鹿児島県警が傷害被害届を6年間放置(上)|不作為に泣く女性が涙の告発 

警察や検察の不作為で被害が生まれ、その傷が深まるケースが後を絶たない。例えば、ストーカー規制法制定の契機となった「桶川ストーカー殺人事件」、最近では福岡県太宰府市の女性暴行死事件が該当する。

桶川事件では埼玉県警、太宰府の事件では佐賀県警が、助けを求めた被害者側の訴えを無視したことで、失われずに済んだはずの命が奪われる結果を招いている。桶川事件が起きたのは1999年だが、やるべき捜査を拒む警察組織の体質は変わっておらず、鹿児島県でも警察の不作為に泣かされた女性がいる。

■暴行犯は実の兄

その女性は2013年、鹿児島市内の住宅で実の兄に暴行され右薬指骨折(全治4週間)や頭部打撲、腰部打撲、頸椎捻挫などのけがを負い、鹿児島県警に兄への処罰を求め続けた。しかし、警察が被害届を受理したのは6年後。捜査は行われたが、時間が経ち過ぎていた上、肝心の県警がやる気ゼロ。検察の判断は嫌疑不十分で不起訴ということになった。

女性は今もPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみ、「警察に事件を放置された」との思いは募る。ハンターは一連の警察の捜査が適正だったのか確認するため、事件に関する公文書開示を求めた。ところが、請求を受けた鹿児島県警は隠蔽姿勢剥き出し。『公文書が存在するかしないかを明らかにしない』という酷い回答だった。事件が起きたことは、被害者以外の人間も知っており隠す必要のない話なのだが、自分たちの不始末は徹底して隠すのが警察。鹿児島県警も例外ではなかった。

■事件直後、被害者を攻撃した不良刑事

事件は、2013年年9月19日午後10時10分頃、鹿児島市南部の住宅で起きた。被害を受けた女性によると、当時住んでいた京都から母親と兄、兄嫁が居住する家に帰省。仕事から帰ってきた兄が、「なぜ連絡もしないで帰ってきたのか、手紙を書け」などと激高し暴力を振るってきたため、恐怖を感じて隣家に駆け込んだという。

隣人が110番通報し、県警南署の私服刑事と制服警官が臨場。しかし、刑事が被害者である女性に向けた言葉は、信じられないものだった。
――「このまま逮捕されたら、お兄さんは会社も首になって家のローンも抱えたままになるんですよ、いいのか
――「遠くに住んでるあんたが帰ればあの家族は幸せなんだ
――「お兄さんは静かに落ち着いてますよ、あんたは興奮してるがね
――「あんたの言う事が非常識で俺が常識だから

そして刑事たちは「帰るぞ!」と吐き捨てるように言い、帰って行ったという。被害者の証言が事実なら、テレビドラマに出てくるような不良刑事は、実際にいるということだ。

■“加害者”と寄り添った鹿児島県警

茫然自失となった女性は身体の痛みさえ忘れて震えていたが、午前零時過ぎになって容体が急変。救急車で搬送され、骨折など酷いケガを負っていたことが判明する。

京都に帰った女性は鹿児島南署に被害届を提出したいと何度も電話で懇願したが、担当の警察官は、何故かその都度加害者である兄に連絡して「お兄さんは家族間で話し合っていると言っている」などとはぐらかし、被害届を拒み続けた。

暴行を受けた女性の悲痛な声を聞いて、助けるどころか、わざわざ加害者に連絡して被害者を窮地に陥れる警察官がいることに、愕然とする思いだ。「税金泥棒」とは何もしない公務員のことを指す言葉だが、被害女性ではなく加害者に寄り添った形の南署の刑事は、“犯罪者の共犯”というべきだろう。

事件翌年の2014年7月10日。思い余った女性は県警本部生活安全課のDV担当に事情を説明。同課の担当者が南署の担当刑事に「注意した」(同課担当)が、すぐに南署の刑事から女性に電話があり、「そういうの、ご家族で話し合ってみれば」と再び突き放された。南署とのやりとりは、それを最後に途切れていた。

女性はその後精神科にかかるなど、後遺症に苦しむ。会社は解雇され、東京に転居した。直接の暴行犯は彼女の兄だが、精神的に追い込んだのは間違いなく鹿児島県警だろう。

“事件”が動いたのは2019年6月。現状を打破したいと鹿児島市議の友人に相談し、共産党の平良行雄県議と3人で南署に出向いたことがきっかけとなる。

(つづく)

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