夫の会社の家賃を政務活動費と政治資金で按分支出していた国民民主党福岡県連代表の大田京子元県議に対し、福岡県議会事務局が、近く不正とみられる金額を返還するよう求めることが分かった。
政務活動費の不正流用が意図的であれば「詐欺」。大田氏の政治家としての資格が問われる事態だ。
■政活費不正は公金詐取
昨年12月、ハンターが県議会への情報公開請求で入手した政務活動費の報告書及び領収書と、県選管に提出された大田氏の資金管理団体「大田京子後援会」の政治資金収支報告書から、大田氏の夫が代表を務める「ポストワンサービス合同会社」の家賃や光熱水費を、「政務活動費」と「大田京子後援会」の資金で折半し支払っていたことがで判明(既報)。政活費の私的流用は、同社がこの建物に本社を移した令和2年12月28日(家賃発生は3年1月から)から大田氏が参院選出馬のため県議を辞職した昨年5月まで続いていた。
(*下の写真は昨年9月撮影。左側が大田事務所の入り口、右側のサッシドアが会社の入り口。下段の画像は、大田氏が議会事務局に提出した政務活動費の報告書)
次の表は、事務所家賃の支払い状況を年度ごとにまとめたものだが、大田氏の夫の会社の家賃が発生したはずの令和3年1月から事務所費の額は変わっておらず、依然として政務活動費と政治資金で全額を賄っていたことが分かる。
政務活動費で夫の会社の家賃を賄うことが重大なルール違反であることは明らか。さらに、政治団体の政治資金を企業の家賃にあてることは、政治資金規正法が禁じている選挙区内での寄附にあたる可能性もある。この問題について取材に応えた大田氏は昨年、次のように説明していた。
・二分の一ずつ按分していたのは間違いないが、今年の6月からは100%後援会が事務所家賃を払っている。
・家賃は、トータルで10万円を夫の会社が私の後援会に払っている。
・10万円の内訳は、家賃6万の水道光熱費等4万円。家賃6万円は月の前期と後期に3万円ずつ分けてもらっている。3万円、3万円、4万円。
・夫の会社からの10万円は、夫の会社の社名も含めて、政治資金収支報告書に記載している。
しかし、昨年11月に公開された大田京子後援会の令和3年分政治資金収支報告書を確認したところ、該当する収入の記載は皆無。仮に記載があったとしても、いったん政務活動費と政治資金から家賃を支払った以上、それが夫の会社に対する政治資金規正法上の違法な寄附にあたる可能性があった。
そもそも、大田氏の夫の会社が直接家主と契約し、毎月の賃料を支払うのが筋。光熱水費についての説明も、自ら違法性を認めるようなものだった。重ねて述べるが、政活費の不適切支出は公金詐取と同義なのだ。
■事務局照会文書と大田氏の回答を入手
ハンターは昨年12月、福岡県議会事務局に対し、大田氏の政活費支出を巡る疑問点を指摘。事務局はこれを受ける形で、大田氏本人に「政務活動費について」と題する照会状を発出していた(*下の文書参照。画像クリックで拡大)
この照会に対し大田氏は、回答文書(*下、参照)で、夫の会社への「転貸」と光熱水費を政活費で賄っていたことを認めていた。
光熱水費やスポットクーラーに関する説明には依然として疑問が残る状況だが、会社家賃と光熱水費の政活費からの流用という“公金詐取”の疑いがある実態が明らかになった以上、場合によっては「刑事告発」に発展する可能性も出てくる。先週、大田氏への今後の対応について議会事務局に説明を求めたところ、担当者は「近く返還を求める方針」と明言。国政政党の県連代表が、公金詐取で返還を命じられるという異例の展開となった。
問題発覚後も大田氏を県連代表の座にとどめたままの国民民主党がどのような処分を下すのか注目だが、嘘やごまかしを平然とやってのける大田氏のこと、カネだけ返し、見苦し言い訳で切り抜けるものとみられている。