日本維新の会と反社勢力

松井一郎代表が辞任を表明した日本維新の会が8月14日に代表選挙を告示し、足立康史国会議員団政調会長、馬場伸幸共同代表、梅村みずほ参議院議員が立候補した。一時、立候補表明した東徹参議院議員と吉田豊史衆議院議員は出馬をとりやめ、3人の争いとなった。懸念されるのは、同党と反社勢力との関係だ。

■後継指名は院政への布石?

だが「後継指名はしない」としていた松井氏が突然、記者会見で「党での功績、裏方の仕事、これまで支える側の仕事をずっとやったのが馬場議員。党をまとめていく力は、十分だ」と実質上の“後継指名”。維新の代表選には、国会議員、地方議員、首長を含む全国600人ほどの「特別党員」30人の推薦が必要だが、大半が馬場氏「推し」に回ったため、足立氏と梅村氏には国会議員の推薦人は付いていない。

「なんのための代表選なのでしょうか。松井氏は維新の創立者で、そのひと言ですべてが決まるほどの影響力がある。後継指名しないといっていたのにね……。もう馬場氏が圧勝することはわかりきっている。維新らしく、ガチンコでやってほしかった」とある維新の国会議員は愚痴るも、お手上げという表情だ。

昨年11月にも松井氏は代表辞任の意向を示したが、この時は代表選をしないことを国会議員の投票で決めていた。その際、共同代表に就任した馬場氏と記者会見に臨んだ松井氏が、「おい馬場」「馬場はどう」と親分のように馬場氏を何度も呼び捨てにしたシーンがあった。「馬場氏が代表になっても、しばらくは松井氏の院政が続くのでは」(維新関係者)という声が上がるのは当然だろう。

■確認されている反社との関係

次期代表が確定的な馬場氏。しかし本サイトでも既報(*「旧統一教会とのつながり次々発覚|日本維新の会代表選候補たちの危ない過去 )のとおり、馬場氏は旧統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)と親密な関係を有する人物だ。堺市の池田かつし市議が馬場氏と旧統一教会の関係をSNSで書いているが、継続的に選挙支援を受けていたのではないかとの疑惑も浮上している。

馬場氏と、旧統一教会のような「反社会的勢力」との関係はこれだけにとどまらない。馬場氏がまだ自民党で堺市議会議員だった2007年と2008年に、自民党府堺市第12支部に大阪市の「三友セキュリティサービス」という会社から合計で24万円の政治資金を提供されていたことがわかっている。

三友セキュリティサービスは、代表者が山口組系列の組長が主催したゴルフコンペに参加するなど暴力団を親密な関係にあった警備会社。大阪府警が暴力団等排除措置要綱に基づき大阪府などに通報したことで、入札から排除されていた。馬場氏は、事案が明らかになって24万円を返金したとされる。

代表制出馬を取り止めた東参院議員も、大阪府議会議員だった2003年と2004年に、大阪府警が暴力団等排除措置要綱に基づき通報した堺市の「阪本工営」という企業から合計24万円の献金を受け、その後返金していた。問題が発覚のきっかけとなったのは、2008年に阪工営の経営者が指定暴力団山口組傘下の組員らと共謀し、堺市の解体業者に下請け参入を強要し逮捕された事件だ。

「阪本工営が特定の会社を警備に使えなどと強要していたことがわかり調べたところ、同社の暴力団との関係が明らかになった。三友セキュリティサービスをはじめ3社の暴力団との交友がわかり、大阪府などに通報した」(捜査関係者)

逮捕された阪本工営の経営者は裁判の中で、五代目山口組のナンバー2だった宅見勝若頭(当時)の親族と「親しい関係にある」とまで証言していた。

旧統一教会だけではなく、指定暴力団とも親密な関係にあったとみられる馬場氏。代表選出馬をとりやめた東氏にも、感心できない「過去」があった。

日本維新の会を巡っては、遠藤敬国会対策委員長が山口組の直参組長と写真に納まっていたことが、週刊誌報道で発覚。奈良県香芝市では、山口組の元組員を市議会議員候補として公認していた。7月の参議院選挙で維新の全国比例候補となり、当選した歌手の中条きよし氏も、過去の暴力団との関係を報じられている。

維新は、15人の国会議員が旧統一教会と関係があったことを認めている。その中には当然馬場氏の名前もある。党のトップとなる可能性が濃厚な馬場氏に囁かれる暴力団や旧統一教会との関係――。この党は、代表すらも「粗製乱造」なのかもしれない。

 

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