国民民主・大田京子福岡県連代表が夫の会社の家賃を政務活動費と政治資金から支出

掲示期限切れのポスターや、法定の「証票」を貼付していない看板を使うなどして違法性が疑われる政治活動を続けていた国民民主党福岡県連代表の大田京子元県議が、政務活動費と後援会の政治資金で、夫の会社の家賃を支払っていたことが分かった。政務活動費の原資は税金。規範意識を欠く大田氏の姿勢に、関係者から厳しい批判の声が上がっている。

■2階建て物件の全体家賃、大田氏側が支払い

大田氏の事務所は建物の2階に入居しているが、真下にあたる1階は、入口を別にした形で大田氏の夫が代表を務める合同会社が占有している状態だ(*下の写真は今年9月撮影。左側が大田事務所の入り口、右側のサッシドアが会社の入り口)。

1階の家賃は当然この会社が支払うべきもの。しかし、県議会への情報公開請求で入手した政務活動費の報告書及び領収書と、県選管に提出された大田京子後援会の政治資金収支報告書から、同社がこの建物に本社を移した令和2年12月28日(家賃発生は3年1月から)から大田氏が参院選出馬のため県議を辞職した今年5月まで、同社の家賃を大田氏の政務活動費と大田氏の資金管理団体「大田京子後援会」が支払っていたことが分かった。

 

下は、事務所家賃の支払い状況を年度ごとにまとめたものだ(*年度初めの家賃支払い日が前年度の3月となっているのは、前家賃として納めているため)。大田氏の夫の会社が建物の1階に移転してきたのは、前述のとおり令和2年12月28日。3年1月から会社の家賃が発生していたはずだが、大田氏の事務所費の額は変わっておらず、依然として政務活動費と政治資金で全額を賄っていた。

政務活動費で夫の会社の家賃を賄うことが重大なルール違反であることは明らか。さらに、政治団体の政治資金を企業の家賃にあてることは、政治資金規正法が禁じている選挙区内での寄附にあたる可能性がある。

この問題について確認を求めたハンターの取材に応じた大田氏は、およそ次のように説明していた。

・二分の一ずつ按分していたのは間違いないが、今年の6月からは100%後援会が事務所家賃を払っている。

・家賃は、トータルで10万円を夫の会社が私の後援会に払っている。

・10万円の内訳は、家賃6万の水道光熱費等4万円。家賃6万円は月の前期と後期に3万円ずつ分けてもらっている。3万円、3万円、4万円。

・夫の会社からの10万円は、政治資金収支報告書に記載している。

政治資金収支報告書に夫の会社からの入金分を記載しているのかどうかについて、何度も確認したが、「記載している」と断言した大田氏は、最終的に次のように述べていた。

大田氏
大田氏
10万そのものの記載はないですよ。10万円という金額では載っていませんが、10万円分は載っています。それは、施設使用料だったと思うんですけど、それで6万円分なので、前半……前半とは書いていないな。ちょっと今、手元に領収書がないのでわからないですが、いずれにせよですね、施設使用料が月3万円、3万円の6万円分載っているんですよね。前半、後半で。施設使用料が6万円分と、4万円は水道光熱費等で載っています。水道光熱費等という収入というよりは、経費。

報告書に記載があると明言していた大田氏だったが、先月公開された令和3年分の政治資金収支報告書を確認したところ、該当する収入の記載はどこにもなかった。大田氏の主張は、完全に崩れた格好だ。

■問われる違法性

夫の会社からの収入が、相手先の記載が必要とされない5万円以下の「その他の収入」(大田氏の後援会は130万円を記載)の中に含まれていたとしても、大田氏の主張が事実なら、違法性が問われることになる。

大田氏は理解できていないようだが、大田氏の主張どおりに夫の会社からの「3万円、3万円、4万円」の収入があったとすれば、それは政治資金規正法上の寄附。政党(支部を含む)や政党の政治資金団体以外の政治団体が、企業から寄附をもらうことを禁じている政治資金規正法に抵触する可能性が生じる。

そもそも、大田氏の夫の会社が直接家主と契約し、毎月の賃料を支払うのが筋。いったん政治資金や政務活動費で賃料を支払うことの意味を理解できなかったとすれば、大田氏に政治家としての資格はない。

問題はまだある。大田氏は、後援会が夫の会社から、「光熱水費」として定額の4万円を毎月受け取っていると何度も話していたが、光熱水費がピッタリ4万円になるわけがない。ちなみに、大田京子後援会の「光熱水費」は、平成30年が132,545円、令和元年が142,097円、令和2年が117,914円、令和3年180,139円と推移していた。

大田氏の場合、按分率が50%となっていることから、令和3年の光熱水費総額は政務活動費で賄った分を合わせても約36万円。大田京子後援会が大田氏の夫の会社から年間48万円受け取っているという話が事実なら、かなりの差額が出ていることになる。つまり、大田京子後援会がもらっている差額分(令和3年は約12万円)は、禁止された企業献金というわけだ。もちろん違法である。

■ポスティングの政活費支出、4年間で約680万円

大田氏の夫が代表を務める合同会社の主な業務は、ポスティングや印刷物の企画・デザインなど。大田氏は、自身の県政報告「太田京子だより」を発行するたびに同社にポスティングを依頼し、費用のほぼ全額を政務活動費で賄っていた(*下の表参照)。同社への支出額は、平成31年度の約166万円から令和元年度約128万円、2年度161万円、3年度約349万円と年々増えており、確認した4年間分で約680万円に上っている。

 夫の会社のために、事務所の家賃とポスティング代の大半を政務活動費と政治資金で賄うという行為が、果たして有権者に理解されるのか――。答えを考えるまでもあるまい。

この記事をSNSでシェアする

関連記事

注目したい記事

  1. 28日、田川郡内の8市町村で構成する「田川郡東部環境衛生施設組合」の会議の席上、組合長を務める永原譲…
  2. 鹿児島県警の捜査資料が大量に流出した(既報)。原因を作ったのは、“ある事件”のもみ消しを図ったとみら…
  3. 「居眠りをする。一般質問しない。説明責任を果たさない。これこそ議会軽視の最たる例です。恥を知れ!恥を…
  4. 労働組合による調査で社員の6割以上が会社に不信感を抱いていることがわかった北海道新聞で(既報)、同労…
  5. 「大嵐が吹き荒れるぞ。自民党が割れるんじゃないのか」と緊張した面持ちで話すのは、自民党の閣僚経験者。…




LINEの友達追加で、簡単に情報提供を行なっていただけるようになります。

ページ上部へ戻る