地方も揺るがす旧統一教会

安倍晋三元首相を殺害した山上徹也容疑者の動機が、「旧統一教会」への恨みだったということが明らかになって以降、同教団と政治との関係が大きな問題となっている。

そうした中、発見したのが大阪市阿倍野区の住宅街にそびえる旧統一教会、現在は世界平和統一家庭連合の大阪教会だ。

不動産登記簿を閲覧すると「公立学校用地」とあり、大阪市所有の土地と建物であったことがわかる。地下鉄の駅から数分という絶好の立地の不動産がなぜ旧統一教会に渡ったのか――?調べてみると、地方自治体や地方議員にも旧統一教会の「闇」が広がっていることが分かった。

■大阪市の施設を旧統一教会が買収

建物の登記簿を確認したところ、土地は956㎡、建物はドーム型で地下1階、地上6階建て、床面積は約3,300㎡で、旧統一教会の手に渡る前は「阪南パラドーム」という大阪市教職員のための施設だった。

財政状況が苦しくなった大阪市は、未利用の施設を売却する方針を決め、随時、一般競争入札で処分を進めていた。その結果、2008年に「優美」という会社に売却されることになったことが、大阪市議会の議事録に記されていた。

なぜ、大阪市議会で問題になったのかというと、《阪南パラドームの土地が建物つきで一般競争入札に付されて、株式会社優美という会社が落札をして売却先となったわけですが、この会社が現在、建物を統一教会に貸していることが判明し、近隣の住民の方が大変不安に感じ、統一教会を退去させるよう大阪市に指導を求めている》という事実が明らかになったからだ。

ある周辺住民は、こう振り返る。
「最初は優美の看板が出ていたが、会社だとは思えず変だなと思ったら旧統一教会の霊感商法の商品を卸している会社だとわかった。これは大変だと思っていたら、信者が集まるようになり、優美が会社登記の目的に不動産を追加して旧統一教会側に賃貸するようになった」

当時、「統一教会反対」「出ていけ」などと看板を掲げる住民もいたそうだが、大阪市は「問題はない」として取り合わなかった。

2011年11月、優美は不動産を売却し、所有権が旧統一教会に移転され、「宗教法人世界平和統一家庭連合・大阪家庭教会」という看板があがるようになったという(*下の写真)。

旧統一教会は、本サイトで報じているように、マニュアルまで作成して霊感商法を展開していたことが分かっており、「反社会的」な団体であることは明白だ(参照記事⇒ どう見ても詐欺の指南書|旧統一教会「霊感商法マニュアル」を独自入手 | )。

大阪市は市議会の中で、「土地売買契約書におきましては、暴力団その他の反社会的団体及びそれらの構成員がその活動のために利用するなど、公序良俗に反する用に供してはならないと定めております」と述べ、「反社会的」な団体なら契約の無効や違約金などの対応がとれたことを認めている。この点について、旧統一教会と戦ってきた弁護士が次のようび指摘する。
「優美は旧統一教会の幹部が役員で、霊感商法に深く関与している会社です。物件を購入するにあたって優美が大阪市に支払ったのは7億5千万円。ところが、優美はそんな大金を1度に支払えるような規模の会社ではありません。その原資は旧統一教会が霊感商法や山上容疑者の母親のケースのような不当な言動で出させた献金の可能性が高い。税金で建てた公共施設を旧統一教会に格安で売却することで、反社会的な活動を助長した形です」

■滋賀、奈良、福岡の自治体とも関係

地方自治体と旧統一教会を巡る問題はこれだけではない。大阪府松原市の府道沿いに、旧統一教会が『この歩道は、大阪府アドプト・ロード。プログラムにもとづき「世界平和統一家庭連合」が清掃活動をしています』という看板を歩道に掲げていたが、教団のことが騒がれだしてすぐ、グリーンのテープを貼って看板を隠している。(*下が隠された看板)

滋賀県では今年1月、旧統一教会の関連団体である「世界平和青年学生連合・滋賀連合会」から14万円あまりもの寄付を受けており、奈良県橿原市でも社会福祉協議会の「善意の窓」に、旧統一教会側が1万円の寄付を行っていた。

安倍元首相の銃撃事件があった奈良市の北良晃市議会議長は、5年以上も旧統一教会のダミー団体、世界平和連合に「会費」として3千円を支出していたが、その原資は政務活動費で、計23万円以上を税金で賄った形に――。北議長はそれが報じられると23万円あまりを世界平和連合に返金し、収支報告書を修正している。

奈良市議会のホームページでは、一時、北議長の政務活動費の収支報告書が削除され閲覧不能となり、市民からは「旧統一教会との疑惑を隠すのか」「北議長が実は、安倍元首相の事件や山上容疑者の母親と旧統一教会に関与していたのではないか。それを隠そうと修正しているのではないか」と疑問視する声があがったという。

福岡市でも、市が指定管理者に運営委託している「NPO・ボランティア交流センター あすみん」に、旧統一教会のダミー団体「世界平和女性連合 福岡第一連合会」が登録していることが判明。さらに、安倍元首相銃撃事件直前の6月22日、同会主催の「女子留学生日本語弁論大会」には、福岡市の施設である「あいれふ」が会場を貸し出していた。この弁論大会には、過去に自民党の鬼木誠衆議院議員が審査員として出席しており、関係者の間からは問題視する声が上がっている。

「岸田改造内閣でも、大臣以下が旧統一教会との関係で批判を浴びている。それが地方にも広がり、政治の焦点が与党VS野党から旧統一教会との付き合いのある、なしへと完全にかわっている。地方自治体が旧統一教会関連から寄付を受けたり、イベントを後援しているのも、多くが自民党からの働きかけによるものだったという情報もある。今後、益々旧統一教会の闇が明らかになってくると、大きな政局になりかねない。頭が痛い」(自民党幹部)

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