日本維新の会が、来月27日に代表選挙を行う。橋下徹氏と並び「維新の創設者」として存在感を誇ってきた松井一郎大阪市長の代表辞任をうけ、その後任を選ぶためだ。
8月7日現在、馬場伸幸共同代表、足立康史国会議員団政調会長、梅村みずほ参議院議員、吉田豊史衆議院議員の4人が出馬の意向を表明している。
■本命・馬場氏と旧統一教会
これまで、本サイトでは日本維新の会による各級選挙の候補者擁立を、「粗製乱造」だと指摘してきた。代表選挙のメンバーを見ると、「いかにも維新」という感じだ。
8月2日、日本維新の会と政治団体「大阪維新の会」は、旧統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)と関係があった国会議員13人、地方議員16人を発表。その中には、馬場氏、足立氏、吉田氏と代表選挙に立候補予定の3人が含まれていた。。
維新所属で堺市議の池田かつし氏は2014年12月6日、SNSに《馬場伸幸衆議院議員候補とともにWFWPチャリティークリスマスパーティーに出席しました》と書き込み、男性ががマイクを握り、挨拶している写真を添付していた。写真の人物こそ、松井大阪市長の「名代」として国会議員団を率いていた馬場氏だった。(*下が池田市議の投稿画面)
WFWPは、旧統一教会の関連団体「世界平和女性連合(現在の世界平和連合)」のこと。同年12月2日に衆議院選挙は公示されており、馬場氏は選挙の真っ只中にWFWPの会合に参加していたことになる。
馬場氏を誘ったとみられる池田氏は自身のホームページで、次のように釈明している。
《ご案内いただき年数回の会合に出席しましたが、その団体が国連NGOとの認識しかなかったため、これまで儀礼的なお付き合いをしてまいりました》
だが、問題の会合は衆議院選挙の期間中。どこが「儀礼的」なのか、あやしいものだ。むしろ、馬場氏の選挙活動の一環、集票のための参加ではなかったのかという疑念が浮上する。
■足立氏と旧統一教会
足立氏は、2018年に旧統一教会の関連団体「世界戦略総合研究所」で講演をしていたことが分かっている。旧統一教会の問題が発覚後、足立氏は講演の要請を受けた理由を《同研究所の招きで(同じように)講演した自民党はじめ政治家リストを示された》とした上で、《講演したことがありましたが、(統一教会の)関連団体とは存じ上げませんでした。不注意でした》と見解を示している。(*下は足立氏の投稿画面)
足立氏が講演した同年4月18日のSNSには《<世界戦略総合研究所で講演を申し上げました。朝日新聞とも辻元清美とも最終戦争のつもりで戦い抜こうと思います》と記している。
世界戦略総合研究所は旧統一教会が関与している「ダミー組織」。しかし、表向きは「世界の安定と平和に貢献する」と平和をうたっている団体だ。そこで講演した足立氏は、「戦争」という言葉を使ってマスコミや他党の国会議員を糾弾する。足立氏を知る維新関係者が、顔をしかめてこう話す。
「いかにも足立氏らしいやり口です。自分の責任で旧統一教会関連団体と関係を持ちながら、嫌いな朝日新聞や辻元さんを持ち出して問題をすり替える。足立氏は、秘書へのパワハラを雑誌に告発されたり、給与未払いで訴えられ民事裁判で和解と自分のスタッフにすら満足に対応ができない人物。それが代表選挙とは、何を考えているものやら」
■吉田、梅村氏と旧統一教会
代表選に出るという吉田衆議院議員も富山県議会議員の選挙に出馬した際、「世界平和連合」の会合で挨拶し、その後の集会にも参加してたという。
また梅村議員は、2021年4月、公設秘書が大阪府警に殺人未遂容疑で逮捕されている他、文書通信交通滞在費の「私的利用」が報じられたりと黒い話題ばかりが目立つ人物だ。今年3月11日の官報によれば、参議院の大阪選挙区から選出されている梅村氏の住所は何故か京都市になっていた。そんな梅村氏が代表戦に出る資格があるとは思えない。
「ある有力な(維新の)支援者に『代表選挙がこのメンツで、国政政党として大丈夫か』と言われました。私は同意しながら、苦笑するしかありませんでした」――ある日本維新の会の国会議員は打ち明ける。
松井氏は記者会見で「政策実現できる、強力な体制つくっていくことが代表の役割だ。それ以外、代表の役割はあるのか」、「SNSでええ格好だけ言い、新聞で他党のいろんな発言を批評、自己満足してるだけでは、リーダーにはなれません。党内の多数決、がむしゃらに1票を取りにいくべき」とコメントた。だが、そんな言葉とは裏腹に、水面下では駆け引きが行われている。
一時、出馬が報じられたの東徹参議院議員だが、急に取りやめることとなった。
「維新は大阪かそうでないかで色分けされる変わった国政政党。馬場氏と東氏が出馬すれば、大阪の票が割れる。一本化すべきと声が出て、東氏がおりて馬場氏にまとまった。馬場氏が代表選挙で勝てば、東氏は重要ポストで処遇となるでしょう」(前出・維新の国会議員)
ちょうど2年前の8月4日、大阪府の吉村洋文知事ともに「イソジン会見」に臨んで大失敗した松井氏。その松井氏がまともに見えてしまう、日本維新の会の代表選挙に、明るい未来は感じられない。