旧統一教会「霊感商法マニュアル」の汚い手口

 今月12日の配信記事で、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の霊感商法マニュアルについて報じたが、まさに「詐欺の指南書」そのもの、とても宗教団体の文書とは思えない内容だ。

 これを実践してカネを奪い取っていたとなれば、どう見ても不法行為。犯罪性が疑われるのは当然だろう。実際、旧統一教会の集金手法が数多くの被害者を生んでおり、安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者を犯行に走らせた原因が、献金という名の財産収奪であったことも明らかになっている。

 事ここに至っても「いわゆる霊感商法なるものを、過去においても現在も当法人が行ったことはありません」などと強弁を続ける旧統一教会――。ハンターは、取材を続ける中で新たな霊感マニュアルを入手した。

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 旧統一教会側は記者会見で、「安倍元首相が凶弾に倒れられた直後から、(山上)容疑者の犯行動機が当法人の信者である母親の献金によるものであると、未だ確定もしない情報から、昨今の当法人に対する過剰なメディア報道によって当法人の信徒から様々な被害が報告されております」、「いわゆる霊感商法なるものを、過去においても現在も当法人が行ったことはありませんし、信徒らに対しては、特に2009年以降、当法人は社会的、法的に問題と指摘される行為をしないようコンプライアンスの徹底に努めております」「信者が経営する会社での物販活動のあり方に対する基本的な指導、高額な献金が行われないよう、徹底」などと、とんでもない主張を展開している。

 だが、全国霊感商法対策弁護士連絡会の公表した被害実態は凄まじいもので、これまでの霊感商法による被害は1,200億円以上に上っているという。数々の刑事事件で教団側に有罪判決が出され、民事訴訟でも敗訴しているのが現状だ。旧統一教会に詳しい弁護士は、次のように話す。
「民事訴訟で敗訴が続いたせいで、被害信者側から内容証明を送付すると、旧統一教会側が早々に返金して和解に持ち込むケースもある。正式な裁判に持ち込ませないためだ。2009年以降、被害はないと旧統一教会は記者会見で言っているが、実態はまったく違っており、非を認めて返金しているだけだ」

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 旧統一教会の勧誘方法として古典的なものは、次のような手法だという。
・街頭で「家系図の先生がいます」「手相を見てもらいませんか」などと声をかける。
・旧統一教会のダミー会社を通じ、公共施設を借りて健康相談などの地域イベントを開催。そこで、高麗人参の濃縮茶などを買わせて、引き込む。

 現在は、「昔の方法に加えて、マッチングアプリやSNSで勧誘するケースもある」(元信者)というから、被害がなくなるわけがない。今回、ハンターが入手したのは、イベントを通じての勧誘マニュアルだ。

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 前出の元信者は、「『10g販売トーク』というタイトルが打たれたマニュアル(*下の画像)は、30年ほど前から使用されており、現在も各地でダミー会社がイベントを開催する時に、このマニュアルがベースとして使用されている」と打ち明ける。  マニュアルには、言葉巧みに近づくための声のかけ方から記されている――。

・健康の意識調査という事でアンケートをお願いしております。
・(健康アンケートをとりながら)健康食品とか何かやっておらますか?
・関心あることは何かありますか?
・お名前とかいただけたらうれしいんですけど。
・(手相、手もみ)をしながら・・・すごく情的ですね。涙もろいんじゃないですか?ちょっと座って話させてもらっていいですか?

 そして、メイン商品である高麗人参の濃縮茶を売るように仕向けるために、

・(ニード把握する)・・・健康観(健康の重要さ)を入れて話す
・資料の万病一元論より・・・血液の汚れ→内臓機能定価→慢性病
・人参の絵を見せて(成分、効能を話す)

 相手が、関心を示すと、

・(高麗人参の濃縮茶)10gを見せて、今、キャンペーン中なので2,800円を2,100円でやっております。だいたい7日分です。(自分の証をする、良かった実感を話す)→クロージングをして決定」と入り口となる10gを買わせるテクニックが記されている。

 この時点で、ダミー会社は名前や住所、電話番号、家族構成、果ては持病、病歴まで聞き出しながら記入させており、これが深みにはまってしまう原因となる。

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 『10gから次へ』というマニュアル(下の画像)には、「10gから50gそして300gさらにDへつなげて行くには、とにかくお客様の状況を自分が収集してそれを責任者(中心者)に連結しなければ何も始まらない」とあり、さらに売りつけるため、別のイベントへの勧誘を持ち掛ける。

 「D」とあるのは、旧統一教会のダミー会社で、呉服、壺、貴金属などを扱う会社のこと。19日の配信記事「地方も揺るがす旧統一教会」に登場する「優美」などがそれで、高額商品を購入させ、入信せるという仕組みだ。

 『10g販売から3日間』(下の画像)のページには、温灸イベントの場合に「温灸アポ取りの3段トーク」として、と3つに分けて誘いかける手法が書かれてある。

 この段階まで引っ張った後は、高麗人参濃縮茶の常連に仕立て、入信させるか、あるいは高額商品に誘導という寸法だ。

 そこで大事になるのが、既報のアンケート「Invitation Crad」。ここには、氏名、住所などの基礎的なものから「トークのポイント、水子、色情、転換期、仕事運、親子運」「車(高級車・中級車・軽自動車・車庫付き)」「<置物・家具調度品(上質・普通・安物)」といった情報を引き出し、顧客の経済状況につながるものをダミー会社や信者間で共有する。

 アンケート用紙には「契約時第1トーク」、「ランク S A B C」、「客層 後家  高額所得者 オールドミス 夫婦>などとある。ダミー会社の社員だった経験を持つという元信者が、こう解説する。
「経済力を把握して、Sが目標なら1,000万円以上をつぎ込ませるのを目標とします。Aなら500万から300万円でしょうか。そして、家族に離婚経験者があれば『先祖が霊界で色情因縁がある』『色情の家系だ』などと霊能者という女性を登場させて因縁トークに持ち込みます。そうやって、相手を不安に陥らせて、あとは何を買わせるかという話です。経済力や目標がSならば1,000万円クラスの多宝塔など。300万円くらいを動かせる力があるなら、壺やペンダントの組み合わせとか……。はっきり言って、霊能者なんてインチキもいいところで、霊界なんて見えているはずがない。まさに詐欺ですよ」

 ある捜査関係者によれば、「『10gから次へ』や「Invitation Crad』というマニュアルは、旧統一教会のダミー会社が使っていた古典的なもの。高麗人参の濃縮茶が癌に効果があるなどと嘘をついて販売したケースでは、刑事事件となり現物が押収されている」

 この商法のどこが宗教なのか――?元信者はいう。
「霊感商法や献金で集めたカネや純粋な信者を利用し、政治家と親しくなって選挙の際に近づく。教団として箔をつけるためです。支援した政治家を信用のネタにして、さらに高額商品を売りつけ、献金もさせる。政治家は、まさにそのための道具なんです。こんなマネをしてきた以上、詐欺集団と言われてもおかしくないでしょうね」

 

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