数字だけでみれば自民党と公明党以外の野党がすべてまとまれば、政権交代が可能だ。だが、そう簡単にいかないのが永田町。国民民主党のA氏はこう話す。

「玉木さんは、自民党と公明党の政権与党に担がれる方法と野党に推される方法の2つのストーリーを見据えている。ただ、野党に乗って総理という場合はよほどの剛腕が必要で、小沢一郎さん以外にできる人物はいない。でも、小沢さんは立憲民主党で十分に力を発揮できておらず無理。そうなると、政権を手放したくない自民党と公明党が、総理として担ぐのでこちらに来てくれというケースが有力視されます。夏の参議院選挙で与党がかなり負けるでしょうから、そのタイミングを狙っているのではないか」

ある程度は現実味がある玉木総理待望論。しかし、「絶対にダメだ」という政界関係者は少なくない。例えば、参議院選挙に出馬を表明した前明石市長でコメンテーターの泉房穂氏。当初は国民民主と立憲民主の両党から推薦を得て出馬予定と報じられた。しかし、泉氏が出馬会見で「魅力的な政党はない」と発言したことに玉木氏は激怒。さらに泉氏が、玉木氏から《自公与党との連立を前提にした話》だとして選挙への出馬を打診されたとの裏話をSNSでばらしたことでさらにヒートアップ。玉木氏は、「敬意がない」と上から目線で泉氏を非難した。

「玉木さんは人気者にすり寄るのがうまい。泉さんの人気をうまく使いたいと会談したが、国民民主党と泉さんが関係を深めれば、“泉代表待望論”が出てくる可能性があった。玉木さんが、代表から引きずり降ろされかねないということ。それは我慢できないので、泉さんを切ったんじゃないか。まあ、そんなところでしょう。器が小さいのは確かですから。実際、泉さんが来てくれたら玉木さんよりずっとましだとなりかねないのが党内の雰囲気ですから」(前出のA氏)

週刊文春のある記者に聞くと「なんでここまで玉木を持ち上げているんだと、編集部内でも訝る声はけっこうあります」――文春の狙いは何なのか?

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